下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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「冬弥、社の狐を助けるのはいいが、そいつも処分すればいいだけの事。面倒事を増やすな」

「それだけだと思います?連れていけばわかりますよ?」

説明ぐらいしろと言われたが、面倒なのでみんなに付いてきてもらい、結界の外から中に放り投げる。

ザワザワと野孤と悪孤が狐によっていき何かを話しているが、わざわざ聞きに行かなくとも見ていればわかるだろう。

「なんだ?社と違う方に連れていかれるけど」

「それも見ます?秋虎には刺激が強すぎると思いますけど?」

「成程……そういう事か」

「二人だけ分かって狡いじゃないか!」

「手出ししないのであれば見せますけど」

「しないよ!あいつも敵って事でいいんだろ?」

「微妙ですけど。敵側ではありますねぇ。朱狐、見せてあげてください」

出てきた朱狐が、両面鏡を取り出し皆に見えるように連れていかれた方を映し出す。

「声もいります?」

「何話してるのかは聞きたいけど」

「では、そのようにしてください」

朱狐が鏡をなぞると声が聞こえて来る。

「東のはたぶらかせたか?」

「まだ……」

「頭を使えよ。俺達が教えてやっただろう?」

「もうこれ以上は……」

服を脱がされ男達の慰みものにされる女狐に秋彪が動こうとするのを止める。

「いくら野良でも、こんな扱いひどいじゃないかよ!精進すれば……」

よく見てみろと顔のあたりを指さすと、恍惚の下表情で野孤達の相手をしている音々の姿があった。

「人……いえ、狐と言っても様々ですからねぇ。長く生きてどこかの社は飛んだんでしょう。3本ありますし。ですが人間社会の中と変わらず、狐の世界にも廓はあります。そこの者でしょう。体は正直ですからねぇ」

「下らぬ」

「ええ、本当に。ですが、狐の世界から抜け出したかったことだけは事実かも知れません。が、1度廓の世界に行くと、召し上げた人の言いなりですから奴隷と変わらないと聞きますし。その内飼い主が出てくるでしょうねぇ」

「冬の神社に?」

「欲しいみたいですから」

「それで?こんなものを見るために来たのではない。そろそろ本題に入って欲しいんだが?」


「今手薄です。なのでチャンスではありますが、野孤達が満足すればするほど、気も抜かれます。一気に叩くならその時が一番楽です。あと何時間楽しむのかはわかりませんが。
かわいそうと思い助けるのであれば今から雑魚狩り。一気に社まで行き、中の狐を助け社を取り戻す。そうすれば嫌でも野孤達が出てくるので、そいつらを片付ければ、自然に野良も開放されるでしょう」

「助けたとして、誰が面倒みるの?」

「私は嫌です」

「同じく」

「俺も無理だよ」

「ならば、放っておくしかないですね。下宿のものの記憶くらいは消せますし」

「着いてきそうだけど?」

「秋彪、そのような時には無になるんです」

「無?」

「何も考えず心を無に……」

「お前に出来るのか?人間を養ってるお前には無理だと思うが?」

「那智?私にも好みがあるんです。優しいことひとつ言っただけでボロをたすような馬鹿な狐に興味は全くありませんし、女に困ってもいません」

「お、おい。もう6匹目だぞ?相手するの……」

「お楽しみ中悪いんですけどねぇ。どちらにします?それにあと何匹相手するのかよく数えてみてください。1度に3匹から五匹同時に相手してるんですよ?嫌ならしませんよね?無理にだったら泣いてますよね?楽しんでますよね?そのくらい分かりますよね?秋彪君!」
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