下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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言い訳がましい書き置きとお金を置いて、すぐ様姿を消して那智の元へと急ぐ。

1匹秋彪を呼びに行かせ、水狐達に音々を運ばせる。

「なんだ?真昼間から。集合は夜だろう?」

「那智、秋彪も来ます。面倒なので今からコレの社に向かいますが、我等はまず見ていましょう」

那智の眉がピクリと上がり、どういう事だと無言で聞かれる。

「ちょっと、寝てたんだけど俺は!」

秋彪がやってきて同じことを言うと、音々が助けてとばかりに秋彪を見る。

「あー、冬弥さん怒らしちゃったんだ」

「冬弥が嫁に貰えば済むことなのに。面倒ごとは勘弁してくれよ?」

「ふざけてないでくれます?当初我らが野孤と悪孤を狩って終わりだったでしょう?おかしいと思いません?」

「今頃か?」

「なになに?」

「気づいていましたよ?事情を聞いた時に。ですが、雪翔の前では言えませんからねぇ。お昼時に申し訳ありませんが来てしまいましたよ」

「意味わからないんだけど?説明してよね」

「まず、あの社の狐は生きてます。そうでしょう?あなたから話しますか?」

大きく見開かれた目からは涙が流れているが知ったことではない。

「あなたは珠を持って逃げてきたと言いましたが、持ってませんよねぇ?その時点でおかしいんです。あなたから珠の匂いがしないので。こちらでの調べだと、あの社に出入りするのは雑魚共のみ。それがいついているから助けを求めに来たという話でしたが、うちの狐が社の中から珠の気配がすると言ってました。私はことある事に影にあなたを治療をさせた……なぜだか分かります?」

「私はおどされて怖くて……」

「影を馬鹿にしすぎでしたねぇ。うち狐は優秀なんですよ。体内にも珠は無い。野狐共に何が言われたのかあなたが何かしたのかでしょうが、お遊びに付き合ってる暇はないんです」

「あの社の中には捕えられた女狐がそのまま珠をもって中に居るってことでいいの?」

「そうです」

「その人助けたら終わり?」

「ええ、助けるのはこの馬鹿狐ですがねぇ」とみんなの中心に放り投げる。

「冬弥が遊んでたのがいけなかったんだろ?」

「様子見に時間が欲しかったんです。が、何の役にも立ちませんでした」

「じゃあ、この狐何なの?」

「野良ですね」

「私、野良なんかじゃ!野良呼ばわりなんて酷い」

「泣いても無駄ですよ?ここには私よりも性格の悪い那智が居ますし、秋彪はあなたのような女に興味はありませんしねぇ」

「冬弥、本当のことを言うな。一番興味が無いのはお前だろうが?」

「そうでもありませんよ?暇潰しにはなりましたし、これから社に行って計画は失敗だったとでも報告してきてください」

「え?じゃあ元から敵だったってこと?」

「当たり前じゃないですか。何を信じることがあったんです?」

「マジかよ!ならいいや。冬弥さんも人間の前だからしたんだろうし。コレ放り込んできたらいいんだよね?」

「辞めてください。殺されてしまいます。それに私は野良ではありません。本当に冬弥様を頼ってきたのです」

「何処からですか?爺様の社からですよね?」

「なんで……」

「聞いたことがあるんですよ。野良を拾ったが、あまりにも言葉巧みで社を取られるところだったので追い出した……あなたですよねぇ?」
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