下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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江戸屋敷

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「いらっしゃい……やだ!那智様、秋彪君……みんなでどうしたの?」

「午前中に来て、今夜お爺ちゃんの家に泊まるんだ」

「そうなの。明日は10時頃でいいのよね?」

「そう聞いてるよ?」

「その時間に行くわね。上がっていく?」

「いや、いい。日暮れまでに帰ると約束したからな」

「そうですか。では明日に」

そう言ってわかれ、家に向かう途中に視線を感じて後ろを振り向く。

「どうした?」

「なんか……気のせいかな?那智さん、那智さんの住んでた所はどんな所?」

「南だからここより暑いくらいで大して変わらんが?秋彪もよく似たものだろう」

「まぁねー。ここより涼しいと思うけど、俺と兄貴は秋と冬の境目だったから、季節感は微妙だったかな?」

「場所によってやっぱり違うんだ」

昨日の本の話をすると、なるほどと言われて向こうの話も聞く。

話しながら歩いているとすぐに家につき、中でお茶を飲みながら変わったことはないかと聞くと、変わりはないと言われる。

「あ、下宿に一人帰ってきてたぞ?」

「堀内さんだ」

「そうそう。置き手紙しただろ?それ読んでぼーっとしてたけど」

「何処に行くとか具体的に書いてないと思ったけど、それでかな?」

「でも大人だから大丈夫だろ?」

「うん、だけどいつも人がいるから寂しくないかな?」

「かも知れんな。だが雪翔が気にするほどのことではない。明日には帰るんだし……どうした?」

「うん……誰かいたような」

「この部屋からは庭しか見えないぞ?」

「最近多いんだ……その頃からよく夢を見るようになって」

「何かいれば我々でも気付く」

「だよね?」

夕餉ですと声が掛けられて食事の部屋に向かう。

お酒なども用意され、来た時と同様に豪華な食事で、京弥も帰ってきていた。

「さぁ、飲んで食べて!今日が最後の夕餉じゃからの」

「いただきます」

肉の鍋も用意され、小さい鍋が一人ずつ置かれ火がつけられる。

お刺身などもあり、おかずだけでも好きなものばかりを作ってくれたようだ。

みんな飲んでいる中、久しぶりにお代わりをし、沢山ご飯を食べる。山菜ごはんはとても美味しくてここに来てからのお気に入りの一品であった。

「雪翔、よく食べるようになったな……」

「うん、美味しくて。この前は川で魚も捕ったんだよ!」

「雪翔がか?」

「そうだよ?最初は釣りしてたんだけど、釣れなくて。網を張って捕ったんだよ!」

「なるほど。それにしてもこちらでの方が元気がいいな」

「そうだな。顔色もいいし、空気があってるんじゃないか?」

「そうかのかなー?あ、しーちゃん!」

「ゆっきー!あ……那智様!」

「何故みんな驚く?」

「しーちゃん、金と銀の様子みてくれない?」

「分かりましたー」

影に入ってからすぐに出てきて、まだ眠っていると言う。

「大丈夫かな?」

「どれ、儂が見よう」

影に手を置いて何かを探っていたようだが、やはり眠っていると言う。

「少し大きくなったかの?少し妖力とはまた違うが、力が増えておるようじゃ。このまま眠らせてやればいい。そのうち起きるじゃろう」
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