天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界

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その後町に戻り、ソリや、服にブーツも買う。

「ニコル様、帽子はどうされますか?」

「人数分下さい。気候がおかしいようなので、耳当て付きのものを。後、犬用の背にかける物も二つ。ボタンがついているものがいいです。手袋も人数分お願いします」

「用意してもらってる間、こちらで休んでいるようにと」

「知り合い?」

「ルーカス様がこちらに来る際は彼女の家にお泊まりになるので、顔見知りに……」

「そ、そうなんだ。他にもいるの?」

「はい。この町ではこの方だけですが」

「ほかの町にもいるんだ……」

お待たせしましたと荷物の用意ができたと言いに来たので、みんなで荷馬車まで運ぶ。

「あの、ルーカス様は……」

「今は忙しいので、落ち着いたらこられるかと。城に上がられたらよろしいのに」

「私はこの仕事が好きなので……」

「では、ルーカス様に伝えておきます。ありがとうございました」

「あと何買う?あ、お金大丈夫?」

「大丈夫です。この間ニコルさんと勝負した時に売ったお金がありますし、ルーカス様のつけで買うことも出来たので。ありがとうございますニコルさん」

「いや、今回ばかりはルーカス様の顔の広さに感謝ですね。次につく町も居ますよ?」

「各地にいるの?」

「はい。次の町は少し大きいですし、確か3人程確認はできてます」

「確認て……」

「誰かが子を産んだら、先ずは王宮に召し上げないと行けなくなりますからね……全く節操の無い……」

「ですが、奏太様も王族。気に入った女性がいれば何人でも……」

「俺はいいよ……ルーカスさんの担当でいいんじゃない?」

「まぁ、ルーカス様の真似はやめておいた方がいいかもしれませんね。まだお子がいないだけでも奇跡です」

荷物を荷車に置き、見張りの代わりに王家の旗を立てる。その横にも緑色の小さめの旗も立てているので、何かと聞くとニコルの家系の旗だと言う。

「ここってスーパー?」

「似てはいますが市場です。魔界は獣が多いので、建物の中で天幕を張り商人が行き来してものを売るのが通常です」

中に入ると、建物の中にいるとは思えないくらい広く、沢山のお店が並んでいる。
幻界の市場には似ているが、金額は固定されていないというので、ニコルについて行くしかない。

「食材は姫様からも頂けますが、買っておくに越したことはありません。もし通信が切れたら貰えませんから」

「そっか。何買うの?」

「荷車の補助用品と食材を。ありがたい事に、調味料はかなりありますので、肉が中心ですが」

「狩りをしないのですか?」

「風の地では魔物は出ますが、食べられる肉が少ないんです。どちらかと言うと材料が多いですね」
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