天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
125 / 127
破壊

.

しおりを挟む
途中で昼に休憩、夜は天幕を張って休み、朝早くに出たので昼過ぎには城につくことが出来た。

「兵も少ないと早いね」

「荷も積んでますとどうしても馬の速度も落ちますし、無理させられませんから」

で迎えに来た大臣が応接間へと来て欲しいと言うのでついていくと、冷たいコーヒーが出され、お疲れ様でしたと言われる。

「あれ?このコーヒー……」

「はい、人間界のコーヒーでございます。王の命により、いくつか取り揃えております」

「そうなんだ。それで何?」

「王子の立ち寄った街の大臣と名乗る男ですが、確保しまして建物内を調べましたところ、本物の大臣は薬漬けにされておりました」

「え?街の人はどうなったの?」

「兵が入り、街を捜索したところ、数名に逃げられましたが、麻薬を栽培していた場所はあの白い建物内。取り壊すのにも時間がかかりますので、周辺の民を保護し、栽培されていたところは結界を張り燃やしましたが、あの薬でおかしくなっていた者達は今、医療班で手当に当たっておりまする」

「本物の大臣は?」

「かなり薬を吸わされていたのでしょう。もう回復は無理かと……民の一部はたまたま建物が隣で影響を受けただけの軽い症状のものや、重度の者まで様々でして……街の一角にて隔離しておりますが、あの街はもう……」

「まだ大丈夫だよ。いやで逃げた人もいるんだからから、街が元に戻ればきっと帰ってくるって。なんだっけ?今の税を軽くして、空いた建物は真面目に働く人がすればいい」

「その事なのですが、王子のお造りになられている街には民が溢れているとお聞きしております。そこからあの街へ民を移動できないでしょうか」

見てきた限り、全ての商人は街で店を構えることは出来ない。かと言って無理強いもできない。

「ノア、どうしよう……」

「城の周りにも街があります。この王宮の周りの街と奏太様の街の間にあの大きな街。普通間には大きくても町があってもいいはずなんです。大きさ的にも町としてなら機能できるかもしれませんね」

「それは……」

「新しい建物が建ち、前から住んでいた人々が奥に追いやられ、道もめちゃくちゃでした。まずはいらない建物を壊し、建物の整理を。奥へと追いやられた昔からの住人を優先に商いをさせる為に建物はその方々へと渡してしまいましょう。勿論、看板も正規のものに付け替えさせて。路地裏にもとても良い店がありました。ですが老朽化もありますから、取り壊す条件として王宮から資金を。あの変な建物は壊して広場にでもしてしまえばいいでしょう」

確かに裏通りの方がまだちゃんと機能していた。ただ耐えかねて出ていった人が多いというだけだ。他で居を構えていないものはたくさんいるだろう。

「そんなにまだほかの街で店を出してる人はいないと思うんだ。お触れを出して呼び戻せば?」

「すぐに。こちらの城の方の修理に携わった者も向かわせ町としての機能を果たせるように修繕に務めます」

「あのさ、今頑張って残ってる昔からいる裏路地の人優先させてあげてよ。ギリギリまだ残ってると思う。花屋や用品店、市場の人たちが我慢してきてたんだ。その人達にこれ以上苦しんで欲しくない」

「金は大臣を名乗る男の居城から見つかっておりますが」

「それ使っちゃえばいいじゃん。捕まった人は?」

「もう牢が1杯でして。仕方なく天幕に縄で縛って入れてあります」

「天界に城から近くてあまり人のいないところない?」

「と申しますと?」
しおりを挟む

処理中です...