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居候
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8畳の部屋に敷かれた絨毯の色は淡いピンク。
「こんな色でしたかねぇ?」
板の間に敷くのには何でもいいと、安いのを適当に買ったので、記憶があやふやだったが、タンスは前に気に入って買ったものの、囲炉裏に似合わないと使わずに閉まっていたものなので使えないことは無い。
押し入れ側にタンスとベットを置くとスッキリと収まり、出し入れも不便はなさそうだが、テーブルだけというのは味気無い。
客間の布団をベッドに敷き、カーテンがいると商店街へと買いに行く。
「あの、色って僕が決めてもいいですか?」
「構いませんよ?」
「僕、本当はインテリア関係の仕事がしたくて……親はちゃんと大きな会社に入るために勉強しなさいって言うけど……」
「好きなんですか?」
「部屋作りも、家具などを見るのも好きです」
「なら、インテリアなどの関係の大手に行けばいい。そのために今頑張ればいいんじゃないですか?」
「親は……許してくれるでしょうか?」
「結果を出すのは雪翔ですよ?ここのお店でいつも買うんですけど、好きなの選んでください」
セールと書かれたワゴンで幾つか濃い色のカーテンを選んでいる。
「サイズってこれで合ってますか?」
書いてあるのを見て大丈夫だと言うが、ピンクの絨毯に何色を合わせるのだろうと思いながらも、書かれている値段にビックリする。
「これ、二枚入ってますよね?」
「はい。生地も遮光になってるのに、980円の税込は安いと思って」
「ですよね?傷物でしょうか?」
「在庫処分て書いてありますけど……あ、これいいかも」
雪翔がワゴンから出したカーテンの色は白から濃いピンクへのグラデーションカーテンだった。少し花の刺繍がしてあるだけなので、落ち着いた感じになるだろう。
「あの、カーテン安かったから、この500円のラグも買ってもいいですか?」
「構いませんけど、どこに置くんです?」
「テーブルの下です」
買い物を終えて、下宿に帰る時に100円ショップに立ち寄り、ジャラジャラとしたビーズが沢山ついたものを雪翔が買って、それを持って音々の部屋へと入る。
カーテンを取り付け、白い小さなテーブルの下にアイボリーの楕円形のラグを敷いたら、部屋らしくなり、ドアとキッチンの間に100円ショップで買った突っ張り棒につけられたビーズの暖簾が掛けられる。
「わぁ、可愛い……」
「スッキリとした部屋になりましたね」
「音々さんこれで良かったですか?」
「はい、ありがとうございます。でも私お金は社に置いてきてあって」
「僕はいいです。気に入ってもらえたなら」
「そういう事です。今夜からここを使ってください。で、お家賃なんですけどねぇ」
「私働いてないんですけど」
「なので、下宿を手伝ってもらいます。壊滅的にできない料理はしなくていいですから」
「酷い」
「食材がもったいないです。後で日用品を渡しますので取りに来てくださいね」
「……はい」
「さて、今宵の夕餉は何にしましょうかねぇ」
「こんな色でしたかねぇ?」
板の間に敷くのには何でもいいと、安いのを適当に買ったので、記憶があやふやだったが、タンスは前に気に入って買ったものの、囲炉裏に似合わないと使わずに閉まっていたものなので使えないことは無い。
押し入れ側にタンスとベットを置くとスッキリと収まり、出し入れも不便はなさそうだが、テーブルだけというのは味気無い。
客間の布団をベッドに敷き、カーテンがいると商店街へと買いに行く。
「あの、色って僕が決めてもいいですか?」
「構いませんよ?」
「僕、本当はインテリア関係の仕事がしたくて……親はちゃんと大きな会社に入るために勉強しなさいって言うけど……」
「好きなんですか?」
「部屋作りも、家具などを見るのも好きです」
「なら、インテリアなどの関係の大手に行けばいい。そのために今頑張ればいいんじゃないですか?」
「親は……許してくれるでしょうか?」
「結果を出すのは雪翔ですよ?ここのお店でいつも買うんですけど、好きなの選んでください」
セールと書かれたワゴンで幾つか濃い色のカーテンを選んでいる。
「サイズってこれで合ってますか?」
書いてあるのを見て大丈夫だと言うが、ピンクの絨毯に何色を合わせるのだろうと思いながらも、書かれている値段にビックリする。
「これ、二枚入ってますよね?」
「はい。生地も遮光になってるのに、980円の税込は安いと思って」
「ですよね?傷物でしょうか?」
「在庫処分て書いてありますけど……あ、これいいかも」
雪翔がワゴンから出したカーテンの色は白から濃いピンクへのグラデーションカーテンだった。少し花の刺繍がしてあるだけなので、落ち着いた感じになるだろう。
「あの、カーテン安かったから、この500円のラグも買ってもいいですか?」
「構いませんけど、どこに置くんです?」
「テーブルの下です」
買い物を終えて、下宿に帰る時に100円ショップに立ち寄り、ジャラジャラとしたビーズが沢山ついたものを雪翔が買って、それを持って音々の部屋へと入る。
カーテンを取り付け、白い小さなテーブルの下にアイボリーの楕円形のラグを敷いたら、部屋らしくなり、ドアとキッチンの間に100円ショップで買った突っ張り棒につけられたビーズの暖簾が掛けられる。
「わぁ、可愛い……」
「スッキリとした部屋になりましたね」
「音々さんこれで良かったですか?」
「はい、ありがとうございます。でも私お金は社に置いてきてあって」
「僕はいいです。気に入ってもらえたなら」
「そういう事です。今夜からここを使ってください。で、お家賃なんですけどねぇ」
「私働いてないんですけど」
「なので、下宿を手伝ってもらいます。壊滅的にできない料理はしなくていいですから」
「酷い」
「食材がもったいないです。後で日用品を渡しますので取りに来てくださいね」
「……はい」
「さて、今宵の夕餉は何にしましょうかねぇ」
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