下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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陰陽の守り神

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わかったと言って食べやすく切り、一緒に茹でてあった人参も細切りにして、胡麻と醤油と一緒に和えて小鉢に盛り付けていく。

その後に豆腐を出して四つ切りにして、それも小鉢に乗せ、スチームオーブンを見ると残り一分となっていた。

「栞さん、これって掃除大変じゃないの?」

「それが簡単なの。まだ説明書見てしてるんだけど、水蒸気で……」

「自動ですよ?ほとんど。肉を焼くと焦げ目は取らないといけませんけど、大抵オーブントレイを洗う程度です」

「あ、遅かったね」

「これがしぶとくてですね……」

と化物みたいにでかい大根を二つ手に持っている。

「他のにすればよかったのに……」

「つい……。ほとんど終わってます?」

「ええ、大根より早く」

「そう言わないでください。味噌汁作ってきますからトレイを台の上に出しておいてください」

「僕お皿持ってくるね」

食器棚から魚用のお皿を取り出し、膝に乗せて台まで持って行って並べる。

専用のヘラでとるんだと言われ、一つずつお皿に乗せていく横で大根おろしを横に栞が置いていってくれる。

「出来た!」

「これ便利だね」

「20人になっても一度に焼けるので便利なんですが、この味噌汁の寸胴鍋……運ぶのがちょっと一苦労です」

「ご飯は向こうで炊いてるもんね」

「いちいちお代わりまでこちらに来るのは面倒なので位置を変えたんですよ。本当はガス釜にしたかったんですけど」

「誰か入居者決まったの?」

「推薦で12月に決まった子が二人。大学生ですけど、三月に来ますよ?高校生はここだと三高の中心なので、どの学校の子が来るかわかりませんけど」

「この近くの高校だよね?僕制服見たことある。学ランじゃなくて、紺のブレザーにグレーのチェックのズボンだった。僕の行ってた所もブレザーだったけど、丘の上の公立高校は学ランだったし……」

「そうですねぇ。ここからだとみんな約20分ちょっとですね。便利もいいので決まるといいんですけど」

寸胴鍋を軽々と台車に乗せて席の近くまで運んでいく。

お茶碗などはトレイが置いてある横に食器棚があり、そこから自分でお箸などを取り出して、おかずをトレイに乗せてから席にいき、自分でご飯や味噌汁はよそうようになっている。

朝のブザーを押したかったのに、規則正しい堀内と隆弘は朝食に間に合うようにちゃんと降りてきていて、賢司は二日酔いで寝ているとのことだった。

「おはよう」

「お!元気になってきたな!」と頭を隆弘にぐちゃぐちゃにされ、堀内は笑いながら新聞を読んでいる。

「ご飯は?」

「取りに行くよ?ちょっと気になる記事だけ読ませて」

横から見ると、たまに行くショッピングモールで火災と書いてあったので、結局みんなで新聞をのぞき込む形となり、しばらく行かない方がいいと冬弥に言われ、ここで海都がいたら野次馬根性で絶対に見に行ってたな!等との話になり、冷めないうちにとご飯を食べる。

「冬弥さん、俺今日から大学行くから。特別講義があるらしくてそれ受けようと思って」

「夜はどうします?」

「今日はバイトないからいつもと同じかな?ボードに書いておくので」

「僕もしばらくは早めに帰れそうです。賢司くんが昨日の夜にあった時に、二店舗目がどうのこうの言ってましたよ?」

「夜?」

「あ、自動販売機ついたんだよ。コンビニに行かなくて済むし、疲れた時はやっぱり買っちゃうから」

「そう、眠いのにコーヒー入れるの面倒で、コンビニに行くだろ?そしたらほかにも買っちゃって無駄遣いしちゃうんだよ。それに少し安くなってるんだ」

「お得だね。ここからコンビニまでも近いけど」

「節約だよ節約。それに四年が終わったら仕送りもなくなるから貯めておかないと」
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