下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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再び

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しっかりと、お土産におまんじゅうを買ってこいと言われ、冬弥が渋々分かったからと返事をした後、いつものように窓から那智が航平を連れて入ってくる。

「あなた達、玄関て知ってます?」

「こっちのが早いんだよ」

「俺は玄関て言ったのに!すり抜ける時気持ち悪いから嫌だって何回言ったらやめてくれるんだよ!バカ親父!」

「良かったですねぇ、親父って呼んでもらえてるじゃないですか。玄関から入らないバカ親父、ピッタリですよ?」

「俺はダディって教えたはずだ、バカ息子!」

「もう!二人共うるさいっ!喧嘩するなら外でしてよね。今大事な話してたのに……」

「おう、これは喧嘩じゃないから安心しろ。仲のいい証拠だ」

「そう言ってすぐに肩に腕回すのやめてくれって……重いんだからさ」

「置きやすいんだからいいだろ?」

「はいはい、で?」

「雪翔が機嫌悪いって珍しいな」

「那智たちが騒ぐからでしょう?」

「とりあえず、地図ないか?日本地図でいいんだが」

「雪翔の部屋にありますけど何に使うんです?」

「雪翔、貸してくれる?汚したりしないから」

「持ってくるね」

航平に言われたので部屋に地図を取りに行くと、影から翡翠が出てきて、トテテテテと走っていってしまう。

「しーちゃん、ひーちゃん追いかけて。航平ちゃんの所だろうけど」

「はいー。行ってきますー」

翡翠を紫狐に任せて、大きい地図と、本の地図と二種類持ってリビングに戻る。

リビングのテーブルの上に小さい袋がいくつか置いてあり、くんくんと匂いを嗅いで翡翠が何かを準備している航平の邪魔をしている。

「ひーちゃん、イタズラはダメなのですー」

「やっ!」

「イヤじゃないのですー!」

「ひーたん、こーへーと遊ぶっ」

「く、果物もらいに行きましょう。ひーちゃんの好きな果物の匂いがしますよー?」

「やなの!」

「翡翠!」

ビックゥ!と翡翠がビックリして見てきたが、そんなに強く言ったつもりが無かったので、どうしていいか分からずに冬弥を見る。

「言霊ですよ」と、頭を撫で撫でとされ、「翡翠の名をあげた時にもう雪翔の命令は聞くようになってますからねぇ。今回はそれが強く出たのでしょう。今まではなかったんですか?」

「何も無いよ?僕ビックリしちゃった。この後どうしたらいいのかな?」

「どうさせたいのか言えばいいんです。それだけ翡翠も大きくなったということですから」

冬弥に言われたので、翡翠に航平の邪魔をしたらダメだといい、栞になにか果物を切ってほしいと頼んでからソファに座る。

「もう、ひーちゃんは我儘なんだから」

「ちなう、袋のにおい……」

「航平ちゃんの?どんな匂いだったの?」

「……くっちゃい!」

「え?」

まさか臭いと言うと思ってなかったので、航平になんの袋?と聞くと、一つはラベンダーの袋だが、他はいくつもの材料を混ぜてあるので、匂いの特定はできないと言われた。

「翡翠ちゃん、梨剥いたわよ。こっちで食べましょう」

「あいっ!ばーば、お膝っ」

「ほほほ。いらっしゃい」

祖母の膝の上にピョンとのって、上手に梨を持って齧っているので、栞にごめんねと言って、持ってきた地図を航平に渡す。
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