カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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ひと夏の思い出編

116色 みんなはどこへ? 

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「…………」
「…………」
「…………」

 ロビーに重い空気が流れる。 数時間前までみんなで楽しくはしゃいでいたロビーは減った人数に比例するみたいに広くなっているように感じた。

「みんなどこにいっちゃたんだろうね……」

 わたしは誰に聞いていいのか分からず、独り言みたいに呟くと、スミレがため息を吐きながら答える。

「それが分かってたらこんな空気になってないわよ」

 わたしとシアン、それと、スミレとイブキくんのところにすごい慌てた様子でクロロンとリーンがやってきて状況を説明してくれた後、わたしたちはマルの伝言通りロビーで待つことにしたんだ。 だけど、そのマルが数時間立っても戻ってこないんだ。 それに、ひとりで部屋にいたはずのレータの姿もなかったんだ。

「……ねえ……もしかしてだけど、マルちゃんと荒谷くん……それに、メガネくんも……」

 リーンがみんな薄々感じていたことを口にする。

「ええ、多分、『いなくなった』わね」

 言いにくそうにするリーンの代わりにスミレが冷静にいう。

「いくら捜査にのめり込むマルだって、さすがにこんなに待たせたりはしないわよ。 それに、あの子が『直ぐに合流する』っていってできていないんだから、確実にナニかあったわね」

 スミレは目の前にある氷の溶けたコップをみながら淡々と答える。

「さて、帰る準備でもしましょうか」
「え!? 帰る準備って?」

 机から立ち上がりいうスミレにわたしは驚きながら返すと、スミレはこちらに目を向けずに答える。

「アマミさんだって言ってたじゃない、『わたしたちが戻ってこなかったらわたしたちを置いてでもここのリゾート地を離れろ』って」
「そ、そうだけど……」
「でも、このままわたしたちだけ避難って訳にもいかないよね」

 わたしがどういっていいか困っていると、リーンも同じことを思っていたのか、代わりにいってくれる。
 
「だって、なにも分からないままあっちゃんたちがいなくなりましたってノコノコ家に帰るなんてそんなことできないよ!」
「だからって今のワタシたちにナニができるのよ」
「だからって、このままみんなを見捨てて帰るなんてことできないよ!」
「別にワタシはいなくなったみんなを見捨てようなんていってないわよ。 ワタシたちまでいなくなったら元も子もないから、せめて情報だけでも持ち帰って魔導警察とかに報告するのよ」
「でも! その魔導警察が動いたところでなんも進展がなかったんでしょ!」
「だったら、アナタはナニがしたいのよ」

 必死に訴えるリーンにスミレは徐々にイライラしだして言い争いがはじまってしまう。

「ふ、ふたりともおちついて」

 なんとかわたしは止めようとするけど、空気は重たいまんまだ。
 
 頼りになるおねえさんのシーニやピンコさん、それにオトナの代わりに場をまとめてくれそうなマルとフラウムがいなくなっちゃったから、みんなどうしたらいいか分からないでいた。 

「……ぼくは……探したい」
「え?」

 クロロンがポツリという。

「ぼくなんかになにができるんだってのは、ぼく自身が一番分かってるけど、多分、今一番手掛かりを持ってるのは、『ぼくかもしれない』んだ」
「手掛かり?」
「うん、一緒に話してた、まるうちさんとあらたにくん、それにきのせさんのみんながいなくなっちゃったってことは、情報共有できるのが、たぶん、ぼくだけになっちゃったってことだよね?」
「た、たしかに、わたしはお店の中の状況は入ってないからしらないよ」

 リーンはハッとなって思い出したようにいう。 わたしはそれに続いてクロロンに聞く。

「じゃあ、クロロンのしってることおしえて!」

 クロロンは頷くと、マルたちと話していたことを教えてくれた。

「一人になった瞬間を『狙われてる』ってこと?」

 話を整理しながらリーンがいうと、スミレが腕を組みながら答える。

「そうともかぎらないわ。 だって、緑風くんの話によると後ろにいた黄瀬さんがいつの間にかいなくなっているってことだし、それに、マルとトウマくんも一緒にいたのに戻ってこないってことは、多分、『一瞬目を離した隙』ってことじゃないかしら」

 スミレの推理にみんな少し驚いた表情をしていると、スミレはみんなの視線に気が付き眉をしかめる。

「ナニよ?」
「い、いや、スミちゃんすごい的確な推測をするなって思って」
「ナニ? バカにしてるの?」

 スミレはさらに眉をしかめながらいうと、リーンは手を前でブンブン張りながら慌てて返す。

「ち、ちがうよ! マルちゃんみたいに探偵みたいなことをいうからすごいと思って」
「昔から近くにいたから、考え方が似ただけよ」

 スミレはため息を付くと気を取り直し話を続ける。

「まあ、情報を共有したところでワタシたちにできることはないわ。 それに、こんな重要な手掛かりがあるなら、尚更、ここ島から出て伝えるべきよ」
「で、でも……」
「うん、そうしようか」
「!?」

 スミレの言葉に賛同した声にわたしたちは驚く。 その声を発したのはクロロンだった。

「ぼくもできることならいなくなったみんなを探したいっていったけど、ぼくの行動のせいでみんなを危険な目に合わせるわけにはいかないよ。 だから、ここはむらさきさんのいう通り『情報を持ち帰る』のが大事だと思うんだ」
「そう、賢明な判断ね」

 スミレもクロロンの言葉に驚いていたけど、髪をかき上げながら一言だけ返し、それを見たクロロンは言葉を続ける。

「それに、本当はむらさきさんもみんなのことを心配してるんだよ。 そのむらさきさんの気持ちを考えると、ぼくだけの意見で探しにはいけないよ」
「ち、ちがうわよ! ワタシはあの子と違ってリスクを下げたいだけよ。 それに、わざわざワタシが危険なところに足を踏み入れる筋合いはないわよ」

 クロロンがやさしくスミレに笑顔を向けると、スミレはなぜか顔をすこし赤くして慌てて返す。 それをみていたリーンはなぜかすこし複雑そうな顔をしていた。

「ま、まあ、そういうことよ。 分かったらさっさと荷物をまとめてこの島から出るわよ」
「残念だが、それは無理だな」
「!?」

 わたしたちの意見がまとまろうとした直後、それを壊すような言葉が飛んできた。

「! アナタ……!!」

 スミレはその声の人物をみると驚きの声をだす。 わたしたちもその人物をみて驚きの表情を浮かべた。

「レータ!?」

 そういなくなっていたはずのレータがロビーの柱の陰から姿を現したのだ。

「え!? メガネくん無事だったんだね! どこに行ってたの!? ちょっと忘れてたけど心配してたんだよ!」
「ウソでもいいから忘れてたなんて言ってやるな」
「……メガネ……生きてたのね……」
「なんで残念そうなんだ?」
「……あれ? もしかして」
「…………」

 レータの変な返しにわたしは違和感を感じて、もしかしてと考えていると、クロロンとシアンの反応を確認してみると、それが確信に変わった。

「もしかして、マモ?」

 リーン、スミレ、イブキくんは気づいてない感じだったけど、レータの眼の色が『赤色』に変わっていたのだ。 わたしの言葉を肯定するようにクロロンとシアンがレータ(マモ)に聞き返す。

「マモくん、無理ってどういうことかな?」
「……なんで、メガネに憑依してるんだ?」

 何故か別人に話しかけるようにいう二人に三人は驚いていた。

「マモくん……って、もしかして、あのいつもカワウソの人形に入ってた『魂くん』のこと!?」

 リーンは思い出したのか驚きながらいう。

「まあ、別にいつもあの人形に入ってる訳ではないが、そういうことだ」

 マモは微妙な表情を浮かべながら返すと、気を取り直して続ける。

「こいつのカラダに入った理由だが、『連れてかれそうになったから助けてやっただけだ』」
「え!? つれてかれそうに!?」
「ああ、こいつが部屋でひとりで本を読んでいる時に突然、『精神魔法』にかけられて連れてかれそうになったから、面倒だが仕方なく助けてやったんだ」

 マモは冷静に説明を続ける。

「それでついでにこの場所について調べていたんだ」
「れいたくんを助けてくれてありがとう」
「ふん、気が向いただけだ」
 
 クロロンがお礼をいうと腕を組み顔を横に向けながらいう。

「無理だといった理由だが、キサマラが乗ってきた鉄の塊を動かせる人間達が『魔力を吸われて再起不能』になっていたぞ」
「え……!」

 あっけらかんと答えるマモにわたしたちは戦慄した。
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