下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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探し物

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暫く行くと、近くに小さな滝があり、その奥に小さい社が置かれているが、入ることは出来ないと情報が来たので行ってみることにし、川をたどって行くとやっと滝を発見できた。

「まさか、こんなに奥に来るとは……」

着物は破れ、草履も何度か着物の袖をちぎって鼻緒にし、人に見えないとはいってももうボロボロの姿になっていた。

中を見るとやはり小さな社があり、中には しゅがあるのだろうことは分かる。
どうやってこの結界を抜ければいいのだろうと思いながらも、日も暮れだしたので朝になるまでゆっくりと休むことにする。

火を起こし、川で魚をとって焼いて食べ寝る。どのぐらいそんな生活を続けてきたのか。

最初の珠は山の頂上にある寺院。
その次は遥か太古の遺跡の中。
場所と場所を結びつけてみると、大きな三角になることがわかる。

「ははっ、馬鹿な……」

朝日が登る時間に川へと入り、頭と体を洗う。

着物の予備がないのでそれもたまに洗っていたが、足の爪は割れ、裸足だったので傷がいっぱい出来ており、洗っても洗っても至る所の黒ずみは取れず、髪は伸び放題。みんなが見たら笑うだろうとしか思えない格好になっている。

「さて、これが最後です。行きましょうか」

前の二つの珠を取り出して結界の前に向け、小さい社から三角になるように向けてみる。これでダメならもう知恵はない。

珠が虹色に光、ふと目の前の結界が消えたのを確認して奥へと進んで小さな社を開けると珠があった。

三つの珠が見つかったので、後は北の地に持っていけばいいと懐に三つハンカチに包んでしまい、樹海をあとにする。

「こんな所とっとと抜けましょう」と木上を伝って街まで行き、見えないところで姿を現す。

行き交う人々の視線に晒されながらも、先ずは着物屋に入って新しい着物を買い、支払いはカードで済ませる。
その後、袋を持ったまま花の湯と書いてある天然温泉へといき、タオルなどを購入して風呂に入り、全身丁寧に洗うと幾分かさっぱりとした。

その後床屋へと行って伸びた分の髪を切ってもらうと、前と変わらない状態には戻ったが、頬はこけ体も前より細くなったが、代わりに筋肉がついているおかしな姿になっていた。

はぁ……とため息をついて、近くの日本料理店に入り、海鮮コースを頼み、久しぶりに日本酒を飲む。

個室と言うこともあり、狐たちにも来た食事と酒を与え、やっと満たされたとの思いから、そのまま電車と飛行機に乗って休憩しながら北の地へと行く。

飛んでいけば早いのだが、まだ完全に回復はしてもいない。
公共機関を使えば力も使わないので回復も早くなる。

空港に着き、予約を入れてあったホテルにチェックインしてから、細かい日用品を買って爪を切り、汚い足の踵などもまた綺麗にし、満足したところで仮眠をとる。

夜は日本酒を飲みながらつまみを食べて休み、明け方に部屋を出て最初の場所へと行く。

「戻りました」と一言だけ言うと老人が出てきて、「最短じゃ」と満足げに笑う。

「これを渡せば終わり……ですか?」

「いや、まずはそれを渡してくれないかね?」

ハンカチから取り出して渡すと、三つ胸に押し付けられる。

「何を……」

パァっと珠が光ったと思ったら体内に吸収され、力が物凄く漲っているのがわかる。

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