天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

文字の大きさ
3 / 127
即位

.

しおりを挟む
「誰の部屋だろう?」

「女王の部屋かと……ですがここももう崩れそうで危ないです」

「ちょっとだけ……」

松明の明かりを頼りに中へと入る。

白で統一された家具の上に、たくさんの写真があるが、どれも写真立てが割れて中も燃えた後だった。

チェストの裏側に小さなひび割れを見つけ、ノアとそこを崩して中を見る。

「これって……」

「隠し金庫のようなものですが、壊れてますね」

中を開けると、一枚の手紙と沢山の宝石。
そして、楽しそうに笑う結月と幻王の写真が入っていた。

「この写真だけ無事だったんだ……」

「手紙と一緒に姫様に届けましょう」

「うん、他は……燃えてるしダメかな?」

「そうですね。ここだけよく無事だったと思います」

部屋の外に出ようとベッドがあったであろう残骸の下に光るものを見つけた。

「ノア、あそこ!なにか光ってる」

「何処ですか?」

指をさすがノアには見えていないらしく、焦げた木の板を取り除くと、ガラスのケースに入った王冠と、二冊の本が出てきた。

「王冠と本?」

「王のみが継承するものの本だと。王冠も無傷で……王はこれを守ったのでしょうか?」

「そんな感じがする。持ってるととっても暖かいんだ」

早く届けてあげようと急いで外に出て結月を探す。

みんな休んでおり、兵たちが食事をしているところだった。

「ルーカスさん、結月さんは?」

「まだ怪我人を治してる。薬くらい任せたらいいのに……」

走って結月さんのところへ行くのを後ろからルーカスが呼び止めるが早く渡したくて急ぐ。

「結月さん!」

「なんだ?」

「これ……中で見つけたんだ」

持ってきたものを渡し、薬を配るのを変わる。

手紙を読んだのだろう。何が書かれていたのかはわからないが、結月がその場でまた泣き崩れてしまったので、ルーカスとニコルに任せ、ユーリとノアと薬を配り続ける。

やっと終わった時には日が昇り始めていたので、日中は日差しのことも考え天幕をいくつか張る。

「奏太様、いい加減に休んで頂かないと……」

「うん、もうちょっとだけ……」

黒い甲冑を身に付けた兵がやってきて、変わりますと変わってくれた。

「さ、こちらへ」

連れていかれたのは一つの大きな天幕。
中にはみんな揃っており、ムーとブランも無事で横になっている。

「奏太さん、ノアも。食事をとってください……」とユーリにスープとパンを渡され、食欲はなかったが無理矢理喉に流し込む。

その後は強制的に寝かされ、起きた時にはもうお昼はとうに過ぎていた。

「奏太くん!」

「ブラン?」

「みんな外に行ったから、僕が留守番なの」

「そっか。ちゃんと食べたか?」

「食べたけど、結月さんが食べないから……ムーくんも元気無くて」

頭を撫で、大丈夫と言って外に出る。

改めて見ても悲惨な光景に変わりはなく、動けるものが荷台を引き怪我人を運んでいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...