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江戸屋敷
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押してもらいながら「坊ちゃんてなんでみんな呼ぶの?」と周太郎に聞く。
「御館様。お爺様がこの街一の名士のお家だからです。私は狐世界一と思っておりますが。そして冬弥様のお子様である雪翔様は、その家の子供になるので、みんな坊ちゃんとお呼びします」
「名前でいいのに……」
「そうもいかないのです。名前でと言われても成人までは坊ちゃんとお呼びする決まりなので」
「成人ていくつ?」
人間と同じですといわれ、後5年も呼ばれるのかとガクッとした。
着物屋さんにつくと栞がいて、早速薬は飲んだかと聞かれる。
「飲んだけど、どうしたの?待ち合わせ?」
「ここ、私の家よ?」
「いいところのお嬢さんだったの?」と時代劇でしか知らなかったがつい言ってしまう。
「そんなことないわ。今から着物に着替えて挨拶回りに行くの。今日来るって知ってたら、美味しい団子屋さんあったのに……」
「また連れてって。お婆ちゃんたちいるの?」
「ええ、中で反物見てるわ」
「まだ時間がかかりそうじゃな。なら、ショッピングモールとやらに行くか?」
「うん」
またねと手を振り、ショッピングモールと書かれた門をくぐると、出店のような売り場が沢山あり、向こうのものが置いてある。
「服が多いね。後は本と、靴屋さん?」
「今、若い女性の間では人気らしいです。紳士服と書いてあるので男物でしょうか?」
「見ていい?」と覗きに行くと、服屋というよりは雑貨屋さんのようだった。甘味処と書かれた横にカタカナでスイーツと書いてあったり、服が商店街のTシャツよりもダサい。
まともなのは本屋だったが、やはり種類は少なく絵本が多かった。
「これ、真似してるんだよね?」
「そう聞いてるが、違うのか?私もかなり昔に研修でしか行ったことがないから今の日本がわからない」
「全く違う……何でか僕が恥ずかしくなってきたよ……」
「確かに違うのう。じゃがきっとここから増えていくんじゃろう。もう少し様子を見るしかあるまい」
その後はやっと合流できて、芝居をやっているというので見に行く。
二階の個室の座敷から見るらしく、周太郎に運んでもらって部屋に入ると、すぐに芝居屋の主人が挨拶に来て、料理が運ばれてきた。
「ねぇ、周太郎さん達は一緒じゃないの?」
「ここでは使用人は外で待つか、下で芝居を見るかじゃ。家では自由にしていいことにしておるが、他の家では襖の前での待機が多い」
「ほんとに江戸時代だよそれ。自由にできる方がいいのにね」
「決まりは守らねばならんからのう。ほれ、始まるぞ?」
今で言う歌舞伎に似たものを見ながら、お寿司を食べ、祖父はお酒も飲んでいる。
とても綺麗な着物で出てくると、人気の役者さんなのか拍手が起こる。
何の話かまではわからなかったが、似ていたのでそれなりに楽しめ、食べた後は薬と言われてちゃんと飲む。
「歌舞伎みたいだった」
「そうか。芝居は儂にはイマイチ分からん。が、女どもが喜んでいるからよしじゃな」
帰るぞと言うとすぐに使用人が来て、荷物や土産など運んでくれる。
座敷だけはお土産がつくと教えてもらった。
「父上、雪翔をこちらの本屋に連れていきたいのですけど」
「それはいい。行ってきなさい、儂はそこの団子屋で休んでおるから」
行ってきますと言って本屋に連れていってもらう。中はたくさんの本が置いてあり、本棚に入り切らない本は山積みになっていた。
「えっとね、ここだよ。向こうから仕入れてくるみたいでこれだけしかないんだけどね、知ってるのはあるかい?」
上の方にある本はとってもらって作家名を見るが、知らない人ばかりでとても薄い本だった。
他はと見ると、好きな作家さんの本があったので手に取って中を見る。状態もいいし、発売されてからそんなには経っていない。その事を言うと、シリーズものだと入らないと困るのでと言われ、探偵ものの本と、短編集を渡す。
「あっちには図書館ていうのがあって本が借りれるんです。そこで僕これは読みました。あと、揃ってるのはこれです」と心理ゲームを描いたホラー作品を手に取る。
「ほらー?」
「怖い話?かな?でもこれは、そんなにグロイ表現もないから大丈夫かな?って」
「グロイ?」
「気持ち悪いってことです」
「へぇ。あちらにはたくさんの種類があるんだね。よし、これにしよう!なにか欲しい本はある?」
周りを見て、一冊の本に目が止まる。
「これは?」
表紙絵はないが、タイトルが『浮遊城』となっていたので気になって聞く。
「それね、ここからでは見えないけど、天狐の住まう所が浮遊城と呼ばれていて、それの物語だと思うよ。私も読んだことはないけど」
これにすると言ったら買ってくれたのでお礼を言って貰う。
「御館様。お爺様がこの街一の名士のお家だからです。私は狐世界一と思っておりますが。そして冬弥様のお子様である雪翔様は、その家の子供になるので、みんな坊ちゃんとお呼びします」
「名前でいいのに……」
「そうもいかないのです。名前でと言われても成人までは坊ちゃんとお呼びする決まりなので」
「成人ていくつ?」
人間と同じですといわれ、後5年も呼ばれるのかとガクッとした。
着物屋さんにつくと栞がいて、早速薬は飲んだかと聞かれる。
「飲んだけど、どうしたの?待ち合わせ?」
「ここ、私の家よ?」
「いいところのお嬢さんだったの?」と時代劇でしか知らなかったがつい言ってしまう。
「そんなことないわ。今から着物に着替えて挨拶回りに行くの。今日来るって知ってたら、美味しい団子屋さんあったのに……」
「また連れてって。お婆ちゃんたちいるの?」
「ええ、中で反物見てるわ」
「まだ時間がかかりそうじゃな。なら、ショッピングモールとやらに行くか?」
「うん」
またねと手を振り、ショッピングモールと書かれた門をくぐると、出店のような売り場が沢山あり、向こうのものが置いてある。
「服が多いね。後は本と、靴屋さん?」
「今、若い女性の間では人気らしいです。紳士服と書いてあるので男物でしょうか?」
「見ていい?」と覗きに行くと、服屋というよりは雑貨屋さんのようだった。甘味処と書かれた横にカタカナでスイーツと書いてあったり、服が商店街のTシャツよりもダサい。
まともなのは本屋だったが、やはり種類は少なく絵本が多かった。
「これ、真似してるんだよね?」
「そう聞いてるが、違うのか?私もかなり昔に研修でしか行ったことがないから今の日本がわからない」
「全く違う……何でか僕が恥ずかしくなってきたよ……」
「確かに違うのう。じゃがきっとここから増えていくんじゃろう。もう少し様子を見るしかあるまい」
その後はやっと合流できて、芝居をやっているというので見に行く。
二階の個室の座敷から見るらしく、周太郎に運んでもらって部屋に入ると、すぐに芝居屋の主人が挨拶に来て、料理が運ばれてきた。
「ねぇ、周太郎さん達は一緒じゃないの?」
「ここでは使用人は外で待つか、下で芝居を見るかじゃ。家では自由にしていいことにしておるが、他の家では襖の前での待機が多い」
「ほんとに江戸時代だよそれ。自由にできる方がいいのにね」
「決まりは守らねばならんからのう。ほれ、始まるぞ?」
今で言う歌舞伎に似たものを見ながら、お寿司を食べ、祖父はお酒も飲んでいる。
とても綺麗な着物で出てくると、人気の役者さんなのか拍手が起こる。
何の話かまではわからなかったが、似ていたのでそれなりに楽しめ、食べた後は薬と言われてちゃんと飲む。
「歌舞伎みたいだった」
「そうか。芝居は儂にはイマイチ分からん。が、女どもが喜んでいるからよしじゃな」
帰るぞと言うとすぐに使用人が来て、荷物や土産など運んでくれる。
座敷だけはお土産がつくと教えてもらった。
「父上、雪翔をこちらの本屋に連れていきたいのですけど」
「それはいい。行ってきなさい、儂はそこの団子屋で休んでおるから」
行ってきますと言って本屋に連れていってもらう。中はたくさんの本が置いてあり、本棚に入り切らない本は山積みになっていた。
「えっとね、ここだよ。向こうから仕入れてくるみたいでこれだけしかないんだけどね、知ってるのはあるかい?」
上の方にある本はとってもらって作家名を見るが、知らない人ばかりでとても薄い本だった。
他はと見ると、好きな作家さんの本があったので手に取って中を見る。状態もいいし、発売されてからそんなには経っていない。その事を言うと、シリーズものだと入らないと困るのでと言われ、探偵ものの本と、短編集を渡す。
「あっちには図書館ていうのがあって本が借りれるんです。そこで僕これは読みました。あと、揃ってるのはこれです」と心理ゲームを描いたホラー作品を手に取る。
「ほらー?」
「怖い話?かな?でもこれは、そんなにグロイ表現もないから大丈夫かな?って」
「グロイ?」
「気持ち悪いってことです」
「へぇ。あちらにはたくさんの種類があるんだね。よし、これにしよう!なにか欲しい本はある?」
周りを見て、一冊の本に目が止まる。
「これは?」
表紙絵はないが、タイトルが『浮遊城』となっていたので気になって聞く。
「それね、ここからでは見えないけど、天狐の住まう所が浮遊城と呼ばれていて、それの物語だと思うよ。私も読んだことはないけど」
これにすると言ったら買ってくれたのでお礼を言って貰う。
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