八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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お盆祭り

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最初に向かったのは三十三間堂。

自分と同じ顔の仏像があると聞いたことがあると話したら、兄まで一体一体見ては「俺の顔どんなんだっけ?」と馬鹿なことを言い始め、まさかのテチが思いっきり見入っている。

なのにそこに興味はないのか、「次に行こう!」と急かしてくるうずめさん。

きっと思っていたのと違ったんだな?と諦めて歩いていくのはいいが、両脇の土産物屋に地味に上り坂になっているのがきつい道を上まで登り、なんとか到着!と思ったら早速、「ちっさ!大国ちっさ!」と、恋のいしが置いてある手前の、しかも女子高生が固まってお願いごとをしている前で、「ご利益得るのかぁ?」などと戯言を言っている。

やめて!

本当に辞めて?

俺たち高校生はまだ恋に夢見てたいんだよ!!!

「恋のお守りかぁ」

しっかりと二つ買ってる兄に、「要るの?」と聞くと、当たり前だ!と言われ、迦具土とテチは先に清水の舞台に行くと言うので必死に止める。

俺にはうずめさんを止めるすべが全くない!

清水の舞台からは落ちても平気だな等と言うが、それはあなたが神だからです!と言いそうになって口を噤んだのは俺だけ。

兄は呑気な顔をしている。

そこからさらに歩くのかと肩を落としていたら、ちょっと休憩しようとコーヒーを飲みながら座り、観光地図を手に迦具土とうずめさん、テチと何やら話している。

「兄貴ー、俺もう疲れたよ」

「諦めろ、そして楽しめ」

「楽しめてる兄貴は絶対ばあちゃんの遺伝子ついでると思う」

「そんなことは無いぞ?俺は繊細でガラスのハートだからな……」

嘘をつけ!!!

「翔平、純平、今から八坂神社までの通りを歩いていくことにした。強そうなのは俺達が倒していくとして、神社内に入ったらお前達で隅々まで見て回ってくれ」

「観光客のふりでしょ?」

「そう。で、もしも……もしもの話だがな、髭もじゃの体の大きいオッサンに会ったら」

「ん?」

「逃げろ」

「はぁ?」

「素戔嗚尊だから」

「そんな理由で?」

「かなり絡まれると思うけどいいのか?」

「なんで俺達が絡まれないといけないんだよ」

「それは……」

迦具土が言葉を濁していると、横から「大国の気の匂いがするからじゃ」とうずめさんが言ってくる。

「兄貴、俺臭う?」

「人間に臭うわけないじゃろう?私達には独特の気というものがあるのじゃが、今のそなたらは、私とテチ、迦具土、大国、八意。微かに石長の気の匂いが染み付いてる状態なのじゃ。今ここに大国が居ないのが幸いしてるが、もし居てみろ。私でもなんとも出来んくなる」

物凄く嫌な顔をしながらも真面目な顔で話をしてくるので、本当の事なのだろう。
しかも隣のテチまで嫌がってるって、大国さん何をしたんだろう?

とにかく進もうということになって、賑やかな通りを歩き神社に着くなり、「お前達も短冊に願いを書いてくるといい。そのあと見回りをして、待ち合わせは本殿の前に16:00。よいな?」

「出店でご飯食べていい?」

「勿論構わぬ。私達は先に本殿の奥から行ってくるから、必ず逃げるのじゃ。わかったな?」

兄と迦具土と三人で返事をしてから、腹が減ったと定番のたこ焼きと焼きそばにジュース、フランクフルトを買って適当な所で腰を落として食べる。

「今日帰れるのかなー?」

「上手く行けば帰れるんだろ?ほら、人混みに混じって変なのもいるし、それらを祓えばいいんじゃない?」

「迦具土はついて行かなくていいのかよ」

「あいつの踊りは見たくもない」

「踊るの?」

「屋根の上でな。あいつの踊りでかなりのものは居なくなる。楽なものだが、ここは広いから早く食べて移動した方がいいな」と屋台の方を見ている。
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