下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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学校

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那智に話したことをそのまま伝えると、隆弘は何か考えていたが、那智達が戻ってきたので話はそこで止まってしまった。

「今から治療だそうだ。歩けるか?」

「はい……あれ?」

布団をめくると右膝が紫色になっており、動かそうとしても重くて動かせない。そのことを伝えるとベッドごとの移動となり、肋と肩甲骨、左腕は折れており、膝はヒビが入っていると言われた。

「全くよく帰宅できたものだ。少し痛いけど我慢して」

医者に言われるままギプスをされ、膝も固定されて左腕は三角巾でつられ、重症患者のようになってしまった。

診察室にみんなが呼ばれこのまま入院するか、飲み薬で自宅で休みながら通院するかと聞かれ、全員が入院と言った中、帰ると言い張った。

「雪翔、帰っても動けないだろう?」

「右手使えるし、学校も行くよ?テストもあるもん」

「早乙女君、流石にそれは……」

「エレベーター有りますよね?車椅子用の。それ使えませんか?」

「確か、怪我や病気の場合でも通学できる場合、使用許可となっていたと思いますが」と隆弘が補足してくれる。

「校長に聞かないと何とも……」

後は帰ってからやってくれと、医者が一週間は安静にすることと、熱が出るだろうから薬をちゃんと飲むこと。急変したらすぐ病院に来ることと言い、車椅子と歩行器を借りて帰れる事になった。

「先生、明日の朝10時に診断書をもって学校へ伺います。相手の親御さんにも来て頂くよう連絡をお願いします」と、まだ名前も言っていなかったのに、三人の名前が言われ、学校の都合など知らないと押し切られ、トボトボと先生は帰っていった。

「では、私は診断書をもらってから帰りますので」と那智と分かれる。

「カッコイイ人だよな。いつ見ても」

「スーツだからかな?」

「あれは男の憧れだわ」

「もう、それよりも雪翔君を早く連れて帰らないと。もし吐いたらすぐに病院ですって先生が言ってたわ。食事は普通でいいって言われたけど、お腹すいてる?」

「あんまり。喉がすごく乾くかな」

「コンビニに寄って帰ろう」

隆弘がポカリスエットとミネラルウォーター、冷えピタなどたくさん買ってくれ、ポカリは薄めて飲むことと言われて何故か栞が頷く。

家に着くと堀内から話が行ったのだろう。みんなが板の間にいて、大丈夫かと聞いてくる。

隆弘が状態を話すと、下宿の段差が車椅子ではきついだろうからと、増築した部屋で寝起きすることになった。

部屋からみんなが必要な分だけ荷物を運んでくれ、飲み物も部屋の冷蔵庫に入れてくれた。

「えっと、教科書……」

「ダメだ。今日と明日は寝ろ!出来はいいんだから、ちょっとは休め」と賢司に言われ教科書はしばらく見るなと言われてしまった。

「俺も見たくない!」

「お前は見ろ!穴が開くほど見ろ!それか雪翔に教えてもらえ。こいつの参考書もう3年の後期分まで進んでるぞ?」

「嘘……マジで?」

「うん、分からない所もたくさんあるけど。こう言った時パソコンがあれば調べられるのにって思う」

「欲しいけど、ここインターネット繋がってないんだよなー」

「そうなの?」

「うん、だからネットは無理!冬弥さん付けてくれないかな」

「電話も黒電話だから無理かも……」

「昭和だ……」
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