下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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盛夏

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「あ……さっきの……」

「知り合い?」

「う、うん。落としたお金拾ってもらって」と少し口ごもる。

「初めまして。私達は警視庁のTHS所属の室長の小野寺と青井と言います」と名刺を渡される。

その後全国での事件の調査を担当していると聞き、そんなすごいところがなぜ来たのかと疑問に思う。

「私達は少年犯罪を今調査しています。今回はこの度の事件のことで負った傷が深いと判断し、我々が……」

「でも、僕は記憶が……」

「聞いているわ。そんなに緊張しなくていいのよ?わかることだけ教えて欲しいの」

「はい」

その後いくつか質問をされすぐに終わったが、簡潔に聞いてくれたので答えやすく、所々で楽しい話もしてくれたので、すぐに緊張も解けた。

帰り際、連絡先を渡され何かあれば連絡してほしいと言われる。それが、事件に関係ないことでもいいと言われ、庭で見送ってから別れたが、その後すぐに弁護士が那智と来たので、お昼ご飯を食べ損ねた。

弁護士さんの話は警察の人に聞かれた事とほとんど同じで、その後は今後の流れを聞いた。

「雪翔君、リハビリも頑張っているようだけど、困っていることはあるかな?」

「困ってること?生活は何とか手摺を持てば。着替えも一人で出来るし。立ち上がるのは大変ですけど……」

「なら外ではどうかな?最近バスで病院に行っていると聞いたけど」

「慣れてきました。たまに手伝ってくれる人もいます。雨の日は大変だけど……」

「買い物とかはどうかな?」

「えっと、買い物の時の会計がちょっと。カウンターが高くて……今日も落としたお金を拾ってもらったりして。落ちたものを拾うのは大変です」

「雪翔君、この先の生活だけどね……」

「はい」

「今、回復に向かっているけど、精神的なものも多く足を使うことが困難なのは聞いてるよね?」

「お医者さんから……」

「那智さんと話し合ったんだけどね、障害申請したらどうだろう?」

「え?」

「身体障害ですか?」

「そう、色々なサービスも受けれるし、今後のことも考えて……決して治らないってことではないんだよ?ただもっと生活しやすいようになればいいかなって思ったんだ」

「少し考えさせてください。今すぐじゃなくてもいいんでしょ?」

「構わないよ。それと……裁判になるんだけどね、雪翔君にも来てもらわないといけないんだが、相手の子と顔を合わせなくて済むから、そこで話せることを話してくれるかな?」

「出ます……」

「途中で調子が悪くなったらいつでも休むことができるようにするから」

それからも話を聞いて、弁護士が帰った後は部屋に篭ってインターネットで色々調べた。

コンコン__

「雪翔君、ご飯は?」

「いい……」

「疲れちゃった?お昼も食べてないし……」

「大丈夫だから、一人にして」

「わ、分かったわ。部屋にいるから何かあれば呼んでね」

「うん」
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