天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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風の地

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軽い摘みとコーヒーをもらって飲みながら、ショーを楽しみ、終わってすぐに楽屋に案内される。

「入っていいの?」

「ルーカス様について何度か会っていますので、大丈夫です」

ノックをして中に入ると、たくさんの衣装と花が周りに置かれ、それだけで有名なんだとわかる。

「あら、ニコルじゃない。ルーカスは?」

「今は城から出れないのは知っているでしょう?」

「ふふ、そうね。人間界ばかり行くから、あっちにいい人でもできて、私の事は忘れたかと思ってたわ」

「そんなことは無いですよ。忙しいだけですから。城に行かれたらいいのに……」

「行ったら帰してくれないじゃない。正妃になるつもりも無いし」

「伝言です。『落ち着いたら会いに行く』だそうです」

「そう。じゃあ、余り遅いと浮気するって伝えてちょうだい。で?その2人は?」

「こちらが、幻界の姫の弟君、お付のノアさんです」

「初めまして……奏太です」

挨拶をするも、握手をしていいのかわからなかったので、名前を名乗るだけにしたが、ふぅーんと頭の先から爪先までジロジロ見られる。

「で?もしかしてだけど?」

「明日、氷の地に行きますよね?」

「ええ。あちらの街でもショーの予約があるから」

「護衛……要りませんか?」

「紛れて進むつもり?」

「行き先が同じだけです」

「城までは行かないわよ?私達は氷の地での公演が終わったら、反対周りで熱帯に入るわ」

「熱帯?」

そうニコルに聞くと、女性が地図を見せてくれた。

「私の名前はアグナよ。今いる風の地を抜けるとすぐに氷の地。2つ町を抜けたら大きな街があるわ。そこからあなた達は城にまっすぐ行きたいんでしょうけど、私達は熱帯の地と呼ばれる所に行くの」

四つにわかれた地図を見ると最初に魔界に出た地の上だとわかる。

「最初にいたのはここ。マグマの川があったと思います。彼女が行くのは氷の地とマグマの地の間なのでそれほど危なくない所です」

「うん、地図でわかった。中心が将軍のいる所で、暑いんでしょ?」

「そうです。我々はそこに入るつもりはありません……しかし、一番安全なのは商隊か、巡業者の護衛などで目立たずに行く方が得策です。ここに入る時の盗賊などもいますので」

「それは構わないのですが、城付近が一番危険なことに変わりはありません」

「分かってます。氷の街で別れた後は物資を積んで補給との名目で城から護衛を付けさせれますので、最短距離を一気に駆け抜けます」

「あなた、相変わらずね」

「アグナさんこそ、この時期に巡業とは……」

「いいわ。私専属にしてあげる」

「良いんですか?」

「その代わり、ちゃんと仕事はしてもらうわよ?弟とか私には関係ないから!」

「が……頑張ります!」
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