下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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全ての始まりと終わり

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「骨には異常はないね。くっついたと言っても、打ちどころが悪いとまたすぐに折れてしまう。が、両手を伸ばしてみてくれるかい?」

言われた通りに両手を前に出す。

「いいよ。下ろして」

「先生、前の事もあるので診断書を貰えますか?」

「わかりました。少し休んだ方がいいと思います。手先に痺れがあるんじゃないかい?」

「少し……」

「下半身を支えるのに慣れない動きをしていることと、精神的なものがあると思います」

「雪翔、休め!」

「やだ!」

「頓服はまだありますか?」

「あります」

「お昼に神経の薬を追加しますのでちゃんと飲んでください。気持ちを落ち着ける効果があるので」

「それはずっとですか?」

「次の診察までで。様子を見ましょう」

みんなが質問してくれたので自分からは何も聞くことは無かったが、診察室を出ると前に見た男女の刑事さんが来ていた。

「遅くにすいませんねぇ」

「いえ、大丈夫ですよ?雪翔君、大丈夫?」

「はい……」

「青井さんは先生に話聞いてきて」

「了解!」

「あの……」

「車椅子の写真を撮らせてくれる?専門の子が来れば早かったんだけど、今手が離せなくてごめんなさいね」

「いえ」

長椅子に座らされている間に冬弥が今日の話をし、隆弘はオレンジジュースを買ってきてくれた。

「あのな、こう言ったことは事件……被害届出さないと警察も動かないんだ。この部署は特別チームらしくて前回のことも含めて動いてくれたんだよ。俺も持つべきものは友と思ったよ」

「知り合いなの?」

「俺の先輩が知ってて、それで前に連絡来てさ……その時に少し教えて貰ってたんだ。もらった名刺の番号登録しておいてよかったよ。あの女性が室長さん、一番偉い人なんだって」

「まだ若いのに?」

「キャリアの割には何かちょっと違う感じなんだよなぁ」

「そうなの?刑事さん自体見ることないもんね」

「普通はな?」

「僕……学校行きたいだけなのにな」

「分かってるよ!」と頭をクシャクシャっとされる。

話が終わったのか、明日は登校時に小野寺と寺内という人が付いてきてくれることになり、ゆっくりと休むようにと言われ病院を出て帰宅し、母屋に戻った。

冬弥の部屋のキッチンで素麺を茹でてくれたので、それを晩御飯にして食べて、お風呂は湿布を外してシャワーだけにする。

「青血出来ちゃった……」

宿題だけでもしようとプリントを出して問題を解いてからカバンにしまい、明日の支度をしてから薬を飲んで休む。


「おはよう……」

「おはよう、ほらまた下向いてる。昨日のこと聞いたよ?私は今日帰るけど、いいね?前を向いてるんだよ?」

「はい」

「よろしい!じゃあご飯にしようか。今日は冬弥が不機嫌だったから私が糠漬けを切ったんだけど、余計に機嫌悪くしてしまって……」

そう言って出てきた漬物は薄切りでもなく厚切りでもなく、どう切ったらこうなるんだろう?と言う形になっていた。
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