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退学
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「私と共に来てくれませんか?」
「あの……」
「雪翔の母に。私の妻になって下さい」
「はい」
「良かったです……実は断られたらどうしようかと思ってました」
「断るだなんて!私はずっと冬弥様だけ見てきました。家族になれるんですね?」
「子持ちですけど」
「雪翔君が受け入れてくれるか心配です」
「大丈夫でしょう?なぜそう思うんですか?」
「いきなりお母さんて……戸惑うと思って」
「それもゆっくり進めていきませんか?」
「はい」
「折を見てみんなに話します。下宿屋の事も」
「冬弥様の中ではもう決まっているのでしょう?どんな下宿屋にするんですか?」
「手伝ってくれますか?」
「喜んで」
下宿屋に帰り、図面を見せて説明する。
西に三部屋、東に三部屋の三階建て。
西と東の間は、三階には何もなく部屋が二つ多く、二階は談話室。一階は食堂となり、部屋はアパートの1LDKの作りでバス・トイレ・キッチン付き。新築の相場からして家賃八万、朝夕食事付きで土日は自炊。
隣には一軒家を建てると言い、キッチンは好きなものを選んでくれていいと言ったが、今流行りの家になるものの和洋折衷で、和室には縁側に鹿落としはつけて欲しいと頼む。
「リビングは洋風と言うのでしょうか?それにします。囲炉裏の代わりに暖炉が欲しいですし、ソファがあれば雪翔も楽でしょう。バリアフリー設計で手摺も付けます。二階建てですけど、雪翔の部屋を一階に作ります」
「それ、もう決めてるじゃないですか」
「キッチンは決めてません」
「ほとんど決まってると言いますよ?ほら、ここに絵が……写真も。このまま買ったのでしょう?」
「実は……流行りのはわからなくて。部屋が多ければあちらから栞さんの御両親が見えても泊まれますし……」
「掃除するのは私なんですが……でも、いいです。このリビングが広いからきっといつもここにいると思いますし」
「栞さんの部屋何ですが、ふ……夫婦ということで同じ寝室でもいいですか?」
「え?あ、はい……」
その後もあれは違うこれは違うと言いながら決めていき、すぐに行動に移すのが分かっていたのか、朝から行ってらっしゃいと言われ、建築会社に注文しに行く。
術を使いすぐに建て始めてもらうことにし、モデルルームの中のものそのまま全て購入し、出来た時にはすぐに住めるようにと手配した。
いくつかの会社を使い、夜もできる作業は休みなく作業してもらってるので、ありえないスピードで出来ていく。
雪翔の退院が近く、今工事をしていると言って妖街に行ってもらうことにし、その間にみんなに話をする。
「__で、少し遠くなりますけど、もう親御さんの許可貰ってるんです。なんと、家賃は六万食事付き!」
「それでアパート形式なら安い!」
「ただ、ここにいる皆さんは社会人になってこの地で働くことになってもそのお値段でいいのですけど、ほかの方々は八万としているので内緒にしてほしいんです」
「いや、それ安いから!あと5千円あげてもいいくらい」とみんなが言うので、不動産屋には八万五千円で入居者募集とした。基本は学生対象だが、集まるのかどうか、20人になって二人で出来るのか不安もあった。
それから三ヶ月、完成したのを機に雪翔を迎えに行って新居を見せる。
「うわぁ……すごい豪邸。誰の家?」
「私たちの家ですよ?」
「前の……家は?」
「老朽化が来ていたので思い切って。隣に下宿です。見に行きますか?」
「なんで教えてくれなかったの?」
「あそこは……雪翔には辛いと……」
「……楽しいこともあったよ?」
「雪翔、ここから再出発しませんか?私と栞さんと雪翔で……」
「栞さんも?」
「雪翔のお母さんになります。相談しなかったのはその、恥ずかしくてですねぇ……」
「お母さん?」
「ダメかしら……」
「本当に?僕のこと置いてったりしない?」
「しません!」
「だから、退学届けを出して、ここから始めましょう」
「うん」
「下宿屋、手伝ってくださいね?」
「はい!」
そしてみんなの引越しも終わり、新しく下宿屋の日々が始まった。
(下宿屋 東風荘2 終)
「あの……」
「雪翔の母に。私の妻になって下さい」
「はい」
「良かったです……実は断られたらどうしようかと思ってました」
「断るだなんて!私はずっと冬弥様だけ見てきました。家族になれるんですね?」
「子持ちですけど」
「雪翔君が受け入れてくれるか心配です」
「大丈夫でしょう?なぜそう思うんですか?」
「いきなりお母さんて……戸惑うと思って」
「それもゆっくり進めていきませんか?」
「はい」
「折を見てみんなに話します。下宿屋の事も」
「冬弥様の中ではもう決まっているのでしょう?どんな下宿屋にするんですか?」
「手伝ってくれますか?」
「喜んで」
下宿屋に帰り、図面を見せて説明する。
西に三部屋、東に三部屋の三階建て。
西と東の間は、三階には何もなく部屋が二つ多く、二階は談話室。一階は食堂となり、部屋はアパートの1LDKの作りでバス・トイレ・キッチン付き。新築の相場からして家賃八万、朝夕食事付きで土日は自炊。
隣には一軒家を建てると言い、キッチンは好きなものを選んでくれていいと言ったが、今流行りの家になるものの和洋折衷で、和室には縁側に鹿落としはつけて欲しいと頼む。
「リビングは洋風と言うのでしょうか?それにします。囲炉裏の代わりに暖炉が欲しいですし、ソファがあれば雪翔も楽でしょう。バリアフリー設計で手摺も付けます。二階建てですけど、雪翔の部屋を一階に作ります」
「それ、もう決めてるじゃないですか」
「キッチンは決めてません」
「ほとんど決まってると言いますよ?ほら、ここに絵が……写真も。このまま買ったのでしょう?」
「実は……流行りのはわからなくて。部屋が多ければあちらから栞さんの御両親が見えても泊まれますし……」
「掃除するのは私なんですが……でも、いいです。このリビングが広いからきっといつもここにいると思いますし」
「栞さんの部屋何ですが、ふ……夫婦ということで同じ寝室でもいいですか?」
「え?あ、はい……」
その後もあれは違うこれは違うと言いながら決めていき、すぐに行動に移すのが分かっていたのか、朝から行ってらっしゃいと言われ、建築会社に注文しに行く。
術を使いすぐに建て始めてもらうことにし、モデルルームの中のものそのまま全て購入し、出来た時にはすぐに住めるようにと手配した。
いくつかの会社を使い、夜もできる作業は休みなく作業してもらってるので、ありえないスピードで出来ていく。
雪翔の退院が近く、今工事をしていると言って妖街に行ってもらうことにし、その間にみんなに話をする。
「__で、少し遠くなりますけど、もう親御さんの許可貰ってるんです。なんと、家賃は六万食事付き!」
「それでアパート形式なら安い!」
「ただ、ここにいる皆さんは社会人になってこの地で働くことになってもそのお値段でいいのですけど、ほかの方々は八万としているので内緒にしてほしいんです」
「いや、それ安いから!あと5千円あげてもいいくらい」とみんなが言うので、不動産屋には八万五千円で入居者募集とした。基本は学生対象だが、集まるのかどうか、20人になって二人で出来るのか不安もあった。
それから三ヶ月、完成したのを機に雪翔を迎えに行って新居を見せる。
「うわぁ……すごい豪邸。誰の家?」
「私たちの家ですよ?」
「前の……家は?」
「老朽化が来ていたので思い切って。隣に下宿です。見に行きますか?」
「なんで教えてくれなかったの?」
「あそこは……雪翔には辛いと……」
「……楽しいこともあったよ?」
「雪翔、ここから再出発しませんか?私と栞さんと雪翔で……」
「栞さんも?」
「雪翔のお母さんになります。相談しなかったのはその、恥ずかしくてですねぇ……」
「お母さん?」
「ダメかしら……」
「本当に?僕のこと置いてったりしない?」
「しません!」
「だから、退学届けを出して、ここから始めましょう」
「うん」
「下宿屋、手伝ってくださいね?」
「はい!」
そしてみんなの引越しも終わり、新しく下宿屋の日々が始まった。
(下宿屋 東風荘2 終)
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そんな理由であんなこと言っていたなんて、最低の大馬鹿者が委員長だったのですね
録音と指紋の採取は大切だと思うので、その都度徹底してほしいです
誰かを姑息な手段で落としても後々無駄になるのがわからないとは、進学校とは思えないできの悪さですね( ;`Д´)
私は雪翔ほど良い点数ではなかったですが、総合や化学で一位でも女が一位かよと言われただけですんだので恵まれてたなと思っちゃいました。
雪翔には徹底抗戦してほしいです
3年生のテストを解いたとき雪翔に良くやったと思わず言ってしまいました(*^^*)
最低で馬鹿な担任と校長、教頭は首をすげ替えてほしいぐらいですね
雪翔が精神的にもどんどん強くなって嬉しいです
主犯の馬鹿が厳罰になるように証言してほしいです(^-^)
いつもお読み頂きましてありがとうございます┏○))ペコリ
自分がおバカさんなので、雪翔を賢い子にしたのですがwww
現実問題、いじめというのは無くならず、先生達は保身に走り……と言うのがやはりあります。
主犯はおきつね様の祟りより厳しい罰を!と思うのですが、どうなることやら(´。・д人)シクシク…
下宿屋2も終盤、終わり次第3を公開します。
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小さなことと見られがちですが、雪翔が受けた重く苦しい内容は心を壊してしまいます。現実にもあるのだろう……そんな事を考えると、とても恐ろしく、悲しくなりました。しかし、だからこそ乗り越えて行く強さが光り輝いています。新たな道を切り開いて行くのだろう……そう感じさせられるラストは凄い好きです。とうとう家族になった冬弥と栞も、どうなっていくのか気になります。
全体的にテンポも良くて読みやすく、それでいて細かな描写が感情移入させてくれました。やはりこのシリーズは面白いですね。