下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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東の浮遊城

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「姿を現したらどうです?」

一匹の蛇の首をつかみ、そう言う冬弥に栞も攻撃の手を止め蛇を睨む。

結界の中でもビリビリとした空気が流れ、目も尾の色も金色に光る栞を見た。

一歩一歩結界から出ないようにとしていたのに、力で押しのけて出ていく栞は本気で怒っており、「冬弥様、本体ですか?」と聞いて冬弥が頷いたと思ったら、蛇姿の九堂を奪い、「うちの子たちに何するのよ!」とえ?と思う怒りをぶつけている。

「栞さん、侑弥は無事です。母と周太郎が外を。瞬水達が侑弥を守ってますし、那智も来てる頃です。ここは引きましょう」

「嫌よ!許せないわ」

蛇をぐっとつかみ、引きちぎると真っ二つになり、つい人を想像して顔を背けたくなるが、侑弥が無事とはどういう意味なのだろうとつい考えてしまう。

「僕のせいで侑弥まで危険な目にあってるってこと?」

「違うわ。この男がうちにちょっかいかけるのが悪いのよ。それも侑弥を飲み込んだなんて言って、次は雪翔を飲み込むですって……そんなこと聞いて許せるわけないじゃない。二人とも私の可愛い息子なのに!」

二つになった蛇は栞の狐火で灰になったが、上の方から「また遊びましょう」と声がし、嫌な気配がなくなった。

術を解き、栞に近付こうとするが冬弥に止められ、側に四郎が来てくれる。

「今の栞さんは力の殆どを使っている状態なので、危ないです。私が連れ帰りますから、雪翔は四郎と一緒に帰りなさい」

「分かった」

四郎に頼んで札を止めていた彫刻刀を抜いてもらい、家に帰ると周太郎と祖母が表で待っていてくれたらしく抱きつかれる。

「雪翔、怪我は?どこも怪我してないかい?」

「うん。侑弥は?」

「あの子は大丈夫。那智が見てくれてるし、親狐も居たから。でも雪翔と栞さん二人でよく無事で……」

「僕は何も。栞さんが逃がしてくれたんだけど、僕逃げちゃいけないって思って、それで……」

「とにかく家に……冬弥?栞さん?栞さんが怪我したのかい?」

「いえ、無理やり本体化を解いたので眠っているだけですが、かなりボロボロに汚れてるので母上に任せます」

「中に。布団がまだ敷いてあるから……」

「雪翔、何があったんですか?」

「僕達三人で歩いて帰ってたんだ。そしたらいきなり栞さんに逃げろって言われて、目の前に栞さんの狐が出てきて、でも蛇に囲まれて、で、周太郎さんが車椅子押してくれて一旦蛇から逃げたんだけど、僕逃げたくなくて、えっと……」

「落ち着け。いつも説明する時に訳分からん事になる」

バタバタと航平が入ってきて、今はまた姿を消してるようで見つからないと言っているので、行方を追ってくれてたのだろう。

「雪翔」

ガシッと抱きつかれたので、痛いよと言って離れてもらうと、今度は撫で撫でと頭を撫でられる。

「最初に栞さんが気づいたんですね?」

「うん。雪翔、周太郎逃げなさいって言うから、ただ事じゃないと思ったんだ」

「栞さんは……攻撃しましたか?」

「してた。光の玉みたいなの飛ばしてて、蛇をやっつけてくれてて。僕も札を使ったんだけど。後は本で読んだ結界と、栞さんを結界の中に入れるのに五芒星を飛ばして。練習通りに出来たけど、出来てなかったら……」
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