八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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神気と力

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「何を言うか。牛若丸に剣術を教えたものもおるし、神としては山神として祀られたりもしておる」

「えっと、今生きてるんじゃない……」

「儂と同じじゃ。ほれ、迦具土も早う入ってこんか」

「いや、そこにいるカラス……」

「こいつは八咫烏じゃ。神酒を飲んだから大人しいもんじゃ。それより、料理をいただくとしようかの」

「あ、俺とりますけど」

「良い良い、こうして重箱から戴こう。して、これはなんじゃ?」

唐揚げです!と答えたいが、相手はカラスなんじゃ……

ん?と聞かれ、「か、唐揚げです」と何とか言うと、ぱくりと一口。

共食いじゃ……

「うん、美味い!こっちの漬物も良い塩加減じゃな」

「あ、別でおにぎり持ってきてるんですけど」

包から、ラップでくるんであるおにぎりと、海苔を出し、鮭と昆布だと言うと、早速昆布のおにぎりに海苔を巻いて大きな口で頬張る。

「パリッとしてるのも良いな。湿気ておるのも良いが、この昆布がまた美味い」

大声で笑っているのはいいが、迦具土の気にしていた八咫烏はどうも寝ているようでピクリともしない。

放って置いていいのだろうか?

「八意さん、俺は何をすれば……」

「翔平、明日も摘みを頼まれてくれんか?それと、『ちいず』と言うものや、芋がしなんかもあると助かる」

「ポテチの事ですか?」

「そう、それじゃ。味は任せる。でじゃ、家で供えておるお神酒を八咫烏に毎日あげに来て欲しいんじゃ。こやつ怪我しよっての、傷は治ったんじゃが、養生させるのにここが良いと思ってのぅ」

「カラスの世話……って、ご飯は?」

「翔平の昼飯の残りで十分じゃよ」

それは、俺に毎日こいって事か?

しかも昼飯って言ったぞ!?

ふくれっ面をしていると、天狗が「えあーこん、というものには程遠いが、涼しい風が入るようにしておいてやる」とご機嫌で言うもんだから、「はい」としか返事が出来ない。

迦具土が昼飯、夕飯の重箱を届けることに決まり、ひとまず、この重箱ではきっと足りないって事を婆ちゃんに言っておかないといけない。

その前に文句を言いたいのは、週二回って言ったのに!という事。

帰宅して、あまり無理しないで欲しいと祖母に頼み、翌日行く前にコンビニでジュースとのり塩ポテチ、チーズ系のものを買って持っていく。

特に何をしろということもないので、勉強道具一式も。

用事を頼まれればやるが、それ以外は勉強していても文句は……言わせない!


「おはようございます」

朝の10時を回ったところで茅葺き屋根の家に行き声をかけると、「おはよう!」と奥の板の間から声が。

見ると、雑巾片手に水拭き。

「な、何してるんですか?」

「しばらく厄介になるのだから、掃除をするのは当たり前だろう」と言いながら、隅々まできれいに拭いている天狗さん。

荷物を一旦土間の机に置き、一緒になって拭いていると、名前を聞かれたので答え、翔平でいいですと言って雑巾を絞る。

絞ったあとのバケツを見て、こんなに汚れてたんだ……と思い、畳の部屋も固く絞った雑巾で拭き、窓を全開にして乾かす。
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