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浅井 ことは

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子供の願い

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良く出る万能薬は作り置きがいくつあってもいい。

出来た薬を小瓶に詰めていく。

大鍋一杯作っても出来上がりは小瓶10個分にしかならない。
そのくせ材料は結構使う。
だから高額なんだが……

「お客さんです」

呼び掛けがあったので店に降りていく。

いつもの処方せんの客だ。
こうして持ってくる人間はこの近くのものしかいない。
老人が多いのでほぼ毎日誰かの薬の用意をしている。
パソコンで処方せんの袋を作り、説明をし代金をもらう。

これの繰り返し。

いくつかこなしお昼御飯をムーにあげ、
買い物に出る。

もちろん店番はムーだ。

買い物の途中、ムーから店の前を誰かがうろついていると連絡が来たが、店の中に入らないのであれば問題はない。

買い物を終え店に戻ると、看板のところに一人の少年がたっていたが、無視して店にはいる。

買ったものを冷蔵庫にいれ、留守番代にと骨付き肉をあげる。

「そとのあの子供か?」

「そうです。でも入ってきません」

「用があったら入ってくるだろう。放っておけ」

「はい」

その日の残りは処方箋にいつものカッパが軟膏を取りに来ただけ。
長く地上にいるのは良くないらしい。
軟膏も最近の川や池などが汚れてきているそうで肌荒れするらしい。
聞いたときにはちょっと笑ったが、水の中の生き物にとっては、人間の捨てていくゴミなどで汚れるらしく笑い事ではなくなってきているらしい。

週に一度カッパ一族で川掃除をし、なんとか生きていける程度だそうだ。

「かっぱさん大変なんですね」とのムーの言葉にも笑ったが、最近はそんな客も増えてきている。

夜19時に店を閉め、いくつかの薬を作り風呂に入って就寝する。
何事もないこの日常が一番いいと思っている。

幻界に帰りでもすれば好きなことはできなくなるだろうし、自由もなくなる。
それだけは勘弁して欲しいと眠りにつく。

朝、ムーの鳴き声で起きる。
「なんだ?まだ6時だぞ?」

「また子供が来てます」

「はぁ?」

商店街が見える窓から覗くと確かにいる。

「なんなんだあのガキは。おい、散歩と称していくぞ」

「え?えぇ……」

リードを繋ぎ裏からでて表通りに行くと、少年の背後から音もなく近づき通り越す。
だが、視線は感じるものの何も言っては来ないし、ただそこにいるだけ。

そんな状態が1週間ほど続いた日の夕方。

「いらっしゃいませ」


あの少年だ。


店内をうろついたあと、カウンターでモジモジしながら「薬が欲しいんですが……」と言う。
何の事かはわかってはいたが、「どのようなお薬ですか?」と聞き返す。

暫くの沈黙のあと、「ネットで見たんです。ここでは何でも治る薬があるって!売ってもらえませんか?」

必死さは伝わってきたが、別で売れるものは人外用に売っている薬しかない。
それも基本高額だが。

「ここは普通の薬屋ですよ?風邪でしたらこちらの……」

「そうじゃなくて! 見たんです。ネットで。
不治の病も治す薬がここにはあるって」

「ありませんよ。ここは薬局です。お店にある薬しかおいていませんよ」

「でも……」

「きっと面白おかしくかいた人がいるんでしょう。気を付けてお帰りください」
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