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夏祭り
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よく見ると、広げてある扇子の下の方に黒いものが巻きついてるのが見える。
迦具土が指を鳴らすと消えたので、もう一度当てると、今度は面白いように倒れた。
俺の三回分返せ!
あと一回出来るのでと、ちょっと倒れそうにない丸いパズルに狙いをつけて撃つと、これもコトンと倒れる。
「ちょ、倒れないでしょ普通。俺の運これで使い切ったら受験が……」
「よく見てみろ。支えの棒の太さが違うのわからないのか?」
ちょっとズレて横を見ると、確かに支え方が違う。
これで倒れやすかったり、倒れにくかったりとしているのだろう。
分かってしまえば結構悔しい。
「はい、扇子」
「ほほほ、ありがとう。これで涼しくなるわねぇ」
「ところで……神輿が帰ってくるまでの間、他にすることもないし、一通り見てからテチ様の所に行って、そのあとどうするのか……」
「爺ちゃん考えすぎだよ。お祭りなんだからとにかく楽しもうよ!ね?」
「それもそうだな」
一通り見て戻ろうとしたところで、ワァッと大きな歓声が上がり、階段を神輿を担いだ青年団の人達が上がってくるところだった。
ちょうど戻るのにもいいなと、通り過ぎるのを待って振り返ると、ウズメさんの踊っている周りは、黒いものが蹴散らされているように見えるが、宮司さんの周りには沢山の黒い物が飛びかかっているようにも見え、それを大国さんが剣で切って払い除けているのが見えた。
「迦具土、あれって……」
「思ってた以上に社側に行っちまったんだ。俺は先に行くから、お前は祖父母殿を守りながら来い」
「り、了解!」
迦具土が消えたと思ったら、反対側から兄と石長さんも合流し、「この辺りには何もおらぬ。ウズメ様の踊りにつられ、みな社側に行ったのだと……わ、私が離れたら、後ろからくるものと戦う事が出来ないのに、迦具土様は……?」
「後ろ?」
「姿はもうすぐ見えます!あれは大きな祭りの時に現れては消える物の怪で、今まではこんな禍々しい気なんて放っておらなかったのに……この祭りに寄ってきた物の怪の力をかなり取り込んだようじゃ……祖父母殿、純平さん逃げて下さいませ。翔平さんはテチ様を呼んできて貰えませぬか!」
「翔平、俺も残る。お前と爺ちゃん達は、テチって人連れてきて」
「兄貴!」
「デートを台無しにされたんだ。一発ぶんなぐっておくさ」
「純平さん、本当に危ないので……」
「石長さん、女性に庇われるような貧弱には育てられてないんで、少しは頼ってください。と言っても、この短刀が伸びたり縮んだりするだけで、どう扱うのかまだまだわからないんだけど」
「私も残ろう!翔平、婆さんを頼んだぞ!」
「爺ちゃん!」
「今こんなところで当主を無くすわけにはいかん!婆さん、翔平を引っ張って行ってくれ!すぐに追いかけるから」
「分かりました。行きますよ、翔平」
「婆ちゃんも!何言ってるんだよ!」
「翔平!テチ様を連れてくるのが私と翔平の仕事でしょう?家族を信じなさい!」
婆ちゃんだって本当は残りたいに決まってる。
すごく寂しそうな顔で爺ちゃんを見てたから……
「すぐに戻るから!」
それだけ言って、イカ焼きの所まで婆ちゃんに合わせて走りはするものの、あまりの人の多さに中々前に進めないでいたが、イカ焼きを見つけ「テチさーん!」と呼ぶとすぐに出てきてくれた。
迦具土が指を鳴らすと消えたので、もう一度当てると、今度は面白いように倒れた。
俺の三回分返せ!
あと一回出来るのでと、ちょっと倒れそうにない丸いパズルに狙いをつけて撃つと、これもコトンと倒れる。
「ちょ、倒れないでしょ普通。俺の運これで使い切ったら受験が……」
「よく見てみろ。支えの棒の太さが違うのわからないのか?」
ちょっとズレて横を見ると、確かに支え方が違う。
これで倒れやすかったり、倒れにくかったりとしているのだろう。
分かってしまえば結構悔しい。
「はい、扇子」
「ほほほ、ありがとう。これで涼しくなるわねぇ」
「ところで……神輿が帰ってくるまでの間、他にすることもないし、一通り見てからテチ様の所に行って、そのあとどうするのか……」
「爺ちゃん考えすぎだよ。お祭りなんだからとにかく楽しもうよ!ね?」
「それもそうだな」
一通り見て戻ろうとしたところで、ワァッと大きな歓声が上がり、階段を神輿を担いだ青年団の人達が上がってくるところだった。
ちょうど戻るのにもいいなと、通り過ぎるのを待って振り返ると、ウズメさんの踊っている周りは、黒いものが蹴散らされているように見えるが、宮司さんの周りには沢山の黒い物が飛びかかっているようにも見え、それを大国さんが剣で切って払い除けているのが見えた。
「迦具土、あれって……」
「思ってた以上に社側に行っちまったんだ。俺は先に行くから、お前は祖父母殿を守りながら来い」
「り、了解!」
迦具土が消えたと思ったら、反対側から兄と石長さんも合流し、「この辺りには何もおらぬ。ウズメ様の踊りにつられ、みな社側に行ったのだと……わ、私が離れたら、後ろからくるものと戦う事が出来ないのに、迦具土様は……?」
「後ろ?」
「姿はもうすぐ見えます!あれは大きな祭りの時に現れては消える物の怪で、今まではこんな禍々しい気なんて放っておらなかったのに……この祭りに寄ってきた物の怪の力をかなり取り込んだようじゃ……祖父母殿、純平さん逃げて下さいませ。翔平さんはテチ様を呼んできて貰えませぬか!」
「翔平、俺も残る。お前と爺ちゃん達は、テチって人連れてきて」
「兄貴!」
「デートを台無しにされたんだ。一発ぶんなぐっておくさ」
「純平さん、本当に危ないので……」
「石長さん、女性に庇われるような貧弱には育てられてないんで、少しは頼ってください。と言っても、この短刀が伸びたり縮んだりするだけで、どう扱うのかまだまだわからないんだけど」
「私も残ろう!翔平、婆さんを頼んだぞ!」
「爺ちゃん!」
「今こんなところで当主を無くすわけにはいかん!婆さん、翔平を引っ張って行ってくれ!すぐに追いかけるから」
「分かりました。行きますよ、翔平」
「婆ちゃんも!何言ってるんだよ!」
「翔平!テチ様を連れてくるのが私と翔平の仕事でしょう?家族を信じなさい!」
婆ちゃんだって本当は残りたいに決まってる。
すごく寂しそうな顔で爺ちゃんを見てたから……
「すぐに戻るから!」
それだけ言って、イカ焼きの所まで婆ちゃんに合わせて走りはするものの、あまりの人の多さに中々前に進めないでいたが、イカ焼きを見つけ「テチさーん!」と呼ぶとすぐに出てきてくれた。
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