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街
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「あ……」
「氷で包んで足止めできませんか?」
「やらせましょう。出来なかったら降格です!」
「その間に残りで先に進もう。草原の民たちは可愛そうだけどここで待っててもらおうかなって思ってるんだ」
「その方がいいですね。ただ、もう少し話を聞いておきたいのですが」
「聞いておいてくれる?」
「はい。あと夕食の支度もしてきますので、休んでください」
「わかった」
二人が出て行ってから、マットを重ねた簡易ベッドで横になり、紙に書いた地図を見る。
前に逃げた時にはよく似た森でも真ん中に滝があった。今回はないだけで大きさは変わらない。いくつかの地図は見てきたが、小さな森はあちこちにあるようで、それが次の街への目印になっている様だった。
まさかそんな所に変な施設を作るなんて誰も思わないだろうが、旅人が入ってきたらどうするつもりだったんだろうと考えている間に眠ってしまったらしく、外が騒がしくて起きた。
天幕を出て、何を騒いでるのか聞こうと思ったら、ただのどんちゃん騒ぎだった。
「酒なんてどこから……」
「あ、奏太様」
「これ何?」
「草原の民が酒など運んできまして……」
「あの荷馬車?」
「ええ。是非王子にもと……」
「俺飲めないんだけど」
「ノンアルコールもあるそうです」
「分かった。俺はとにかくご飯が食べたいよ」
「すぐに用意します」
ノアが用意してくれている間に、みんなのところへと行くと、樽からはワインと思しき液体がグラスに注がれ、他は水のような液体。金色の液体はビールだろう。いくつか置かれ、みんな陽気に踊っている。メインは草原の民だが……
「奏太様?」
「あ、今行く」
折りたたみの机に置かれた食事に手をつけながら、一体何が起こったのかと聞くと、単に仲間が戻ってきた祝いが大きいのだという。
「後は昔からの言い伝えのようなもので、森の鎮守の宴だと」
「天界にもそんなのがあるんだ」
「幻魔界にもいくつかありますけど、種族によって違いますから」
「あ、このチーズ美味しいね」
「これなら充分売れると思います」
宴は深夜まで続いたので、朝まで寝ることにし、用意していた毛布にくるまる。
早朝に起き、天幕の周りを歩いて何事も無かったかと兵に聞き中央へと行くと、焚き火の前で呑気に寝ている民達がいたので、危機感がないなぁとつい思ってしまう。
樽から水を汲んで飲んでいると、何人かの兵が朝食の支度を始めていたので、こっそりと潜り込んで一緒に芋などを剥いていく。
切ったものを渡していると「え?」と驚かれ、気にしないでくれといい、焼いているお肉が何かと聞くと、草原の民達が育てている牛と同じ肉だと言う。
パンに野菜と肉を挟んで食べるのが旅の時は一般的だというので一緒に作り、王子は別メニューをと言われたので同じでいいと言って、さっさと齧り付く。
「お、王子がそんなかぶりついて食べるなど……」
「ん?前に旅してた時も肉とかパンとか……干し肉とかもかじりながら馬車に乗ってたよ?」
「旅でございますか?」
「うん、幻界と魔界だけど。これ美味しいね、もうひとつ貰っていい?」
「あ、はい。こちらは羊肉の方ですが牛の方にされますか?」
「羊でいいよ」
パンをもらって食べながら、コップにコーヒーを入れて食べながら天幕に戻ると、サムとノアが怒った顔で見てくる。
「氷で包んで足止めできませんか?」
「やらせましょう。出来なかったら降格です!」
「その間に残りで先に進もう。草原の民たちは可愛そうだけどここで待っててもらおうかなって思ってるんだ」
「その方がいいですね。ただ、もう少し話を聞いておきたいのですが」
「聞いておいてくれる?」
「はい。あと夕食の支度もしてきますので、休んでください」
「わかった」
二人が出て行ってから、マットを重ねた簡易ベッドで横になり、紙に書いた地図を見る。
前に逃げた時にはよく似た森でも真ん中に滝があった。今回はないだけで大きさは変わらない。いくつかの地図は見てきたが、小さな森はあちこちにあるようで、それが次の街への目印になっている様だった。
まさかそんな所に変な施設を作るなんて誰も思わないだろうが、旅人が入ってきたらどうするつもりだったんだろうと考えている間に眠ってしまったらしく、外が騒がしくて起きた。
天幕を出て、何を騒いでるのか聞こうと思ったら、ただのどんちゃん騒ぎだった。
「酒なんてどこから……」
「あ、奏太様」
「これ何?」
「草原の民が酒など運んできまして……」
「あの荷馬車?」
「ええ。是非王子にもと……」
「俺飲めないんだけど」
「ノンアルコールもあるそうです」
「分かった。俺はとにかくご飯が食べたいよ」
「すぐに用意します」
ノアが用意してくれている間に、みんなのところへと行くと、樽からはワインと思しき液体がグラスに注がれ、他は水のような液体。金色の液体はビールだろう。いくつか置かれ、みんな陽気に踊っている。メインは草原の民だが……
「奏太様?」
「あ、今行く」
折りたたみの机に置かれた食事に手をつけながら、一体何が起こったのかと聞くと、単に仲間が戻ってきた祝いが大きいのだという。
「後は昔からの言い伝えのようなもので、森の鎮守の宴だと」
「天界にもそんなのがあるんだ」
「幻魔界にもいくつかありますけど、種族によって違いますから」
「あ、このチーズ美味しいね」
「これなら充分売れると思います」
宴は深夜まで続いたので、朝まで寝ることにし、用意していた毛布にくるまる。
早朝に起き、天幕の周りを歩いて何事も無かったかと兵に聞き中央へと行くと、焚き火の前で呑気に寝ている民達がいたので、危機感がないなぁとつい思ってしまう。
樽から水を汲んで飲んでいると、何人かの兵が朝食の支度を始めていたので、こっそりと潜り込んで一緒に芋などを剥いていく。
切ったものを渡していると「え?」と驚かれ、気にしないでくれといい、焼いているお肉が何かと聞くと、草原の民達が育てている牛と同じ肉だと言う。
パンに野菜と肉を挟んで食べるのが旅の時は一般的だというので一緒に作り、王子は別メニューをと言われたので同じでいいと言って、さっさと齧り付く。
「お、王子がそんなかぶりついて食べるなど……」
「ん?前に旅してた時も肉とかパンとか……干し肉とかもかじりながら馬車に乗ってたよ?」
「旅でございますか?」
「うん、幻界と魔界だけど。これ美味しいね、もうひとつ貰っていい?」
「あ、はい。こちらは羊肉の方ですが牛の方にされますか?」
「羊でいいよ」
パンをもらって食べながら、コップにコーヒーを入れて食べながら天幕に戻ると、サムとノアが怒った顔で見てくる。
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