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南中心街から秋へ
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「地図にも書いてありましたよ?秋の国は山で囲まれてるんです。トンネルもありますけど、ここからだと遠回りになりますー」
「時間はまだあるからいいんだけど、後で地図見せてもらおうかな」
重次が風呂から戻ってすぐに地図を見せてもらうと、やはり紫狐が言うように山に囲まれている。
「これ、どうやって進むの?」
「トンネルを抜けます」
「でもトンネルまで遠いですよー?」
「最近また増えたようです。昔は一つでしたが、今は四つあると聞いてまして、紫狐様の言われているトンネルは多分ここのことかと」
「し、紫狐でいいですー。様はいりません」
「では失礼して。紫狐さんの言われていたトンネルに行くには……」と地図に線を書いてくれる。
「本当だ。かなり大回り?」
「はい。なので、こちらのトンネルならば、早いのですが、どちらに行くにしても二日は野宿になります」
「僕は構わないけど」
「重次さん、紫狐達は影に入ればいいですが、ゆっきーは……」
「あのままの街道が使えれば、紫狐さんの言っていたトンネルに出ましたが、引き返すわけにも行かないので、このまま進もうと思います。簡単な食事もできます。ただ、トンネル内で荷馬車を止める場所が少ないのです……」
「それだとかなり寒さがありますー。なるべく場所取りしてくださいー」
「はい。桔花も休めないといけませんし、夜通し走るのは危険ですから」
お待たせしましたとお膳が運ばれ、一人用鍋よりも大きな鍋に、餅のようなものと、少しの青菜。それと芋が入っていた。
「お茶は置いておきますのでごゆっくり。膳は廊下に出しておいてください」と言われ、そのあとに布団を敷かれる。
「これって、しーちゃんの言ってた芋?」
「そうです。昔は他のものは入ってませんでした」
「見た目はじゃがいもだよね?」
スプーンで救って口に入れると、水分の少ない芋の食感がし、味も塩で整えた程度の薄味だった。
「すいません。ですが、ここより先は食に関してはもっと酷くなります」
「うん、大丈夫。このためにたくさん買ってたんだね」
「はい。特に塩は貴重になりますし、果物や米、調味料は常に隠しておかないといけません。特に野宿の時には」
芋の鍋を食べてから、そうそうに布団に入り、明日は早く出ると言うので薬を飲んで寝る。
「朝も芋……」
起きてすぐの朝のご飯も芋だったので、やはりこれが主食なのかと、黙って食べてから、早々に宿を出る。
ガタゴトと揺れる荷馬車の後ろで、明るいうちにと書き写しを始め、かなり書き写しが終わったのでと御者台の方に顔を出す。
「重次さん寒くない?」
「まだまだ大丈夫ですよ。坊っちゃま、左側からならトンネルに抜ける道も見えますよ」
「あ、いくつか荷馬車が通ってる」
「今いるところから下るとあの道と合流します」
「食料は持つんだよね?」
「はい。ただ、私もあのトンネルは通ったことがないので、どのくらいの広さかはわからないんです」
「でも進むしかないから、なんとかなるよ」
「ですね。今日は天気もいいほうですし、今のうちに少し急いで進みますので、座っていてください」
「時間はまだあるからいいんだけど、後で地図見せてもらおうかな」
重次が風呂から戻ってすぐに地図を見せてもらうと、やはり紫狐が言うように山に囲まれている。
「これ、どうやって進むの?」
「トンネルを抜けます」
「でもトンネルまで遠いですよー?」
「最近また増えたようです。昔は一つでしたが、今は四つあると聞いてまして、紫狐様の言われているトンネルは多分ここのことかと」
「し、紫狐でいいですー。様はいりません」
「では失礼して。紫狐さんの言われていたトンネルに行くには……」と地図に線を書いてくれる。
「本当だ。かなり大回り?」
「はい。なので、こちらのトンネルならば、早いのですが、どちらに行くにしても二日は野宿になります」
「僕は構わないけど」
「重次さん、紫狐達は影に入ればいいですが、ゆっきーは……」
「あのままの街道が使えれば、紫狐さんの言っていたトンネルに出ましたが、引き返すわけにも行かないので、このまま進もうと思います。簡単な食事もできます。ただ、トンネル内で荷馬車を止める場所が少ないのです……」
「それだとかなり寒さがありますー。なるべく場所取りしてくださいー」
「はい。桔花も休めないといけませんし、夜通し走るのは危険ですから」
お待たせしましたとお膳が運ばれ、一人用鍋よりも大きな鍋に、餅のようなものと、少しの青菜。それと芋が入っていた。
「お茶は置いておきますのでごゆっくり。膳は廊下に出しておいてください」と言われ、そのあとに布団を敷かれる。
「これって、しーちゃんの言ってた芋?」
「そうです。昔は他のものは入ってませんでした」
「見た目はじゃがいもだよね?」
スプーンで救って口に入れると、水分の少ない芋の食感がし、味も塩で整えた程度の薄味だった。
「すいません。ですが、ここより先は食に関してはもっと酷くなります」
「うん、大丈夫。このためにたくさん買ってたんだね」
「はい。特に塩は貴重になりますし、果物や米、調味料は常に隠しておかないといけません。特に野宿の時には」
芋の鍋を食べてから、そうそうに布団に入り、明日は早く出ると言うので薬を飲んで寝る。
「朝も芋……」
起きてすぐの朝のご飯も芋だったので、やはりこれが主食なのかと、黙って食べてから、早々に宿を出る。
ガタゴトと揺れる荷馬車の後ろで、明るいうちにと書き写しを始め、かなり書き写しが終わったのでと御者台の方に顔を出す。
「重次さん寒くない?」
「まだまだ大丈夫ですよ。坊っちゃま、左側からならトンネルに抜ける道も見えますよ」
「あ、いくつか荷馬車が通ってる」
「今いるところから下るとあの道と合流します」
「食料は持つんだよね?」
「はい。ただ、私もあのトンネルは通ったことがないので、どのくらいの広さかはわからないんです」
「でも進むしかないから、なんとかなるよ」
「ですね。今日は天気もいいほうですし、今のうちに少し急いで進みますので、座っていてください」
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