下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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七泊八日

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「無理はなさらずに……」

ガタガタと何かを動かすような音がし、洞窟に光が差し込む。

「へっへっ……起きたか?」

「誰?」

「そこの若いのは何だか危ない匂いがするから、お前だけ来い」

「私も連れていってください!」

「ダメだ。おい、出ろ!」

「僕歩けないから」とわざとしがみつく。そうすれば二人で出れるかもしれない。

「ダメだそこの使用人は後ろに下がれ。変なことするなよぉ?ほら、さっさと来い」

仕方なく張っていくと肩に担がれ大きな木に縄でくくりつけられる。

「なぁ坊主。ここから村が良く見えるだろ?なーんにも育っちゃいねぇ。なのにお前らは食うもんにも困らず暖ったけぇ布団で寝て、毎日楽しく過ごしてやがる」

「それは……」

「見てみろ。この荒れた地に上はなんにも対策をしてこなかった。税が上がる一方でおらたちゃ食うもんさえねぇ。お前の家の周りは役人がたくさんいる。みんなこの村と同じようにしてやろうってみんなで話し合ったんだよ。坊主、勘弁してくれな」

括りつけられていた木は崖に近い場所にあり、ロープを切られたら落ちて死ぬかもしれない。運が良くて落ちた先のなだらかな斜面を転がれればと下を見て最悪な場面を想像してしまう。

「おじさんは、僕が死んだらそれでいいと思うの?それで税が軽くなるの?食べ物が増えると思ってるの?」

「それはねぇ。見せしめだ……」

「僕一人殺しても、何も変わらないよ?子供一人死んだりしても、お役人様は何も思わないよ。おじさんが捕まって終わりだって……ほかの人も同じだよ?こんな事やめようよ……」

「うるせぇ」

ほかの村人も口々に黙れと言ってきたが、「何で行商人の人も殺したの?」と言うと、食べ物を盗むつもりが殴った場所が悪く死んだだけだという。
他の所でも同じことが起きていて、みんな死ぬわけがない。

「おじさん達、しょっちゅう強盗とかしてたの?」

「食うためだ!仕方ねぇんだ」

「だったら……どうして畑はこんなに荒れてるの?僕にもわかるよ?ずっと手入れも何もしてないよね?人のものを盗んで生きてきてたんだ……今回たまたまやり方を変えたら人が死んであとに引けなくなったとか……」

本の読みすぎだとはわかっているが、畑の土は乾き雑草だらけで耕しているとは思えない。裕福な場所を狙ってきたのだろうが、通る行商人を最初襲う程度だったのだろう。

その事を言うと明らかに顔色が変わったので、本の内容を思い出しながら、なんとか助かる方法をと考える。

縄を解いても走れない。今、おじさん達はみんなで話しているが、目の前にいる大人十数人に勝てる見込みはない。そして何故かわからないが、影を全く呼び出せない。
そんなことを考えていると一人の男が近づいてきて、ブチッと鉈で紐を切ってしまう。

「あ……」

体制を崩し、宙に浮く感覚に囚われた時にもうダメだと諦めていたら誰かに抱かれ、気付くと下の地に降り立っていた。

「間に合って良かったです……」

「僕……もうダメだと」

「お守りすると約束しました。仲間が今捕縛しております。我々は先に屋敷へ帰りましょう」

「おじさん達どうなるの?」

「暫くは役場の牢でしょう」

「そうか!それだよ!」

「何がでしょう?」

「向こうでも年末になると事件があって、食べるものがないと悪いことをして牢に入るんだ。そしたら、最低限のご飯も布団もあるからって見たことがあるよ?」

「その話は御館様に。しっかり捕まっててください」
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