カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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逃亡者マル編

57色 丸内林檎の聞き込み調査1

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「そろそろ二人と合流したころでしょか?」

 私は周囲を警戒しながらそういうと、黒崎さんも辺りを警戒しながら返す。

「あいつは言動はBBA臭いが仕事は早いからな」
「BBAって、略しても略しきれてない呼び方じゃないですか」

 のじゃ魔女さんにあの場所を調べてもらう様にお願いをして、私と黒崎さんは人通りの少ない路地裏を歩き、事件現場の服屋さんを目指していた。

「丸内、止まれ」

 黒崎さんに言われて私は歩みを止める。

「どうしましたか?」
「誰かいる」

 路地裏の曲がり角の直前でその先にある気配に気が付いた黒崎さんはいう。

「あの浮いている少年ともう一人はどこに行った?」
「さあな、だが、まさか勘づかれていたとはな」

 この声は追っ手の人でしょうか? 分かることは『浮いている』ということは恐らくノワルのことでしょう。 私の読み通りに二人の近くにいたんですね。 しかし、その二人が逆にこっちに来てしまうとは……。

「丸内、スイッチを入れろ」

 黒崎さんは私に指示を出す。

「分かりました。 ですが、私が隠れることが出来ても黒崎さんはどうするんですか?」
「そうだな……そこの物陰に隠れるとする。 バレたら奴らの意識を飛ばす」
「出来れば穏便に済まして下さい」

 物騒なことを言い出した黒崎さんに一応釘を刺しておく。

「あの二人を見失ってかなりの距離を探したが、本当に逃げ足が早かったな」
「多分だが、魔法を使ったんじゃないか?」
「確かに、1人は浮いてたからその可能性はあるな」
「だが、浮いて逃げたらすぐに分かりそうなんだけどな」
「まあ、別の方法でも使ったんだろう」

 そんな会話をしながら二人は私達の隠れる物陰を過ぎて行く。 二人の会話が遠くなって聞こえなくなったことを確認して私達は物陰から出る。

「桃山の魔力感知ぐらいじゃなきゃ『あれ』は見破れないかもな」

 二人の過ぎて行った先を見ながら黒崎さんはいう。

「『あれ』ってノワルの魔法のことですか?」
「ああ、あいつ変わった『魔力チカラ』を感じたからな」
「変わったですか?」
「まだ、詳しくは分からんがあいつは何かを感じた」
「なるほど、さすがですね」
「?」

 私の返しに黒崎さんは少し驚いた顔をする。

「確かにノワルには何かありますが、まあ、今は関係ないので行きましょうか」
「は?」

 私の謎の返しに黒崎さんはポカンとするが「まあ、そうだな」と納得してくれたみたいで私達は先に進む。


 
 現場の近くまできた私達はとある場所の前を通りかかり、私は足を止める。

「どうした?」

 急に足を止めた私に黒崎さんは言ってくる。

「少しこちらに寄ってもいいですか?」

 私が指した場所をみて黒崎さんは怪訝な顔をする。

「おい、まさか呑気に『お茶』でもする気か?」

 黒崎さんが云うのも無理はない、私が指した場所はケーキ屋兼喫茶店なのだ。

「違いますよ、ここに頼れる友人がいるので、情報を頂ければと思いまして」
「そいつは信頼出来るのか?」

 私の言葉に黒崎さんは疑ってかかる。 さすが現役魔導警察の方ですね。 警戒心がお強いです。

「はい、少し変わった子ですが、信頼出来る人なので大丈夫です。 私が保証します」

 私がそういうと、黒崎さんは「そうか」と一言いってお店に入って行く。 私もそれに続く。

「いらっしゃいま……マル!? アナタ、ナニやってるのよ!?」

 お店に入ると、エプロンを着けた少女が出迎えてくれたが、私に気付いて慌ててよってくる。

「こんにちは、スミレ、こちらは私の無実の証明を手伝ってくれている黒崎さんです」
「あ、はい、この子が迷惑かけてます」

 スミレは黒崎さんにお辞儀をすると奥の席に案内してくれる。

「多分、ここなら大丈夫ね」
「マルウチさん大丈夫?」

 その隣の席に緑色のパーカーで髪の毛がくるくると跳ねている少年が話し掛けてきた。

「何でお前がいる?」

 それをみた黒崎さんは少し動揺しながらいう。

「あ、すみません。 ごめんなさい、こんにちは黒崎さん」
「ああ」

 くるくる少年こと緑風くんは黒崎さんに律儀に頭を下げて挨拶する。

「こんにちは、緑風くん、今日は何故こちらに?」

 私は席に座りながら聞くと答えてくれた。

「えっと、たまたまコーヒーゼリーを食べにきたらね。 ここにくる途中でマルウチさんが追われてるって噂を聞いたんだ。 だから、ちょうどムラサキさんのお店に行こうとしてたから、ムラサキさんに伝えたんだ。 それでしばらく様子をみてたらたまたまマルウチさんがきたんだ」

 緑風くんはざっと説明してくれた。

「なるほど、噂ですか……でしたら、その噂で気になることはありましたか? スミレも何かお客さんで何か気になることを言っている人はいましたか?」
「まあ……あるにはあるはね……」
「?」

 私の質問にスミレは何故か煮え切らない感じで返してくる。

「なんだ? はっきりしろ」
「あ、えっとですね」

 それをみた黒崎さんは少し高圧的に聞き返すが、緑風くんが答えてくれた。 

「ぼくもさっき他のお客さん話してるのが聞こえてきただけなんですが、『日紫喜書店の息子さんが何かをみた』って話していました」
「日紫喜書店……なるほど、スミレが話したがらない訳です」
「なんの話だ?」
「いえ、こちらの話です。 緑風くんありがとうございます。 かなり気になる情報です」
「ううん、ぼくじゃなくてムラサキさんのおかげだよ」

 お礼をいうと緑風くんは手をブンブンと振りながらいう。

「え? そうなんですか?」
「違うわよ」

 私が聞くとスミレは少し機嫌が悪そうにいう。

「えーっと、いってもいいのかな? うん、ムラサキさんのおかげだしいったほうがいいよね!」

 緑風くんは少し考えた後に言葉を続ける。

「ムラサキさんがお客さんにいろいろと情報を聞いてくれたんだ。 その話をしていたお客さんからもムラサキさんが情報を聞きだしてくれたんだ」
「ちょっと! アナタ余計なことをいわないで」

 緑風くんに暴露されてしまったスミレは緑風くんに詰め寄る。

「ご、ごめんね! でも! ムラサキさんのがんばりをぼくなんかがうばっちゃダメだと思って」

 緑風くんのまっすぐな言葉にスミレは驚いた顔をした後、言葉を返す。

「……まあ、その悪かったわ……別にアナタを責めたかった訳じゃないの……その……アイツの名前が出てきたものだから……つい」
「全然気にしなくてもいいよ。 ムラサキさんのおかげだから」
「アナタ……むやみやたらに人を褒めるのはやめなさい、むず痒いわよ……でも、その、ありがとう」

 スミレは照れ臭そうにお礼をいう。

「おい、俺は何を見せられている?」

 今まで黙っていた黒崎さんが口を開く。

「おっと、これは失礼しました。 二人ともありがとうございます。 二人のおかげで確認する場所がもう1ヶ所出来ました」
「そこに行くのか?」
「はい、そこによれば私の考えが、『確信』に近くなると思われます」

 私と黒崎さんが席を立ち上がろうとすると、入り口のベルが鳴り二人の男の人が入ってきた。

「!? 丸内隠れろ!」

 その人達をみた黒崎さんは慌てながらも小声でいう。 私は慌てて机の下に隠れる。 本来ならキーホルダーのスイッチを入れるべきなんでしょうが、急に云われたものでつい……。

「いらっしゃいませー」

 スミレのお母さんが接客をしているようです。

「すみません。 警察です。 お聞きしたいことがありまして、捜査に協力お願いします」

 机の下に隠れて一瞬しか見えなかったが、入ってきた二人は先程の二人とは違うみたいですね。

「服屋の店主が殺害された事件についてなのですが」
「はい……聞いております」
「そちらの事件についての容疑者の丸内林檎の聞き込みをしておりまして、何か目撃者情報があればお願いします」

 目撃情報を探しているということは、私がここにいると知っていてきた訳じゃないんですね。

「すみません、そのことについてはなんとも言えないですね」

 何とか匿ってくれるみたいです。

「あの、ぼくマルウチさんがどこにいるかしってますよ」
「!?」

 えっ!? この声は緑風くん!?

「本当かい!? どこにいるのかな?」
「えっと、カーミンからこの商店街にくる途中で見かけて、少し離れた本屋の近くでなにかを探してるみたいでした」

 ん? これはもしや?

「なにを探していたかわかるかい?」
「はっきりとは分かりませんけど、多分、情報ですかね? ぼくもここにくる途中の噂で聞いただけなので……すみません、おチカラになれず……」
「いや、ありがとう助かったよ。 この商店街からカーミンの間に捜査網を広げよう」

 ベルがもう一度なり出ていったみたいだ。 私は恐る恐る机の下から顔を出す。

「……アナタ……なかなか……恐ろしいことをするわね……」
「もし、うまくいかなかったらどうしてた?」

 スミレと黒崎さんはかなり困惑した感じで戻ってきた緑風くんにいう。

「すみません、えっと……余計なことだったでしょうか……?」

 緑風くんは二人の反応をみて謝る。

「正直、いきなり裏切ったかと思ったわよ」
「ごめんね、そうみえても仕方ないよね。 でも、違うよ!」

 緑風くんは慌てて訂正する。

「ええ、分かってますよ。 私もはじめは驚きましたが、なんとなく緑風くんの考えは分かりました」
「どういうことだ?」

 黒崎さんが聞いてくる。

「『半分本当で半分嘘の情報』をいったんですよね?」

 問いかけると、緑風くんは頷く。

「うん、正直、ウソはあまり好きじゃないけど、ウソを付くときはすべてウソじゃなくて『本当のことを混ぜる』と人は信じるってオニーがいってたんだ」
「それに日紫喜書店から遠ざけてくれましたね」
「うん、マルウチさんがこれから行くっていってたからそこから離さないといけないと思って」
「そこまで考えてたの?」

 緑風くんの言葉にスミレは驚く。

「こいつはなんだ……天才なのか、ただの天然なのかますます分からん……」

 黒崎さんも驚いている様子です。

「とにかく助かりました。 そろそろ行くとします」
「待ちなさい」

 行こうとする私をスミレが止める。

「念には念をよ、裏口から出なさい」
「何から何まで感謝します」
「礼はいいからさっさと無実を証明してきなさい。 とは、いってもそんなのこの商店街にいるみんな分かりきってるけどね」

 スミレはクスリと笑いながらいう。

「緑風くんもありがとうございます。 今度コーヒーゼリーでも奢りますね」
「ぼくもお礼はいいよ。 逆にここまでしかチカラになれなくてごめんね」
「いえ、寧ろ大手柄です」

 二人に感謝の言葉を告げる。

「そろそろ行くぞ」

 黒崎さんにいわれ、私は裏口に向かうと後ろから緑風くんが「がんばって!」と声援をくれた。

「まあ、気をつけなさい」
「はい」
「助かった」

 裏口を開けスミレがいい私と黒崎さんは一言ずつお礼の言葉を口にして目的地に向かった。 

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