下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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江戸屋敷

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違うよと地図があるといい、この家がどの辺にあるのか知りたいと言った。

「この家はここじゃ」と教えてもらうと、ちょうど東に位置する場所だと分かった。

「春夏秋冬で分かれてる?」

「大まかに四つに分かれておるよ。季節はそれほどここと変わらんが、多少気候は違うかの?婆さんが北の生まれじゃったのぅ?」

「ええ、季節はここと同じ夏ですよ?でも、今は秋ぐらいの涼しさだと思うわねぇ。ほら、北に位置しているでしょう?それでここが海よ。端の方は漁師さんが多いの。街の外れは農家さんね。私の実家は街だけど、酒問屋なのよ」

「幸さんは?」

「私はこの街の生まれです。一度南に旅したことがあるくらいで、秋と北は行ったことがないんです」

「遠い?」

「移動は荷馬車が多いからのぅ。それか徒歩か……」

「道標はあるわよ?」

「車とかないもんね……」

「儂等は飛んでいけるが、一般の者は徒歩や乗合で行くものが多い」

「僕も行けるかな……」

そう言って足を見ると、次に長い休みの時には連れてってくれると言うので、それを楽しみにすることにした。

次の日は荷物を纏めてくれると言うので任せることにし、本を持って社へと行く。

「おーい!」

振り向くと那智と秋彪が来ており、どうしたの?と聞く。

「兄貴に任せてこっちに来たんだ。どうだこっちは」

「楽しいよ?」

「雪翔、何かあったか?」

「なんで?」

「いや、明るい顔になったと思っただけだ」

「たまに、夢に見ることがあるんだ。所々だけど……」

「祭りか?」

「それも。あと学校のこと……」

「とても現実っぽくて、びっくりして起きる時もあるけど、起きたらこっちの布団で寝てるから、実感がなくって」

「一つずつ空白を埋めていくしかないよな」

「うん。ねえ、玲さんは来なくてもよかったの?」

「全部いなくなっても困るし、兄貴は大分此方に居たから残るって」

「そういう事だ。で、紫狐達は出してないのか?」

「金と銀は眠ってるし、しーちゃんは毎日家の手伝いしてるよ?」

「全く、離れるなと言っておいたのに……」

「楽しそうだから、良いかな?って思って」

「笑い事ではないぞ?何も無いから良いものの……」

「なにか気配がすると思ったらお主たちか」

祖父母が心配してきてくれたのだろう。二人だと分かって安心したのか、みんな屋敷に泊まればいいと言い、一度帰ることにする。

「二回目だなー」

「冬弥の家はでかいな……俺の家の倍はあるぞ?」

「それでもでかい家じゃん!那智もお坊ちゃま?」

ギロっと那智が秋彪を見て、家も役人だと言ったのを聞き驚く。

「みんな坊ちゃんて呼ばれてたんだ」

そう思うと面白かったが、お昼にみんなで街に行き、うどんを食べてバッテリーをついでに回収しに行く。

その後、下宿のみんなにお土産をと思って少し考える。

「どこに行ってたことにしたら良いのかな?」

「饅頭で良くないか?煎餅とかさ」

「うん」

そう言って近くの煎餅屋に行き菓子折を買う。

団子屋に寄っておやつがわりに食べ、みんなの分もお土産に包んでもらう。

使用人のみんなにもと買っていたら、かなりの量になり、後ろの持ち手にかけて貰い、帰り道に栞の所に寄る。


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