下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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七泊八日

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屋根の上をどんどんと進み、あっという間に屋敷につくと祖父と京弥が出迎えてくれた。

「雪翔!怪我はないか?」

「うん。この人が守ってくれたから」

「ご苦労じゃった。他の者は?」

「捕縛後に役場へ連れて行くことになってます」

「詳しい話は私が聞きます。また戻らないといけないので」

京弥と風の一族の青年が部屋を移ったので、車椅子に座らせてもらい、とにかくお風呂に入りなさいと言われて風呂に入る。

「ゆっきー……」

「あ!しーちゃん。みんな無事?」

「無事です。紫狐達をどうして出してくれなかったんですか?」

と背中を洗ってくれる。

「僕何もしてないよ?」

「でもあれはゆっきーの気でした」

「どういう事?」

「紫狐にもわからないです……ひーちゃんが泣いてて、金と銀が抱っこしてて……紫狐が外に出ようと思ったら網のようなものに引っかかって出れませんでした」

「僕じゃないよ?冬弥さんに聞かないと分からないかも……」

「でも無事でよかったです」

「うん」

あちこち擦り傷があったので、泥汚れだけ落としてお湯をかけて風呂を出て、ジャージに着替えてからいつもみんなの集まる囲炉裏の部屋へと行くと、祖父と京弥が居たので聞かれたことに答え、人間の世界でもそういった人がいると言うと、こちらの世界では今まで考えられなかったことだと言う。

「最近あちらから帰ってくるものも多いので、そのような知識を教えた可能性は否定できません」

「そうじゃのぅ……偶々とは言っても強盗と変わらんし、今回は人攫いにもなる。殺されたのはここら辺だけじゃから、やはりあの地区の農民の仕業じゃろう」

「税が高いって……」

「そんなことは無いですよ?ちゃんと治水もしてますから、田畑が枯れることは無いですからねぇ」

「畑は……雑草が生えてて耕した感じがなかったよ……」

「今から私も現地を見てきます。母上には申し訳ないのですが、今日は帰れそうにもありません」

「分かった。とにかくこの近辺でも被害にあってる家もある。頼んだぞ?」

祖母が羊羹を持ってきてくれたので、それを食べながら、狐が出てこれなかったことと、見たまま全てを話すと、「紫狐までも出れなかったのか……」と腕を組んで考えている。

「雪翔よ……」

「何?」

「明日冬弥が帰ってくるまでは儂の影と婆さんの影と一族のものをつけておくが……」

「うん。家から出ないようにする。ごめんね、心配させて」

「雪翔は何も悪くない。多分この家に子供がいることを知っておったのじゃろう。このあたりで子供は雪翔くらいじゃから」

「それはそうと、おにぎり作ってもらったから食べる?お味噌汁もあるけど……」

「なんか疲れちゃって……ちょっと寝たい」

「じゃあ部屋に行きましょうか」

「ちょ……ちょっと待て……これなんじゃが。こんな時にとは思うが、儂と雪翔からの祝じゃ」

中を見て「あら……雪翔が彫ってくれたの?」と言われて頷く。

「二人共ありがとう。大切にするわね」
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