カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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逃亡者マル編

58色 丸内林檎の聞き込み調査2

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 私達は日紫喜書店の裏口、つまり、玄関の方にやってきた。 そして、インターホンを押す前に周囲を見回すとあることに気付いた。

「なるほど、そういうことですか」

 その事の『確認』の為にインターホンを押した。 数秒程、待ったのち、ドアが開かれた。

「はい……って、八百屋のマル!?」
「失礼しますね」
「邪魔するぞ」

 驚くメガネくんを無視して、私達は玄関に押し入る。

「ちょっと、いきなりなんだい!? 人の家にズケズケと!? それになんでアナタもいるんですか!?」

 メガネくんこと日紫喜書店の息子の日紫喜怜太にしき れいたくんは、いきなり入ってきた私と黒崎さんに質問する。

「まあ、成り行きだ」
「単刀直入に云えば、メガネくんに聞きたいことがあって来たんですよ」

 一言だけで済まそうとする黒崎さんの言葉に私は説明を付け足す。

「君が僕に聞きたいことだって?」

 メガネくんは警戒しながら返す。

「まさか、僕に落とし前でもつけにきたのかい?」
「落とし前ですか?」

 私は彼の言葉が理解出来ずに聞き返す。 すると、彼もポカンとした表情をする。

「なんだい? 僕が『君をみた』って言ったから、追われてるんだろ?」
「なに!?」

 メガネくんの発言に黒崎さんは驚く。 勿論、私もですが。

「……それは、誰にでしょうか?」
「確か、糸池っていう刑事さんにだね」

(なるほど、その名前がここで出てきますか)

 手を顎に当てて私は考える。

「それは何時だ?」

 黒崎さんはメガネくんに質問する。

「今朝の開店前にお店の本の整理をしてた時だから、7時前とかだった気がするよ」
「……妙だな……何故、そんな早い時間に来たんだ」

 黒崎さんは眉間に皺をよせて考える。

「因みにどのような経緯の会話でそうなりましたか?」

 私は一度考えるのをやめて、気になっていたことを質問すると、メガネくんは思い出す様にいう。

「確か、『自分意外で最後に服屋に入店したのは誰だ』ってね」
「!? なんだ? その質問は?」

 謎の質問に黒崎さんは困惑するが、私はその質問の意味を何となく察する。

「…………なるほど、繋がってきましたね。 疑うようで申し訳ないのですが、その会話の証言人などはいますか?」

 私は念のために確認する。

《ワタシが保証しよう》
「!?」

 突然、私の頭の中にテレパシーの用なモノが流れてきた。

《なかなか戻って来ないと思って来てみれば、いつまでワタシを待たせるきだ?》

 声のというかテレパシーのした方を見てみると、カワウソの人形が浮いていた。

「まさか……お前、マモノか!?」

 黒崎さんは驚きながら聞く。

《また、会ったな勇者の末裔》

 勇者の末裔? 何のことでしょうか?

「というか、お前なんだ、その滑稽な姿は」

 黒崎さんは少し嘲笑うようにいう。

《……いや、ワタシにもいろいろあったのだ……》
「お前にいろいろだと?」

 黒崎さんはバカにするように聞き返す。

《ミドリカゼクウタに渡された依り代だ》
「!? …………そうか」


 その名前を聞いた瞬間、黒崎さんはそう一言だけ言って何も云わなくなる。

「ここで彼が出てくるとは気になりますね」
《さて、話は戻るが、証言人とやらがいればいいのだろう》

 触れてほしくないのか、カワウソくんは話を戻す。

「まあ、そうですね。 メガネくん、貴重な証言感謝します。 いきなり押し寄せてすみません、今度お詫びの品でも持って来ますね」
「別にいいさ、僕としては自分の証言で冤罪を生まれても気分が悪いからね。 さっさと証明してきなよ」
「感謝します」

 私達は一言お礼を言ってその場を後にした。


 寄り道をしましたが、事件のあったお店の前まで戻ってきた。 私はここにくる前にキーホルダーのスイッチを入れて姿を消していた。

「黒崎さん!? なぜここに!?」

 お店の入り口前で警備をしていた警備員は黒崎さんをみて驚く。

「ここを調べたくて戻って来たんだ」

 黒崎さんは説明する。

「ですが……黒崎さんとはいえ、勝手にここを通す訳には……」
「上の許可ならしっかりと貰っている」

 警備員は口ごもるが、黒崎さんはタブレットの画面を見せる。

「これでいいだろ?」
「そういうことでしたらどうぞ」

 画面を確認すると、敬礼して、あっさりと通してくれた。

 服屋に入ると、数人の捜査員の方がいた。

「丸内いいぞ」

 黒崎さんは私だけに聞こえるようにいうと、事件現場を捜査していく。 私も捜査員の人を避けながら周りを見ていく。

(さて、まずは全体の確認ですね)

 まずは、服井さんが倒れていたであろう場所は白い線で形を描かれていた。 手が頭より上に上がった状態で倒れていたみたいですね。 これは『うつ伏せ』ですかね? それとも『仰向け』ですかね? どちらかによっては大きく考えが変わりますね。 私は声が聞こえないように気をつけながら、マイク越しに黒崎さんに話し掛ける。

「黒崎さんひとつ確認して貰いたいことがあります」
「なんだ?」

 黒崎さんも周りに気をつけながら返す。

「服井さんが『うつ伏せ』か『仰向け』どちらで倒れていたか確認してもらえますか?」
「分かった」

 黒崎さんは近くにいた検査員の方に話し掛ける。

「すまんが、ひとつ聞いてもいいか?」
「はい、なんでしょう?」
「被害者は『うつ伏せ』か『仰向け』どちらで倒れていた?」
「『うつ伏せ』ですね」

 検査員の方は、タブレットを確認しながらいう。

(『うつ伏せ』ですか……。 そうなると……)

 私は思考を巡らせる。

「そうか、他にナニかあるか? 『致命傷』とか」

 黒崎さんは、気を回してくれたのか、少し大きめの声で聞くと、検査員の方は、もう一度タブレットを確認して答える。

「後頭部に『打撃痕の様なもの』がありましたね」
「『うつ伏せで後頭部に打撃痕』やはり背後からの奇襲か?」

 黒崎さんの言葉に検査員の方は首を横に振る。

「いえ、それにしては、不可解なことがありまして」
「不可解?」

 黒崎さんの言葉に検査員の方はタブレットをスワイプさせながら言葉を続ける。

「床の一部に凹んだ跡があり血痕を『拭き取った形跡』があります」
「拭き取った? なぜそんなことを?」

 黒崎さんの問に、捜査員の方も首を傾ける。

「さあ、そんなことするぐらいならまず、『遺体を隠す』はずなんですが、それに一番気になることがひとつ」
「なんだ?」
「前頭部にぶつけた『跡がない』んです」
(!?)
「なんだと!?」

 黒崎さんもその不可解さに気がついたのか驚く。

「おかしいな……背後から襲われて倒れたとしたら、倒れ方にもよるが、前頭部を地面にぶつけた『跡がある』はずだ」

 黒崎さんは考える仕草をする。

 私はもう一度周囲を確認するとあることに気がついた。 それは、お店の中は一切荒らされた痕跡はないのだ。

(なるほど、違和感の正体が分かりました)

 もう一度白い線を見る。 そして、線の足元辺りを注目すると、こちらもナニかが倒れたように少しへこんでいた。

(繋がりました)

 すべてのピースが繋がり、私の中でひとつの結論が導き出された。

「おい! なぜお前がいる!」

 突然、入り口の方から怒鳴り声が聞こえてきて確認すると、糸池刑事が佇んでいた。

「見ての通り事件現場の捜査だ。 しっかりと許可証もあるぞ」

 少し挑発的に黒崎さんはいう。

「く……!」

 それを見た糸池刑事は口ごもる。

「役者が揃ったので丁度いいですね」
「!?」

 私はキーホルダーのスイッチを消すと姿を現す。

「丸内林檎!?」

 糸池刑事の含め周りの検査員の人も突然姿を現した私に驚いている。 黒崎さんも目を見開いて驚いていた。

「なにをやっている!? 容疑者を捕まえろ!」

 糸池刑事は直ぐにハッとして、周りの警官に指示を出す。

「事件は解決しました」
「は?」

 私の言葉に糸池刑事は唖然とする。

「私を捕まえるのは、事件の真相を語ってからにして貰いたいですね」
「なんだと!? いいからさっさと捕まえろ!」
「待て」

 黒崎さんが周りを静止する。

「『真実を見つけ出した』といってるんだ、聞くだけ聞いてもいいんじゃないか?」

 黒崎さんの言葉に周りは動きを止める。

「それでも捕まえるというなら好きにしろ、警察は事件を隠蔽したと発表するだけだ」

 黒崎さんは少し脅すようにいう。

「く……!」

 糸池刑事は渋々承諾した。

「黒崎さん、ありがとうございます」
「いいからさっさとはじめろ」

 黒崎さんにお礼をいうと私は事件の真相を語る。

 丸内林檎の推理劇開始です。


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