下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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学校

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「馬鹿かお前は!この下宿にいるやつはみんな家族なんだよ!ちゃんと言わないとわからねぇだろうが!」

「隆弘君!」

「すいません。でも、身体中アザだらけなんですよ?昨日今日の話じゃない。これは学校に報告するべきです」

「そんな事したら……」

「いいか?俺も昔はよく喧嘩したからわかる。これだけ酷いと……毎日続けば死ぬことだってあるんだ。冬弥さんに何て言ったらいいんだ?知りませんでした。ゴメンなさいで済む話じゃねーんだよ!」

「と、とにかく体拭きましょう……ね?」

背中や腕を拭いてもらっていると、かなり痛みがある。銭湯ではいつも誰もいないので、さっと入って出ていたが、隆弘に幾つか怪我を見られて触られると左腕と右膝、背中とかなりの痛みがある。

「お前よく我慢して帰ってきたな。栞さん、俺病院連れていきます。冬弥さんに連絡取れますか?」

「今は取れないの。代理人は立ててあるから、その人に連絡は取れるけど」

「なら取ってください。それと、病院に行っている間に担任に連絡しておいてください」

「何て言えば……」

「ただいま……うわっ!どうしたの雪翔君」

「あ、堀内さん。今から病院行くので、栞さんの代わりに学校に連絡してもらえますか?担任がいればいいんですけど……」

「直ぐにする。暴行でいいのかな?」

「はい。社会人のがいいと思うので。栞さん着いてきてください。あ、保険証お願いします」

慌てて準備をさせられ、半袖のTシャツに薄い生地のパンツを履かされて車に乗る。

隆弘が救急に連絡している間に、頭がぼーっとしてきたので、ついウトウトとしてしまい慌てて起きるが、寝てていいと言われそのまま眠ってしまう。

ガラガラガラと寝たまま動く感覚に目を開けると、「今からレントゲン撮りますからね」と看護婦さんに言われる。

レントゲンにMRI検査をして、そのままベッドで点滴をされ寝かされる。

「栞さん、泣かないで……」

「ごめんね。毎日いたのに気づかなくて。那智様に使いを出したからきてくださると思うの。私、こういった事分からなくって……」

「あー。雪翔が泣かせた!冬弥さん帰ってきたら怒られるぞー?」

「はい」

「検査の結果が出るまで寝てていいから。担任もすぐに来るって堀内さんから連絡あった。怒って悪かったな」

「いえ、ありがとうございます。もっと早く言える勇気があれば……」

「済んだことだ。それより、明日は休めよ?多分顔がパンパンに腫れるだろうから」

「え?」

「まだ見てないか。顔が変顔になってるぞ」

検査結果が出る前に那智が来て、その直後に担任の先生が入ってきた。
先生は代理と名乗った那智と栞に頭を下げ、一緒に結果を聞きに行く。

「あれはダメだな」

「だめって?」

「典型的な教師。自分の受け持つクラスに問題がなく、三月まで無事過ごせたらそれでいいタイプ。問題が起こると査定にも響くから、無難にやり過ごすタイプだよ。多分両者の親で話し合って、お前の治療費を向こうが払い、相手は良くて謹慎一週間て所だろうな」

「戻ったらまた……今度は恨まれちゃうよ」

「海都と校舎が違うだろ?」

「うん」

「俺も卒業生だから知ってるけど、お前がやられてた旧校舎な、あそこはどの学年の校舎からも見えにくいんだよ」

「だから、あの校舎の中で弁当食べてたんだ」

「今日は?」

「教室。ずっとお金渡せって言われてて断ってたんだ。そしたら利子付きで150万て言い出して。毎週五万ずつ渡せば許してくれるって言われて、それも断ったんだ。そしたらお昼にお弁当バカにされて腹たって、突っぱねたら放課後にこれ……」

「偉い!」

「え?」

「嫌なことをちゃんと言えるじゃないか。それに、毎日お弁当作ってくれる栞さんのことを馬鹿にされたと思って腹が立ったんだろう?でも何でやられ出したんだ?」
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