ゴミ拾いで3体の夫ができた人間

那原涼

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救出2

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ライネス達は廊下を進み、ところどころに倒れる違法改造痕跡のある人々を避けていると、出口にさしかかるところで誰かが行く手を阻めた。

ライネスが足を止め、その人物と見つめ合ったあと、ふと首を傾げて笑った。

「見た目は綺麗だな」

抱きかかえられているアロンがギョッと目を剥いた。

出口を塞ぐ人物とライネスの顔を何度か見比べる。

「お前目大丈夫か?あれのどこが綺麗だよ?」

「見た目は、と言っただろ」

アロンも見た目の話しかしていない。だがどうやらライネスとアロンのあいだで「綺麗」が指す対象が違っているようだった。

「何も改造の跡が見えない外見は綺麗だろ」

「はあ……綺麗って言うのか?それは」

「中身はずいぶんと鉄臭いがな」

アロンはジト目で行く手を阻む男を見ていたが、その人が自分を誘拐した銃の男と一緒にいた人だと気づき、即座に降りて殴りかかろうとした。

ライネスが手に力を入れて間一髪でその愚行を阻止する。

「おとなしくしろバカ」

「あいつさえいなければ俺は今頃ここにいないんだよ!」

「狙われたらいずれ誘拐されている。暴れるな」

アロンは歯を噛み締めながら耐えた。いかんせん今は手も足も縛られている状態のままである。さすがに本当に殴りかかろうとすれば負けるのは自分だ。だから思い切りにらみを効かしたが、男は陰鬱な顔でライネスしか見ていなかった。

「お前はアンドロイドだろ。なぜこのガキどもを助ける」

「答えると思うか?」

「その体……一般的な戦闘型アンドロイドじゃないな」

ライネスはひょいと眉を上げて自分の体を見たが、すぐに肩をすくめて笑った。

「戦闘型のアンドロイドなんてどれも似たような体だろ。機械外殻は戦闘型に多いしな」

「………軍用アンドロイドだな、お前」

「正解だ、人間」

男の表情がさらに陰鬱なものになった。

「ボスはちょうど最近軍用アンドロイドの体を欲しがっている。お前ならちょうどいいな」

「他人の体を付け狙う不届き者か。俺の体はお前達じゃ手に負えねぇよ」

アロンとアロイスを抱いたままだと守れないと判断したライネスは、2人を降ろして縄をほどくと後ろに下がるよう言った。

「いいか、俺がいいと言うまで警戒は解くなよ」

「わかっている!さっさと戦ってこい!」

ライネスは仕方なさそうに首を揺らした。そして、ん、と自分の頬を指さしてアロンに近づく。

「んだよそれ」

「キスしてくれたら頑張ってやるよ」

「誰かするかよ!」

「そうか……じゃあ勝利のご褒美に取っておくか」

ライネスはそう茶かすと男に向き直った。手を肩にそえてゴキッと鳴らす。

「来い」

「……アンドロイドなんて所詮人間の真似事しかできない。ああ……なんてイライラする存在だ」

「そのアンドロイドの真似事をして体を改造するお前達はなんだ?おままごとか?」

「黙れッ!!」

男はそう叫ぶとダッと走り出した。

1秒前までまだ人間の姿をしていた男は次の瞬間、その姿が倒れている人々よりも恐ろしくなった。

ズボンを突き破った両脚は四つに分かれ、何もないはずの腕から突如刃物が突き出した。何よりも目が真っ赤に充血している。

人間が出せるとは思えない速度と跳躍力で男は攻撃を仕掛けた。

その攻撃を受け流しながらライネスの表情が少し変わる。

建物の至る所を足場に飛び回っていた男の片足をつかみ、ライネスは思い切り投げ出した。

投げ出された男が壁に衝突し、壁そのものがガラゴロと破片を撒き散らしていく。

「お前、その体に使っている素材は民間人が手に入るものじゃないだろ。どこで手に入れた」

「アンドロイドに教えてやることは何もない!」

「なら口を裂くまでいたぶってやろうか人間!」

2人とも戦い始めると周りが見えないタイプなのか、被害がアロン達のところまで及んだ。

「おい!こっちに石が飛んでくるのどうにかしろよ!」

「そこに盾がたくさんあるだろ!」

アロイスはその言葉にピンとこなかったのか、周りを見て盾になれるような頑丈なものがないと見るや焦り出した。

「ど、どこにあるんだ!」

だがアロンはすぐに理解した。焦るアロイスを自分の方に引き込んで、すぐそばで倒れている、体が半分も鉄に覆われた男を引っ張り起こして2人はその陰に隠れた。

「これでいいのか!?」

「何贅沢言ってんだよ!これが一番いいだろ!」

「なんというか……お前はあの軍人のアンドロイドと似ているな。気が合うだろ?」

「なわけあるか!!恐ろしいこと言ってんじゃねぇ!!」

「いや、そこまで過激に反応しなくても……」

アロンはふんっと顔をそらした。

そして戦いのほうではライネスが終始優勢で進んでいた。

敵があちこちの壁に投げられ、脚を千切られ、体のどこかしらの機械パーツが飛んでいくのを見てアロンは、まさか本当にキスを要求されるんじゃないよな?と心配になった。

だが、戦いの合間にライネスは隙あらばとアロンに視線を送っていた。

心配事のタイミングと合いすぎて、まるで、約束は覚えているんだろうな?と言っているように見える。

「あいつ……ッ」

「アロン?」

「なんでもねぇよ」





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