98 / 103
神気と力
.
しおりを挟む
「よっこいしょ」
呑気に座ってんじゃねぇ!!!
「そろそろ迦具土も来る頃合いかの?」
「多分。晩御飯用のお重取りに戻ってます」
「ならば、とっとと呼ぶとしよう」
パン__
手を鳴らしたと思ったら、土間に迦具土。
しかもかなり怒っている。
「ジジイ、てめぇ、突然歩いてる俺が消えたら周りがビックリするだろーが!」
「誰もおらんかったじゃろう?」
「もしもだもしも!」
「にしても大荷物よのぅ。自転車というのにはのらなんだか?」
「無理だろ……」
渡された紙袋の中には、三段の重箱と二段の重箱。
それとは別に風呂敷包みがあったので、これはおにぎりか何か。
水筒は一番大きいものが多分味噌汁かなにかだろうと予測しながら開けていくと、二段の重箱は素麺。
薬味もラップで隅に置いてあるが、どう食えと言うんだ!
「えーと、紙コップに入れて食うのに三つ渡されて、このでかい方が氷入りの麦茶。これのコップはこの大きい方の紙コップらしい。あと、タオルを渡されたんだが」
「あ、水筒の下に敷くようだと思うよ。暑いから氷溶けると思うし。いつも念の為って敷いてるから」
「もう出すのか?」
「そうだね。その後におやつ出そうかな……大天狗さん寝ちゃったし、タイミングがなくて」
準備していると、八意さんが大天狗さんを起こし、「儂の分は?」としっかり聞いてくるので、「無いです!」と一言。
「今日はたのむのをわすれておったんじゃ」
紙皿を渡し、紙コップにつゆを入れて重箱の一段を渡すと、ヨダレが垂れそうな程に見ている八意さん。
「後で食べに行こう」と言ったのはしっかり聞いたからな!
「八咫烏さんはどうします?おにぎりとか?」
「何でも。余りたくさんはいいです」
お昼も少なかったしなぁと、玉子焼きにひと口ハンバーグ、おにぎりと置いていくと、とりあえずこの位でと言われたのだが、あまりにも少なすぎやしないか?
後でポテチを多めにあげようと思い、自分達もいただきますと箸をつける。
「あ、時雨だ」
おにぎりの具が時雨だったので、珍しいなぁと思いながら食べていると、大天狗さんは素麺を器用にすすり、冷たいお茶が気に入ったのか、特に氷を口に含んでは「暑さが吹き飛ぶ」と言って喜んでいる。
素麺のところに氷入れて置いてくれて助かったよ……
「あ、お酒どうします?」
「素麺の後で……」と黙々と食べる大天狗さん。
おかずは酒のあてにするのかな?と迦具土を見ると、白い瓢箪のようなものに入れたお酒を八咫烏にあげている。
お神酒のこと忘れてたよ……
結局、お酒とおつまみを八意さんと大天狗さん二人で食べて飲んでるので、ちょこっと八咫烏にも渡し、「食べて早く元気になってくださいね」と言う。
「翔平、実はな……」
「嫌です」
「まだ何も言うておらんではないか」
「嫌な予感しかないですけど。それに俺、受験生!丸一日机にかじりついてるはずの受験生!」
「分かっておる。じゃが、体に変調があるようじゃしの」
「知ってたんですか?」
「何となく。儂らの神気とは少し異なるようで、それをこの大天狗に見てもらいたかったのもあるんじゃ」
ちゃんと考えてくれてたんだ!
「でじゃ、この夏休みの終わりまで、大天狗と八咫烏と共に、橿原神宮まで熊野からついて行ってくれんか?」
「またそんな無茶を……」
「確かに、山越えは無理であろう。人の足でどのくらいかかることか……」
「熊野古道というのを知っておるか?」
「聞いたことありますけど……」
「大峯奥駈道 。玉置神社から奈良県の吉野、金峯山寺まで。とても厳しい山で、五日から六日はかかる。翔平、まずはその山を登ってみんか?」
「はい?」
「一般の登山道ではないし、安全な道でもない。熊野那智大社から、玉置神社までは大天狗と八咫烏とで行っておるんじゃ。目的地は橿原神宮。前に奈良に行ったところからはだいぶ離れておるが……その力のことやこれからの事、自分の中で何かわかるかもしれん」
ただの登山とは違うこと、登ることによって何かを得る得ないは自分自身だということ。
もちろん迦具土も一緒と言われたが、歩く速度によって一週間は見ておいた方がいいこと。
「祖父母と話してからでいいですか?」
「構わんよ。明日はいいからよく考えてから来なさい」
そう言われて、片付けられるものだけ片付けて、今日は一旦帰ります。と、茅葺き屋根の家を出る。
帰宅して直ぐに祖父母に話すと、「いいんじゃないか?」と簡単に言ってくれる。
「でも……」
「大天狗様と八咫烏様をお送りするとも考えられるし、仕事と思ってまず行けばいい。その中で翔平がどう感じるのか、それはお前次第だしな」
そう言って、「確か純平の……」と言いながら、リュックなどを漁る祖父。
「靴は買わないとねぇ。明日2人のを買ってきなさい」と祖母にも言われ、つくづく逃げられない!と思ったのは迦具土も同じようだったようだ。
呑気に座ってんじゃねぇ!!!
「そろそろ迦具土も来る頃合いかの?」
「多分。晩御飯用のお重取りに戻ってます」
「ならば、とっとと呼ぶとしよう」
パン__
手を鳴らしたと思ったら、土間に迦具土。
しかもかなり怒っている。
「ジジイ、てめぇ、突然歩いてる俺が消えたら周りがビックリするだろーが!」
「誰もおらんかったじゃろう?」
「もしもだもしも!」
「にしても大荷物よのぅ。自転車というのにはのらなんだか?」
「無理だろ……」
渡された紙袋の中には、三段の重箱と二段の重箱。
それとは別に風呂敷包みがあったので、これはおにぎりか何か。
水筒は一番大きいものが多分味噌汁かなにかだろうと予測しながら開けていくと、二段の重箱は素麺。
薬味もラップで隅に置いてあるが、どう食えと言うんだ!
「えーと、紙コップに入れて食うのに三つ渡されて、このでかい方が氷入りの麦茶。これのコップはこの大きい方の紙コップらしい。あと、タオルを渡されたんだが」
「あ、水筒の下に敷くようだと思うよ。暑いから氷溶けると思うし。いつも念の為って敷いてるから」
「もう出すのか?」
「そうだね。その後におやつ出そうかな……大天狗さん寝ちゃったし、タイミングがなくて」
準備していると、八意さんが大天狗さんを起こし、「儂の分は?」としっかり聞いてくるので、「無いです!」と一言。
「今日はたのむのをわすれておったんじゃ」
紙皿を渡し、紙コップにつゆを入れて重箱の一段を渡すと、ヨダレが垂れそうな程に見ている八意さん。
「後で食べに行こう」と言ったのはしっかり聞いたからな!
「八咫烏さんはどうします?おにぎりとか?」
「何でも。余りたくさんはいいです」
お昼も少なかったしなぁと、玉子焼きにひと口ハンバーグ、おにぎりと置いていくと、とりあえずこの位でと言われたのだが、あまりにも少なすぎやしないか?
後でポテチを多めにあげようと思い、自分達もいただきますと箸をつける。
「あ、時雨だ」
おにぎりの具が時雨だったので、珍しいなぁと思いながら食べていると、大天狗さんは素麺を器用にすすり、冷たいお茶が気に入ったのか、特に氷を口に含んでは「暑さが吹き飛ぶ」と言って喜んでいる。
素麺のところに氷入れて置いてくれて助かったよ……
「あ、お酒どうします?」
「素麺の後で……」と黙々と食べる大天狗さん。
おかずは酒のあてにするのかな?と迦具土を見ると、白い瓢箪のようなものに入れたお酒を八咫烏にあげている。
お神酒のこと忘れてたよ……
結局、お酒とおつまみを八意さんと大天狗さん二人で食べて飲んでるので、ちょこっと八咫烏にも渡し、「食べて早く元気になってくださいね」と言う。
「翔平、実はな……」
「嫌です」
「まだ何も言うておらんではないか」
「嫌な予感しかないですけど。それに俺、受験生!丸一日机にかじりついてるはずの受験生!」
「分かっておる。じゃが、体に変調があるようじゃしの」
「知ってたんですか?」
「何となく。儂らの神気とは少し異なるようで、それをこの大天狗に見てもらいたかったのもあるんじゃ」
ちゃんと考えてくれてたんだ!
「でじゃ、この夏休みの終わりまで、大天狗と八咫烏と共に、橿原神宮まで熊野からついて行ってくれんか?」
「またそんな無茶を……」
「確かに、山越えは無理であろう。人の足でどのくらいかかることか……」
「熊野古道というのを知っておるか?」
「聞いたことありますけど……」
「大峯奥駈道 。玉置神社から奈良県の吉野、金峯山寺まで。とても厳しい山で、五日から六日はかかる。翔平、まずはその山を登ってみんか?」
「はい?」
「一般の登山道ではないし、安全な道でもない。熊野那智大社から、玉置神社までは大天狗と八咫烏とで行っておるんじゃ。目的地は橿原神宮。前に奈良に行ったところからはだいぶ離れておるが……その力のことやこれからの事、自分の中で何かわかるかもしれん」
ただの登山とは違うこと、登ることによって何かを得る得ないは自分自身だということ。
もちろん迦具土も一緒と言われたが、歩く速度によって一週間は見ておいた方がいいこと。
「祖父母と話してからでいいですか?」
「構わんよ。明日はいいからよく考えてから来なさい」
そう言われて、片付けられるものだけ片付けて、今日は一旦帰ります。と、茅葺き屋根の家を出る。
帰宅して直ぐに祖父母に話すと、「いいんじゃないか?」と簡単に言ってくれる。
「でも……」
「大天狗様と八咫烏様をお送りするとも考えられるし、仕事と思ってまず行けばいい。その中で翔平がどう感じるのか、それはお前次第だしな」
そう言って、「確か純平の……」と言いながら、リュックなどを漁る祖父。
「靴は買わないとねぇ。明日2人のを買ってきなさい」と祖母にも言われ、つくづく逃げられない!と思ったのは迦具土も同じようだったようだ。
0
あなたにおすすめの小説
死霊術士が暴れたり建国したりするお話
はくさい
ファンタジー
多くの日本人が色々な能力を与えられて異世界に送りこまれ、死霊術士の能力を与えられた主人公が、魔物と戦ったり、冒険者と戦ったり、貴族と戦ったり、聖女と戦ったり、ドラゴンと戦ったり、勇者と戦ったり、魔王と戦ったり、建国したりしながらファンタジー異世界を生き抜いていくお話です。
ライバルは錬金術師です。
ヒロイン登場は遅めです。
少しでも面白いと思ってくださった方は、いいねいただけると嬉しいです。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
【完結】あやかし団地 管理人見習い日誌
双月ねむる
キャラ文芸
就活全滅で「自分には社会性がない」と思い込む凛は、遠縁の親戚に紹介され、昭和レトロな巨大団地・さくらヶ丘第一団地の『管理人見習い』として住み込みで働くことに。しかしその団地には、中庭の「靴鳴らし」、エレベーター表示盤に棲む狐など、団地限定あやかし達が当たり前のように暮らしていた。
最初は逃げ腰の凛だったが、すねた空き部屋や、ベランダの風鈴が告げるSOSなど、人とあやかしのトラブルに巻き込まれながら、少しずつ『共同体』に関わる勇気を取り戻していく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる