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アカリとフシギなタマゴ編
33色 最後の試練
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リングを抜けると、そこは、風が強く吹き付ける場所だった。
「ここって、もしかして塔の屋上?」
「風が強いですね。 それに空気がかなり薄い感じがします」
二人は吹き付ける強い風を手を顔の前にだして防ぐ。 わたしも飛ばされないようにがんばって踏ん張る。
「待ってましたよ」
すこし霧がかかった周りを見回していると、声が響いた。
「この声って」
声のした場所をみると、空から虹色に輝くキレイなハネをたなびかせる一羽の大きな美しいトリが霧をはらい地面に着地してきた。
「美しいね」
その姿をみたシーニが感嘆の声を出す。
「アナタがクーデリア?」
わたしが見上げながら聞くと、キレイなトリさんは頷き答える。
「ええ、ワタシがアナタに試練のタマゴを授けたモノです」
「試練のタマゴ。 つまり、クーのことですね」
クーデリアの言葉を受け、マルは話を繋げる。
「キミが姿を見せたってことは試練は無事に終わりってこと?」
「いえ、後ヒトツだけ残っています」
「後ひとつ?」
「はい、ワタシは試練の終わりでもあり、『最後の試練』でもあります」
「最後の試練って?」
「おっと、この流れは」
わたしの言葉にマルの表情が引きつる。
「ワタシと戦うことです」
「デスヨネー」
考えるのをやめたようにマルの顔から感情が消える。
「安心してくださいコロシはしません」
「思いっきりラスボスのセリフだよ」
「一度云ってみたかったんです」
「めちゃくちゃお茶目じゃないですか」
クーデリアはキレイなハネを大きく広げるとハネを振り出し、激しい風を起こした。
「うわあ!」
「い、いきなり過ぎるよ!」
いきなりの暴風にわたしたちは立っていられずに地面に膝をつく。
「ぐう!飛ばさせないように気をつけてください!」
「わたしが壁を造るよ」
シーニが地面に手をつける。
しかし、なにも起きなかった。
「え!? なんで!? 魔法が『でない』!?」
地面に何度も触れるけど、魔力が放出されない。
「え!? そんな馬鹿な!?」
マルも手をかざすけど、なにも出てこなかった。
「そんな!? マジック棒が出ません!」
「残念ながら、アナタ達の魔法は使えません」
「!?」
風の勢いを緩めずにクーデリアがいう。
「正しくは『ワタシのハネの色の魔法を封じる能力』ですが」
「クーデリアのハネの色って」
風に顔を上げるのもやっとだけど、クーデリアの美しく輝くハネを確認する。
「それって『虹色』……」
クーデリアのハネは七色に輝いていた。
「つまり、『七色』の魔法が使えないってこと!?」
「魔法封じって思いっきり魔王の所業じゃないですか!」
マルはやけになりながら叫ぶ。
「ピュ、ピュー!」
「クー!」
わたしの頭から飛ばされそうになったクーを抱きかかえる。
「取り敢えず、今は飛ばされない様に踏んばるしか、ありません」
「なら、わたしがなんとかするよ」
そういうと、シーニはわたしの前に立つ。
「シーニ!?」
「わたしが壁になってみんなを守るよ」
「仕方ありません……今はそれしかないですね」
マルも前に立つ。
「マル!?」
「だ、大丈夫です。 アカリはクーが飛ばされない様にしてください」
「なら、これならどうですか?」
クーデリアは風を止めると大きく振りかぶって、竜巻を創り出し、それをわたしたちに向かって飛ばしてきた。
「う、ウソでしょ!?」
「さすがにあんなのに飲み込まれたら一溜りもありません! 出来るだけ逃げましょう!!」
「に、にげるってどこに!? ここ塔の上だよ!?」
そう、わたしたちのいるのは塔の上逃げ場はどこにもなかった……。
「とにかく! このまま飲み込まれるよりはマシなはずです!」
「とりあえず走ってぇーーー!!!」
シーニの叫びを聞いて竜巻がすぐ近くまできていたことに気がついて、急いで竜巻から逃げる。
「くう! 魔法が使えないんじゃ魔道具も取り出せない……どうしたら」
「代わりになる武器もこの場所には有りそうにありません。 めちゃくちゃ徹底的に叩きのめす気満々じゃないですか! いわゆるゲームの詰みポイントですか!? コンチキショウメェー!」
「うわあああ!どうしよー!!」
わたしたちは口々に叫びながら必死に逃げ回る。
「ちょ、ちょっと止まって!!」
シーニの声でわたしたちは止まる。
いや、止まるしかなかった……。
「そ、そんな……」
「私達は此処で立ち止まる訳には行かないのに……止まるんじゃねぇですよ……」
「ここが端みたいだね…」
わたしたちは塔の端にまで追いつめられてしまった……。
塔の下をみると思わず「ヒェ…」という声が出てしまう。そこの見えない程高く、風の吹く音が塔のしたから壁を伝って聴こえてくる。
「こうなったら一か八か!」
シーニはもう一度地面に手をつける。 しかし、なにも起こらない。
「うぅ! やっぱりダメか……」
やっぱり魔法がだせなかったみたい。
「どうにかして逃げ場を造らなくては……だけど、もうそんな余裕はありません」
マルは口に手を当てて考えるけど、もう目の前に竜巻がきていた。
「クッウ! 万事休すですか」
「おねがい!なんでもいいからでてぇーーーーー!!」
わたしはとっさに手を前にだして叫ぶ。 魔法が封じられてるのは、わかってるけど、なにもしないわけにはいかないよ!
すると、わたしたちの周りがドーム状の空間につつまれた。
「え?」
「!?」
ドーム状の空間は、竜巻を防ぐ、いや、『弾いた』が正しいのかな?
「これって《防御魔法》!?」
「魔法は封じられているはずじゃ!?」
二人は眼を見開いて驚き、わたしをみる。
「え? え? どうして?」
わたしが一番驚いていた。
「それに確か、アカリの魔力の色って《赤》だったはずです」
「なるほど、『白』の魔力の持ち主でしたか」
白の魔力?
困惑するわたしたちとは違ってクーデリアは冷静にいう。
「そうか、副色魔法か!」
シーニがなにかに気付き声を出す。
「本来の魔力とは別に人それぞれ少なくとも一つ持っているやつだね」
「白って確か虹の七色に含まれていない色です」
「ならクーデリアの魔力封じに引っかからないね」
「ですが、まだ扱えないようですね」
クーデリアの云う通り、バリアにヒビがはいる。 それをみたわたしはあたふたと二人の顔を交互にみる。
「あ、えっと、どうしよう! とっさにだしたからどうコントロールしたらいいの!?」
うまく魔力コントロールが出来なくて徐々に竜巻に押されてしまう。
「大丈夫です! アカリお箸を右手から左手に持ち替える感覚です」
「わたし右手でしかお箸持てないよ!?」
「じゃあ、格闘ゲームからパズルゲームに切り替える感じで!」
「わたしかわいいモンスターを育てるゲームしかやったことないよ!?」
二人は必死に魔力コントロールのコツを教えてくれるけど、わたしがおバカすぎて理解できないよ!
「では、トランプです! 同じカードでも色んな遊びに切り替える感じです!解りますよね? 解ってください!」
「ごめん! ババ抜きしかルールしらないよぉ!」
「だったら! らーめんとうどんの違いとか!」
「それって好みだよね!?」
そうこう言っている内にヒビが大きくなる。
「こうなったら一か八かです!」
マルはわたしの肩に手を乗せた。 すると、すこしヒビが直った。
「よし、上手くいきました」
マルは「よしっ!」と空いた片手でガッツポーズをする。
「マルなにをしたの?」
「わたしも副色魔法を使ってみました」
「どういうこと?」
「わたしの魔力の色は『橙色』ですが、副色魔力は『銀』です。 ですが、わたしの銀の魔力は創造魔法を使う時の『形』の部分しか創れなくて、実態を創るには橙の魔力が大半を占めていて、先程もそれのせいで魔法が使えませんでした。 なので、その『形』の部分をアカリを経由して創ってみました」
「なるほどそういうことなら」
マルの説明を聞くと、シーニもわたしの肩に触れ、ヒビがさらに直った。
「わたしも『銀』だからね」
「ナイスです。 シーニ」
「なかなかやりますね。 なら」
クーデリアは竜巻をさらに二つ増やした。
「人数分増やしました」
クーデリアはおまけといわんばかりにいう。
「余計な御世話ですよ! 人数が増えると逆に難しくなる鬼畜ゲーですか!?」
「マル、ツッコンでる場合じゃないよ」
「ど、どうしよう!? またヒビが!」
ヒビが広がってさっきよりも大きくなる。
「とにかく、修復をしなければ」
「ダメ! もう追いつかないよ」
二人ががんばって直そうとしてくれるけど、間に合わなくて、次の瞬間バリアがガラスが割れるような大きな音を立てて砕けてしまった。
「うわあぁーーーーーーーー!!」
その反動でわたしたちは後ろに飛ばされてしまった。
そして、その勢いでクーが手から飛ばされた。
「ピュウゥーーーーー!」
「クー!!」
わたしは飛ばされたクーをなんとか空中で捕まえることが出来た。
しかし、下を見るとなにもなくあるのは、塔からカラダを投げだしたことによる浮遊感という名の落下だけだった。
「うああああああああ!」
叩きつけるように重力がカラダを襲う。
「アカリ!!」
そのまま下に落ちたわたしをマルとシーニが崖に片手だけを残して、わたしの左手を掴んだ。
「マル! シーニ!」
カラダ全体に重い重力を受けながら、上を見上げると、マルとシーニが辛そうな顔で片手だけで崖を掴んでいた。
「アカリ大丈夫ですか!?」
「今引き上げるからがんばって!」
二人はわたしを引き上げようとがんばってるけど、女の子が片手以外身を投げ出して人を引き上げるなんて難しいよ!
「二人とも! このままじゃ二人も落ちちゃうよ! だから、わたしの手を放して!」
わたしは辛そうな二人の顔に耐えられずに叫ぶ。
「! なにをバカな事を言ってるんだよ! そんなこと出来る訳ないだろ!」
「そんなの『わたしを殺して』と云ってるのと同じです!」
二人は必死に耐えながら、わたしを怒る。
「で、でも!」
「でももデモも起こしませんよ!」
「このまま手を放したら一生わたしは後悔すると思う。 いや、絶対する! だから、腕が千切れてもこの手は放さないよ!」
「右に同感です! ここで大親友を見捨てて自分だけ助かるなんてただのクズです! もし、別世界の私がそんなことをしたらぶん殴りに行きます!」
「マル……シーニ……」
二人の言葉にわたしは胸の奥が熱くなる感覚がした。 だけど、わたしを絶対放さないとがんばってくれてるけど、二人の顔がどんどん青白くなっていく。
「さて、その状況からどうしますか?」
「!?」
クーデリアの言葉にわたしたちの目の前に竜巻が来ていることに気がつく。
「う、ウソでしょ!?」
「この状況で攻撃してくるなんて超絶鬼畜じゃないですか!!」
「ごめん! 二人とも!」
竜巻の風の勢いに押されて二人の手が崖から離れる。
「っあ!」
「しまっ!?」
耐えていた分の重力が一気にカラダを襲って、そのままわたしたちは塔から落下してしまう。
「うわああああああああ!!」
ごめん! クー、マル、シーニ……わたしのせいでこんなことに…わたしがドジをしなければ、わたしがバカじゃなければ、こんなことにはならなかったかもしれないのに! 本当にごめん! せめてクーと二人だけでも助ける方法はないの! お願いわたしはいいからみんなを助けて!
「ピュゥルーン!!」
「!?」
突然、クーが眩いヒカリを放ち輝き出した。
そして、クーの輝きと共にわたしたち三人のカラダも赤、青、橙とそれぞれ輝き出し、それに呼応するかのように塔の下から四本の、緑、紫、黄、水色の四色のハネが飛んできてそれぞれ輝きながらわたしたちの周りを包んだ。
「こ、これは!?」
「もしかして!?」
「『みんなの魔力を込めたハネ』!」
「ピュルルルーン!」
みんなの魔力の込められているハネとわたしたち三人の魔力がクーに注ぎ込まれクーはさらに輝きを増し、姿を変えていった。
「ビュルーン!!」
クーはハネが七色に輝く美しいトリに姿を変え、わたしたちを背中に乗せる。
「! クー!? クーなの!?」
「ビュルン♪」
わたしが聞くとクーはゲンキに返してくれる。
「これは……進化……?」
「こんなことがあるなんて……」
二人は驚きのあまり言葉を失う。
わたしたち三人を乗せたクーは塔の屋上まで飛び塔の床に降り立つ。
「ありがとう! クー」
クーから降りると正面から抱きつく。
「二人もありがとう! それと、ごめんね!!」
二人に抱きつきお礼をしてあやまる。
「謝罪の言葉はいりません」
「そうだよ。 みんな無事だったんだし」
「はい。 死ななければ、みんな掠り傷って奴です」
二人は優しくわたしの頭を撫でてくれる。
「見事です」
「!?」
クーデリアの声が、助かった感動の余韻に浸っていたわたしたちにの空気を壊し、また緊迫した空気が流れる。
「さて……」
まだなにかあるの? と思いわたしは思い唾を飲む。
「合格です」
「……え?」
突然そんなことを言われ、わたしたち三人は間の抜けた声を出す。
「ここって、もしかして塔の屋上?」
「風が強いですね。 それに空気がかなり薄い感じがします」
二人は吹き付ける強い風を手を顔の前にだして防ぐ。 わたしも飛ばされないようにがんばって踏ん張る。
「待ってましたよ」
すこし霧がかかった周りを見回していると、声が響いた。
「この声って」
声のした場所をみると、空から虹色に輝くキレイなハネをたなびかせる一羽の大きな美しいトリが霧をはらい地面に着地してきた。
「美しいね」
その姿をみたシーニが感嘆の声を出す。
「アナタがクーデリア?」
わたしが見上げながら聞くと、キレイなトリさんは頷き答える。
「ええ、ワタシがアナタに試練のタマゴを授けたモノです」
「試練のタマゴ。 つまり、クーのことですね」
クーデリアの言葉を受け、マルは話を繋げる。
「キミが姿を見せたってことは試練は無事に終わりってこと?」
「いえ、後ヒトツだけ残っています」
「後ひとつ?」
「はい、ワタシは試練の終わりでもあり、『最後の試練』でもあります」
「最後の試練って?」
「おっと、この流れは」
わたしの言葉にマルの表情が引きつる。
「ワタシと戦うことです」
「デスヨネー」
考えるのをやめたようにマルの顔から感情が消える。
「安心してくださいコロシはしません」
「思いっきりラスボスのセリフだよ」
「一度云ってみたかったんです」
「めちゃくちゃお茶目じゃないですか」
クーデリアはキレイなハネを大きく広げるとハネを振り出し、激しい風を起こした。
「うわあ!」
「い、いきなり過ぎるよ!」
いきなりの暴風にわたしたちは立っていられずに地面に膝をつく。
「ぐう!飛ばさせないように気をつけてください!」
「わたしが壁を造るよ」
シーニが地面に手をつける。
しかし、なにも起きなかった。
「え!? なんで!? 魔法が『でない』!?」
地面に何度も触れるけど、魔力が放出されない。
「え!? そんな馬鹿な!?」
マルも手をかざすけど、なにも出てこなかった。
「そんな!? マジック棒が出ません!」
「残念ながら、アナタ達の魔法は使えません」
「!?」
風の勢いを緩めずにクーデリアがいう。
「正しくは『ワタシのハネの色の魔法を封じる能力』ですが」
「クーデリアのハネの色って」
風に顔を上げるのもやっとだけど、クーデリアの美しく輝くハネを確認する。
「それって『虹色』……」
クーデリアのハネは七色に輝いていた。
「つまり、『七色』の魔法が使えないってこと!?」
「魔法封じって思いっきり魔王の所業じゃないですか!」
マルはやけになりながら叫ぶ。
「ピュ、ピュー!」
「クー!」
わたしの頭から飛ばされそうになったクーを抱きかかえる。
「取り敢えず、今は飛ばされない様に踏んばるしか、ありません」
「なら、わたしがなんとかするよ」
そういうと、シーニはわたしの前に立つ。
「シーニ!?」
「わたしが壁になってみんなを守るよ」
「仕方ありません……今はそれしかないですね」
マルも前に立つ。
「マル!?」
「だ、大丈夫です。 アカリはクーが飛ばされない様にしてください」
「なら、これならどうですか?」
クーデリアは風を止めると大きく振りかぶって、竜巻を創り出し、それをわたしたちに向かって飛ばしてきた。
「う、ウソでしょ!?」
「さすがにあんなのに飲み込まれたら一溜りもありません! 出来るだけ逃げましょう!!」
「に、にげるってどこに!? ここ塔の上だよ!?」
そう、わたしたちのいるのは塔の上逃げ場はどこにもなかった……。
「とにかく! このまま飲み込まれるよりはマシなはずです!」
「とりあえず走ってぇーーー!!!」
シーニの叫びを聞いて竜巻がすぐ近くまできていたことに気がついて、急いで竜巻から逃げる。
「くう! 魔法が使えないんじゃ魔道具も取り出せない……どうしたら」
「代わりになる武器もこの場所には有りそうにありません。 めちゃくちゃ徹底的に叩きのめす気満々じゃないですか! いわゆるゲームの詰みポイントですか!? コンチキショウメェー!」
「うわあああ!どうしよー!!」
わたしたちは口々に叫びながら必死に逃げ回る。
「ちょ、ちょっと止まって!!」
シーニの声でわたしたちは止まる。
いや、止まるしかなかった……。
「そ、そんな……」
「私達は此処で立ち止まる訳には行かないのに……止まるんじゃねぇですよ……」
「ここが端みたいだね…」
わたしたちは塔の端にまで追いつめられてしまった……。
塔の下をみると思わず「ヒェ…」という声が出てしまう。そこの見えない程高く、風の吹く音が塔のしたから壁を伝って聴こえてくる。
「こうなったら一か八か!」
シーニはもう一度地面に手をつける。 しかし、なにも起こらない。
「うぅ! やっぱりダメか……」
やっぱり魔法がだせなかったみたい。
「どうにかして逃げ場を造らなくては……だけど、もうそんな余裕はありません」
マルは口に手を当てて考えるけど、もう目の前に竜巻がきていた。
「クッウ! 万事休すですか」
「おねがい!なんでもいいからでてぇーーーーー!!」
わたしはとっさに手を前にだして叫ぶ。 魔法が封じられてるのは、わかってるけど、なにもしないわけにはいかないよ!
すると、わたしたちの周りがドーム状の空間につつまれた。
「え?」
「!?」
ドーム状の空間は、竜巻を防ぐ、いや、『弾いた』が正しいのかな?
「これって《防御魔法》!?」
「魔法は封じられているはずじゃ!?」
二人は眼を見開いて驚き、わたしをみる。
「え? え? どうして?」
わたしが一番驚いていた。
「それに確か、アカリの魔力の色って《赤》だったはずです」
「なるほど、『白』の魔力の持ち主でしたか」
白の魔力?
困惑するわたしたちとは違ってクーデリアは冷静にいう。
「そうか、副色魔法か!」
シーニがなにかに気付き声を出す。
「本来の魔力とは別に人それぞれ少なくとも一つ持っているやつだね」
「白って確か虹の七色に含まれていない色です」
「ならクーデリアの魔力封じに引っかからないね」
「ですが、まだ扱えないようですね」
クーデリアの云う通り、バリアにヒビがはいる。 それをみたわたしはあたふたと二人の顔を交互にみる。
「あ、えっと、どうしよう! とっさにだしたからどうコントロールしたらいいの!?」
うまく魔力コントロールが出来なくて徐々に竜巻に押されてしまう。
「大丈夫です! アカリお箸を右手から左手に持ち替える感覚です」
「わたし右手でしかお箸持てないよ!?」
「じゃあ、格闘ゲームからパズルゲームに切り替える感じで!」
「わたしかわいいモンスターを育てるゲームしかやったことないよ!?」
二人は必死に魔力コントロールのコツを教えてくれるけど、わたしがおバカすぎて理解できないよ!
「では、トランプです! 同じカードでも色んな遊びに切り替える感じです!解りますよね? 解ってください!」
「ごめん! ババ抜きしかルールしらないよぉ!」
「だったら! らーめんとうどんの違いとか!」
「それって好みだよね!?」
そうこう言っている内にヒビが大きくなる。
「こうなったら一か八かです!」
マルはわたしの肩に手を乗せた。 すると、すこしヒビが直った。
「よし、上手くいきました」
マルは「よしっ!」と空いた片手でガッツポーズをする。
「マルなにをしたの?」
「わたしも副色魔法を使ってみました」
「どういうこと?」
「わたしの魔力の色は『橙色』ですが、副色魔力は『銀』です。 ですが、わたしの銀の魔力は創造魔法を使う時の『形』の部分しか創れなくて、実態を創るには橙の魔力が大半を占めていて、先程もそれのせいで魔法が使えませんでした。 なので、その『形』の部分をアカリを経由して創ってみました」
「なるほどそういうことなら」
マルの説明を聞くと、シーニもわたしの肩に触れ、ヒビがさらに直った。
「わたしも『銀』だからね」
「ナイスです。 シーニ」
「なかなかやりますね。 なら」
クーデリアは竜巻をさらに二つ増やした。
「人数分増やしました」
クーデリアはおまけといわんばかりにいう。
「余計な御世話ですよ! 人数が増えると逆に難しくなる鬼畜ゲーですか!?」
「マル、ツッコンでる場合じゃないよ」
「ど、どうしよう!? またヒビが!」
ヒビが広がってさっきよりも大きくなる。
「とにかく、修復をしなければ」
「ダメ! もう追いつかないよ」
二人ががんばって直そうとしてくれるけど、間に合わなくて、次の瞬間バリアがガラスが割れるような大きな音を立てて砕けてしまった。
「うわあぁーーーーーーーー!!」
その反動でわたしたちは後ろに飛ばされてしまった。
そして、その勢いでクーが手から飛ばされた。
「ピュウゥーーーーー!」
「クー!!」
わたしは飛ばされたクーをなんとか空中で捕まえることが出来た。
しかし、下を見るとなにもなくあるのは、塔からカラダを投げだしたことによる浮遊感という名の落下だけだった。
「うああああああああ!」
叩きつけるように重力がカラダを襲う。
「アカリ!!」
そのまま下に落ちたわたしをマルとシーニが崖に片手だけを残して、わたしの左手を掴んだ。
「マル! シーニ!」
カラダ全体に重い重力を受けながら、上を見上げると、マルとシーニが辛そうな顔で片手だけで崖を掴んでいた。
「アカリ大丈夫ですか!?」
「今引き上げるからがんばって!」
二人はわたしを引き上げようとがんばってるけど、女の子が片手以外身を投げ出して人を引き上げるなんて難しいよ!
「二人とも! このままじゃ二人も落ちちゃうよ! だから、わたしの手を放して!」
わたしは辛そうな二人の顔に耐えられずに叫ぶ。
「! なにをバカな事を言ってるんだよ! そんなこと出来る訳ないだろ!」
「そんなの『わたしを殺して』と云ってるのと同じです!」
二人は必死に耐えながら、わたしを怒る。
「で、でも!」
「でももデモも起こしませんよ!」
「このまま手を放したら一生わたしは後悔すると思う。 いや、絶対する! だから、腕が千切れてもこの手は放さないよ!」
「右に同感です! ここで大親友を見捨てて自分だけ助かるなんてただのクズです! もし、別世界の私がそんなことをしたらぶん殴りに行きます!」
「マル……シーニ……」
二人の言葉にわたしは胸の奥が熱くなる感覚がした。 だけど、わたしを絶対放さないとがんばってくれてるけど、二人の顔がどんどん青白くなっていく。
「さて、その状況からどうしますか?」
「!?」
クーデリアの言葉にわたしたちの目の前に竜巻が来ていることに気がつく。
「う、ウソでしょ!?」
「この状況で攻撃してくるなんて超絶鬼畜じゃないですか!!」
「ごめん! 二人とも!」
竜巻の風の勢いに押されて二人の手が崖から離れる。
「っあ!」
「しまっ!?」
耐えていた分の重力が一気にカラダを襲って、そのままわたしたちは塔から落下してしまう。
「うわああああああああ!!」
ごめん! クー、マル、シーニ……わたしのせいでこんなことに…わたしがドジをしなければ、わたしがバカじゃなければ、こんなことにはならなかったかもしれないのに! 本当にごめん! せめてクーと二人だけでも助ける方法はないの! お願いわたしはいいからみんなを助けて!
「ピュゥルーン!!」
「!?」
突然、クーが眩いヒカリを放ち輝き出した。
そして、クーの輝きと共にわたしたち三人のカラダも赤、青、橙とそれぞれ輝き出し、それに呼応するかのように塔の下から四本の、緑、紫、黄、水色の四色のハネが飛んできてそれぞれ輝きながらわたしたちの周りを包んだ。
「こ、これは!?」
「もしかして!?」
「『みんなの魔力を込めたハネ』!」
「ピュルルルーン!」
みんなの魔力の込められているハネとわたしたち三人の魔力がクーに注ぎ込まれクーはさらに輝きを増し、姿を変えていった。
「ビュルーン!!」
クーはハネが七色に輝く美しいトリに姿を変え、わたしたちを背中に乗せる。
「! クー!? クーなの!?」
「ビュルン♪」
わたしが聞くとクーはゲンキに返してくれる。
「これは……進化……?」
「こんなことがあるなんて……」
二人は驚きのあまり言葉を失う。
わたしたち三人を乗せたクーは塔の屋上まで飛び塔の床に降り立つ。
「ありがとう! クー」
クーから降りると正面から抱きつく。
「二人もありがとう! それと、ごめんね!!」
二人に抱きつきお礼をしてあやまる。
「謝罪の言葉はいりません」
「そうだよ。 みんな無事だったんだし」
「はい。 死ななければ、みんな掠り傷って奴です」
二人は優しくわたしの頭を撫でてくれる。
「見事です」
「!?」
クーデリアの声が、助かった感動の余韻に浸っていたわたしたちにの空気を壊し、また緊迫した空気が流れる。
「さて……」
まだなにかあるの? と思いわたしは思い唾を飲む。
「合格です」
「……え?」
突然そんなことを言われ、わたしたち三人は間の抜けた声を出す。
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世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
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里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
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◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
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