下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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陰陽の守り神

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「おかえりなさい」と言われ、手を洗って食卓につく。

「冬弥さん待たなくていいの?」

「みんなで食べるって。だから一人鍋用で作ったのよ」

「明日海都君も帰ってきたらまた賑やかになるね」

「ご飯たくさん炊かなくちゃね。でもこんなにギリギリまで帰ってこないなんて珍しいわよね?」

「夏も手伝わされてるって言ってたから、忙しかったのかな?」

「でも冬よ?畑はそこまで忙しくないと思うんだけど」

「明日聞いてみようかな」

「夕飯までに戻るとは思うって聞いてるけど、あまり遅くなるようなら駅まで迎えに行ってあげないとね」

「うん、いただきます」

豆腐に椎茸、お肉の代わりに肉団子が入っていたが、ゆっくりでいいと言われたので、冷ましてから時間をかけて食べる。

結局残してしまったが、少し胃を休めてから薬を飲もうと言うことになり、リビングでアニメの続きを見る。

この時ばかりは金も銀も椅子にちゃんと座って見ていて大人しい。

「ただいま戻りました……おや、金も銀もお利口さんですねぇ。これ食べます?」

袖から棒付きキャンディを貰った二人は喜んで口に含み、翡翠が羨ましそうに見ていたので、小さくちぎってマシュマロを上げる。

「ンキュンキュ」

と可愛い声を出しながら噛んでいる姿は見ていてとても和む。

「もう薬の時間だから止めるよ?」

「明日も見る?」

「うん、もうすぐ終わりだから、明日は二話見ようか」

やったーと喜んで影に戻っていく時に、翡翠もしっかりと連れていってくれた。
いつもの事だが、戻る時にイヤイヤをされてしがみつかれる時は可哀想でつい「いいよ」と言いそうになるのだが、甘やかしすぎとも言われていたので我慢して連れていってもらう。

薬を飲んでからトイレにだけ行ってお休みと部屋に戻ると、本棚に入れておいた借りた本を読む。

栞の挟んであるところから読み出し、時たま辞書で意味を調べて読んでいくが、昴の持ってきたものと時折似ていることが書かれていたので、その時は借りたもの同士見比べて読み進めていくといった形になる。

「難しい……漫画ならわかりやすいのになぁ」

コンコンと音がしたので返事をすると、ぶどう柄のパジャマに帽子をかぶった紫狐がニコニコして立っていた。

「えへへ。ビックリさせたかったんですー。やっとお許しが出てまたゆっきーと一緒にいられます」

「本当?でもお許しって……」

「うう……食べすぎで半纏がきつくなってしまって、痩せるまでゆっきーのところに行かせないと……また食べてしまうからって怒られてましたー」

「そ、そうなの?じゃあ、これからおやつは少なめだね」

ガクッと肩を落とした紫狐は、それが一番辛いと言い、翡翠を見てきますと影に入っていったので、電気を消して寝ることにした。

翌朝。

胃の痛みも少なかったので、下宿の裏手から厨房に入る。

「おはよう」

「あ、おはよう。冬弥様に会わなかった?裏に大根取りに行ったんだけど」

「会ってないよ?見てこようか?」

「すぐ戻ると思うから。胃の痛みはどう?」

「ごめんね、もうあまりいたくないから……」

「よかった。どうする?こっちで食べる?」

「うん。でも少なめでいいかな」

「そうね、いきなり増やしても行けないし。朝だからまた豆腐でちゃうけど……」

「僕豆腐すきだからいいよ?何か手伝うことある?」

「今から玉子焼いて、和物して……魚はスチームオーブンで焼いてるから……」

「僕和物作るよ。あの湯切りしてあるやつでしょ?」

「じゃあお願いね。終わったら豆腐出してくれる?」
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