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風の地
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1時間ほど仮眠し、ブランに小さくなってもらってノアの部屋の戸を叩くが、まだ帰ってきて無いようだったので、1階のホールに行く。
テーブルや椅子、ソファが置いてあり、入り口近くのソファに腰を下ろしていると、係の人がどうぞと暖かいお茶を持って来てくれた。
今までの宿ではなかったので少し驚いたが、ありがとうとお礼を言い、食事はどこでするのかと聞くと、広間があるのでそこで朝と夕方食事をすると言われたので、これが赤なら部屋まで運んでくれるのだろうか?等と考えてしまった。
中々二人が帰ってこないので仕方ないと宿を出て、近くを歩く。
記憶と言っても、今見ている街並みでは全然思い出せそうにもない。
なんとなく覚えているのが、風と氷だが、今いるところに氷さえないから、張り巡らされたこの街の道のどこかだろうと思い、街の中心にあった噴水のある所まで足を運ぶ。
噴水の縁に腰掛け、通っていく人々を見る。
大半が宿などがあるので旅人なのは分かるが、その中に何人も綺麗な女性が紛れている。
籠を持った買い物中の女性達に紛れて、かなり身なりも際どく、男性を狙っているのがわかる。かと言って被害が無いので何も出来ない。
「あなた、旅の人?1人なの?」
「いえ、散歩に出ただけなので……」
パンや野菜などを入れた籠を持った女性に話しかけられるが、悪意が無い事がわかる。単に心配してくれてるんだろう。
「この時間から夜は出歩かない方がいいわよ。宿はどこ?」
あっち……と指を差すと、あの宿なら大丈夫だわ。そう言って早くと促される。
宿に入りただいまと言うと、二人が帰ってきて心配したと言われてしまった。
「そこの噴水にいただけだよ?」
「この時間だからなんです!」
「ごめん……」
無事でよかったと言われ、広間に食事に向かった。
夕飯を食べ、ソファでコーヒーを飲みながら明日からの行き先について聞く。
「買い物は終わりました。もしこの街を見て回りたいのであれば明日1日で回れますけど……」
「うん、そしたらもう一泊になっちゃうし」
「ここと反対の宿に泊まれば又違う景色も見れますし、街を回ってから出ると結局野宿ですから」
「奏太様、回られたらいかがですか?記憶が戻る、戻らないは別として……」
「わかった!なら、明日は観光と思って一日過ごすことにするよ」
「では、行きましょうか」
「どこに?もう真っ暗だよ?」
「楽しいところです」
ニコルに言われ、宿を出てしばらく歩くと、一軒の酒場についた。
看板は赤の金縁一つ。
「俺、お酒なんて飲めないよ?」
「大丈夫です。少しショーがあるのでお見せしたいと思いまして」
そう言ってニコルが先に入り、ノアと後をついていく。
通されたのは二階の個室。ステージの正面だ。
赤い幕が開かれ、怪しげな音楽とともにたくさんの女性が綺麗な衣装を着て踊っている。
「ダンスショー?」
「そうです。真ん中の女性だけドレスの色が違うのがわかりますか?」
「うん、他の人よりも豪華だし、すっごく綺麗な人だね」
「あの方はこの街と言うより、風・氷の地一の美女と言われています。いくつかの街を回っていて、なかなか見れないので……」
「へぇ……」
「あの方がルーカス様の一番のお気に入りの方です」
「「え?」」
と、ノアと顔を見合わす。
テーブルや椅子、ソファが置いてあり、入り口近くのソファに腰を下ろしていると、係の人がどうぞと暖かいお茶を持って来てくれた。
今までの宿ではなかったので少し驚いたが、ありがとうとお礼を言い、食事はどこでするのかと聞くと、広間があるのでそこで朝と夕方食事をすると言われたので、これが赤なら部屋まで運んでくれるのだろうか?等と考えてしまった。
中々二人が帰ってこないので仕方ないと宿を出て、近くを歩く。
記憶と言っても、今見ている街並みでは全然思い出せそうにもない。
なんとなく覚えているのが、風と氷だが、今いるところに氷さえないから、張り巡らされたこの街の道のどこかだろうと思い、街の中心にあった噴水のある所まで足を運ぶ。
噴水の縁に腰掛け、通っていく人々を見る。
大半が宿などがあるので旅人なのは分かるが、その中に何人も綺麗な女性が紛れている。
籠を持った買い物中の女性達に紛れて、かなり身なりも際どく、男性を狙っているのがわかる。かと言って被害が無いので何も出来ない。
「あなた、旅の人?1人なの?」
「いえ、散歩に出ただけなので……」
パンや野菜などを入れた籠を持った女性に話しかけられるが、悪意が無い事がわかる。単に心配してくれてるんだろう。
「この時間から夜は出歩かない方がいいわよ。宿はどこ?」
あっち……と指を差すと、あの宿なら大丈夫だわ。そう言って早くと促される。
宿に入りただいまと言うと、二人が帰ってきて心配したと言われてしまった。
「そこの噴水にいただけだよ?」
「この時間だからなんです!」
「ごめん……」
無事でよかったと言われ、広間に食事に向かった。
夕飯を食べ、ソファでコーヒーを飲みながら明日からの行き先について聞く。
「買い物は終わりました。もしこの街を見て回りたいのであれば明日1日で回れますけど……」
「うん、そしたらもう一泊になっちゃうし」
「ここと反対の宿に泊まれば又違う景色も見れますし、街を回ってから出ると結局野宿ですから」
「奏太様、回られたらいかがですか?記憶が戻る、戻らないは別として……」
「わかった!なら、明日は観光と思って一日過ごすことにするよ」
「では、行きましょうか」
「どこに?もう真っ暗だよ?」
「楽しいところです」
ニコルに言われ、宿を出てしばらく歩くと、一軒の酒場についた。
看板は赤の金縁一つ。
「俺、お酒なんて飲めないよ?」
「大丈夫です。少しショーがあるのでお見せしたいと思いまして」
そう言ってニコルが先に入り、ノアと後をついていく。
通されたのは二階の個室。ステージの正面だ。
赤い幕が開かれ、怪しげな音楽とともにたくさんの女性が綺麗な衣装を着て踊っている。
「ダンスショー?」
「そうです。真ん中の女性だけドレスの色が違うのがわかりますか?」
「うん、他の人よりも豪華だし、すっごく綺麗な人だね」
「あの方はこの街と言うより、風・氷の地一の美女と言われています。いくつかの街を回っていて、なかなか見れないので……」
「へぇ……」
「あの方がルーカス様の一番のお気に入りの方です」
「「え?」」
と、ノアと顔を見合わす。
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