天満堂へようこそ

浅井 ことは

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引越し

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その後、昨日と同じように商品は飛ぶように売れ、パートさんもフル出勤、薬剤師さんも駆り出され商品の補充と半端なく忙しかった。

最後の倉庫の整理が終わったあと、裏の鍵を締め部屋に戻ろうとするが、エレベーター前の駐輪場前をウロウロしている怪しげな男が一人。
さっさとエレベーターに乗ろうとするがそういう時に限って中々来ない。
後ろは気にしてはいたが、いつの間にか背後に立たれていたらしく、変な息を耳元に掛けられる。


「うわぁぁぁぁ」

と変な声しか出ず後ろの人を突き飛ばすが、よろめきもしない。

「なんで効かないのでしょう? 貴方は人ですか?」

思わず尻もちを着いてしまったが、相手の問いかけにコクコクと頷き「天満堂に用……ですか?」と聞く。
そのすぐ後に転移してきた結月に起こされ、何もされなかったか聞かれたので、息をと言うと、問答無用で蹴りを食らわす。

駐輪場まで吹き飛び、自転車は壊れているやつもある。
自分が突き飛ばした時はビクともしなかったのに。

その後ルーカス達も降りては来たが、移動ができないと愚痴をこぼすばかりで、男には興味が無いようだった。

「おい、帰るぞ」

「でも……」

「事務所で待たせてもらう。事情が聞きたい」

「構わん」

思ったより足がガクガク震えていたため、ルーカスさんに担がれ事務所のソファーに寝かされる。

「あの……」

「あれは鎌鼬(かまいたち)だ。風だったからよかったものの、鎌なら怪我してたぞ」

「ですが、あれはいたずら好きと聞いています。
姿を見せてまであのような事するでしょうか?」

「コイツからは美味そうな匂いがするからな」

「あの! なんすか?その美味そうとか匂いとか。
俺臭いですか?」

「あー、すまん。意味が違う。お前はなんだ……えーっとだな。」

「はっきり言ってやって構わん。鎌鼬はこの瓶の中だ」と手のひらサイズの瓶をテーブルに置く。

「やつに聞こえはせん。要は貴様らも知りたいんだろう? 奏太の事」

「いいのか?」

「言おうとして言えなかったのは誰だ?ルーゥちゃん!」

「わかり易く言ってください……」

ムーも呼んで膝の上に乗せ起きあがろうとするが、寝てろとルーカスさんに言われる。

「まず、私の術が解けた」

「嘘だろ?」

「原因はわからん。稀に術や魔法が効かない・効きずらい人間はいるが、こんなに早く解けるのはおかしい。だから手元に置いたのもある。それが一つ」

そう言い手元にあったグラスから水を飲み、
「ルーカスが言いたがっていた匂いだ。
美味しそうな匂いと言えば、人を食らう妖怪や魔人など種族は多種多様にいるが、奏太の匂いは惹き付ける匂いなんだ。これが二つ目」
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