下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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新たなる出会い

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呼ばれて下宿屋のみんなの所に行き、二人の温泉旅行を暴露すると、新婚旅行だ!と冷やかされて照れているところでプレゼントを渡す。

栞は泣いてしまい、冬弥は照れて困っている。

ふと、那智が何してるのか気になりカウンターを見ると、日本酒におでんを食べている。

「隆弘さん、見て見て」と那智の方を向くと、ブハッと笑ってしまった。賢司も同じ反応で、俺たち行ってくると言ってカウンターに行ってしまい、一緒に飲んでいるのでいいかなと思い、おつまみを食べながら海都と携帯のゲームで遊ぶ。

「あ!雪翔バナナ投げるな!」

「だって亀が来ないんだもん」

「上手くなったから違うコースやって見る?もう行けるだろ?試したか?」

「一度行ったけど炎のコースは苦手。氷のコースは何とかゴール出来たけど」

「海はした?」

まだだと言うとそこにしようとの事になり、対戦していたが、砂浜に入ると遅くなるので気をつけながらやってもなかなか進んでくれない。

二人同時ゴールして一旦やめて、ご飯物が来たので取り分けて食べる。

お皿に焼きうどんを入れていたら、こちらにもくれとテーブル席の秋彪に言われたので取りに来てもらい、向こうにないものは持って行ってもいいんじゃないかといくつかお皿を渡す。

「おいおい、俺の手は二本だぞ?」

「分けて持ってくのかなって思って」

「そっちの海都だったっけ?あまりに勢いよく食べてるから欲しくなっただけ。全部なくなりそうだから 」

そんなことは無いと海都は言っているが、一番の大食いなので否定はしない。

「俺もおでん貰ってこよう。雪翔もいる?」

「大根と卵と……はんぺん」

「まってろ!ここのおでんはすごく美味しいから」

軽い足取りでカウンターの中におでんを取りに行き、那智を見るとまだ大根をつついている。

「秋彪さん、那智さんておでん好きなの?」

「見たことないけどな。あれしか食べてないもんなぁ……見方によってはキザなスーツ野郎がカウンターでおでんて笑えるかも」

「似合わないわけじゃないと思うけど、那智さんはワインにチーズのイメージ」

「はいおでん!」と小さな鍋ごと持ってきたので、こんなに食べるの?と聞くと、じいちゃんとかおでん好きそうじゃない?と言われ、秋虎に持って行って貰う。

「あ、大根下の方取ってきたから美味いぞ!」

さらに取り分けられた大根は舌の上でとろけるような柔らかさでとても美味しい。

「美味しいね。お店でもよく売れるんじゃない?」

「そう。いつもおでんは売り切れるくらいだから、俺もたまにしか食べれないんだ」

その後はバイトはどうだとか、最近変わったことがないかとか聞き、十時をすぎたところでお開きとなり、お爺ちゃん達四人も泊まっていくことになった。

「お婆ちゃん」と栞の母に声をかけ、翡翠の服を見てもらう。

「あら!可愛い。もう話すの?」

「まだ。いつくらいから話すの?」

「そうねぇ、私の影は三匹で、来た時にはもう話してたから……お爺さんは赤ちゃんから育てたって言ってたわよ?聞いてみたら?」

その後育て方を聞きに行くと、もう二人とも寝てしまっていたので、明日の朝にすると言って薬を飲んでから布団に入る。

「キュー!キュー!」

「影に戻ろうよ……」

「キュー!!!」

「どうしたの?」

あまりにも離れないので、抱っこするとかなり体が熱い。

「しーちゃん、起きてる?」

「はいー」

「翡翠、熱ない?」

「待ってくださいね」

何やら顔の周りに手を当てていたが、「お熱高いです。赤ちゃんの熱は危険なんです!」

「え?」

「キュー!キキューッ」

「どうしよう……」

「冬弥様を呼んできます」

「うん」

しばらくして冬弥と栞の祖父が来て翡翠を見る。

「いかんな、いきなり出たのか?熱は」

「多分。出かける前に影に戻るの嫌がってたから、もしかしたらその時に熱あったかもしれない。どうしたらいい?」

「私が治しましょう。熱を下げるくらいはできますが、その後の体力の回復は翡翠しだいです」

「僕が気づいてあげればよかった……」

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