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デート
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「なんでいるんだよ!」
エルヴィスは警戒しているアロンを確認してからニコッと笑った。
「クラックとイアンからきみがよく眠れていないと聞いて、少し心配だったんだ」
「あんなことしておいて俺がよく眠れるわけないだろ!出ていけ!」
「そう言わないでおくれ。本当に反省しているんだ。きみに気持ちよくなってもらおうとしたんだが、夢中になりすぎてつい……だけど今日こそもう一度挑戦させてほしい!」
「今日こそ!?させるわけないだろ!」
アロンは枕をつかんで投げるとそれがエルヴィスの顔面に直撃した。しかしなんの打撃力もないようで、その顔は困り顔のまままったく変わっていない。
「どうすれば許してくれるんだい?」
「許さねぇよ!」
「……………。おかしいな。機嫌をとっているはずなのに一向に許されない。どこが間違っているんだろうか。やはり態度が問題?」
神妙な顔でぶつぶつとつぶやき始めたのを見て、アロンはまるで嫌いな虫でも見るような目を向けた。
やがて答えが出たのか、エルヴィスはとびきり華やかな笑顔で言った。
「デートをしよう!」
そう言われて2、3秒固まってからアロンは「は?」と返した。
デートをしようと言われてから1週間後にアロンはイヤイヤ庭園へ連れ出された。
しかもエルヴィスならず、エルドや近頃顔を合わせていないライネスまでいた。
「お前たち何がしたいんだよ……」
「よく考えたんだが、きみが私達を拒否するのはきっとまだ理解が足りないからなんだ!エルドが言うには夫婦でもデートはするらしい!だから私達で楽しい思い出を作ろう!」
「原因絶対それだけじゃないよな!?お前本当はわかってて知らない振りしているだろ!?あと……デートって恋人同士がするもんだろ。俺とお前達のあいだにそんな親密な感情はないと思うけど……」
「そんなことを言わないでくれ!」
エルヴィスはバッとアロンの両手を握った。
それにびっくりしてアロンはとっさに手を引っ込めようとしたが、強すぎる力につかまれたまま引っ込めなかった。
「これから作ればいいし、何かあれば私達を頼ってほしい!必ずアロンの助けになるから!」
真摯な声と表情なのに、アロンの頭の中には襲われたことしかちらつかない。
「言ってろ!そろそろ手離さないとテメェの目つぶすぞ!!」
アロンがギロッとにらむとエルヴィスはしょんぼりした様子で手を離した。そして思い出したようにエルドのところへ行き、預けた編みかごを持ってきた。
「おやつと昼食を作ったから、お腹が空いたら言ってね」
「わかったわかった……たくっ、庭園なんかいつも来てるし、もう何も見るもんねぇよ」
不満げにつぶやくものの、楽しそうに歩き出すエルヴィスについていきながらアロンは見慣れた庭園を散策した。
エルヴィスはよくあちこちを紹介し、アロンじゃ知り得ない情報を教えた。
例えばいつもよく行く噴水はかつては溜め池であり、魚もいたのだが、人間の料理にハマったエルヴィスが料理に使い始めてから撤去したらしい。
エルヴィスはそれを嘆いていたが、本当に原因は自分だとわかっているのだろうか。
アロンは庭園の紹介を聞きながらエルドをのぞき見た。
エルドはいつも静かだがなぜか今日はライネスまで静かである。
ライネスはどこか重苦しい顔で腕を組んでいる。イタズラのような、人の悪いような顔を見慣れているせいか、その重苦しい雰囲気に少し慣れなかった。
アロンは特に気になることもなく、エルヴィスの説明を聞きながらいったい何をするつもりなのかを考えた。
そもそもデートならば基本は外を出歩くものじゃないのか?と疑問に思った。せめて母からはそう教えられている。
いつか好きな人ができた際、どうこうすればいいなどと、おそらくこれから先使わないであろう知識を教え込まれていた。アロンはまさか一気に3体ものアンドロイドと結婚するとは夢にも思わなかった。
それどころか、風雨の心配もなく、餓死する危険もなく、ぬくぬくと温かいベッドで寝れる。
正直以前と比べれば良すぎる。それはアロンもよくわかっている。だから我慢すべきことはなんなのかもわかっている。
しかし、ちょっぴりと母と生活していたゴミ溜め場を懐かしく思ってしまった。
アロンの後ろを車椅子で追いながらエルドはその動きを観察していた。
昨晩のことでエルヴィスに対してもう少し拒絶反応があるかと思われていたが、思いの外激しい反応はなかった。
もちろん態度はその通りだが、それにしてもアロンの性格的にもっと激しく怒ってもおかしくはない。
昨晩のことでトラウマになっていないかも気がかりである。
エルドはアロンが先ほどから両手をさすっていることに気づいていた。
おそらく気にしていないや平気だったわけではなく、単純に我慢しているのかもしれない。
両手をさする行動もエルヴィスに両手を握られたあとからである。
「………」
思うほど楽観的な状況じゃない。
エルヴィスは警戒しているアロンを確認してからニコッと笑った。
「クラックとイアンからきみがよく眠れていないと聞いて、少し心配だったんだ」
「あんなことしておいて俺がよく眠れるわけないだろ!出ていけ!」
「そう言わないでおくれ。本当に反省しているんだ。きみに気持ちよくなってもらおうとしたんだが、夢中になりすぎてつい……だけど今日こそもう一度挑戦させてほしい!」
「今日こそ!?させるわけないだろ!」
アロンは枕をつかんで投げるとそれがエルヴィスの顔面に直撃した。しかしなんの打撃力もないようで、その顔は困り顔のまままったく変わっていない。
「どうすれば許してくれるんだい?」
「許さねぇよ!」
「……………。おかしいな。機嫌をとっているはずなのに一向に許されない。どこが間違っているんだろうか。やはり態度が問題?」
神妙な顔でぶつぶつとつぶやき始めたのを見て、アロンはまるで嫌いな虫でも見るような目を向けた。
やがて答えが出たのか、エルヴィスはとびきり華やかな笑顔で言った。
「デートをしよう!」
そう言われて2、3秒固まってからアロンは「は?」と返した。
デートをしようと言われてから1週間後にアロンはイヤイヤ庭園へ連れ出された。
しかもエルヴィスならず、エルドや近頃顔を合わせていないライネスまでいた。
「お前たち何がしたいんだよ……」
「よく考えたんだが、きみが私達を拒否するのはきっとまだ理解が足りないからなんだ!エルドが言うには夫婦でもデートはするらしい!だから私達で楽しい思い出を作ろう!」
「原因絶対それだけじゃないよな!?お前本当はわかってて知らない振りしているだろ!?あと……デートって恋人同士がするもんだろ。俺とお前達のあいだにそんな親密な感情はないと思うけど……」
「そんなことを言わないでくれ!」
エルヴィスはバッとアロンの両手を握った。
それにびっくりしてアロンはとっさに手を引っ込めようとしたが、強すぎる力につかまれたまま引っ込めなかった。
「これから作ればいいし、何かあれば私達を頼ってほしい!必ずアロンの助けになるから!」
真摯な声と表情なのに、アロンの頭の中には襲われたことしかちらつかない。
「言ってろ!そろそろ手離さないとテメェの目つぶすぞ!!」
アロンがギロッとにらむとエルヴィスはしょんぼりした様子で手を離した。そして思い出したようにエルドのところへ行き、預けた編みかごを持ってきた。
「おやつと昼食を作ったから、お腹が空いたら言ってね」
「わかったわかった……たくっ、庭園なんかいつも来てるし、もう何も見るもんねぇよ」
不満げにつぶやくものの、楽しそうに歩き出すエルヴィスについていきながらアロンは見慣れた庭園を散策した。
エルヴィスはよくあちこちを紹介し、アロンじゃ知り得ない情報を教えた。
例えばいつもよく行く噴水はかつては溜め池であり、魚もいたのだが、人間の料理にハマったエルヴィスが料理に使い始めてから撤去したらしい。
エルヴィスはそれを嘆いていたが、本当に原因は自分だとわかっているのだろうか。
アロンは庭園の紹介を聞きながらエルドをのぞき見た。
エルドはいつも静かだがなぜか今日はライネスまで静かである。
ライネスはどこか重苦しい顔で腕を組んでいる。イタズラのような、人の悪いような顔を見慣れているせいか、その重苦しい雰囲気に少し慣れなかった。
アロンは特に気になることもなく、エルヴィスの説明を聞きながらいったい何をするつもりなのかを考えた。
そもそもデートならば基本は外を出歩くものじゃないのか?と疑問に思った。せめて母からはそう教えられている。
いつか好きな人ができた際、どうこうすればいいなどと、おそらくこれから先使わないであろう知識を教え込まれていた。アロンはまさか一気に3体ものアンドロイドと結婚するとは夢にも思わなかった。
それどころか、風雨の心配もなく、餓死する危険もなく、ぬくぬくと温かいベッドで寝れる。
正直以前と比べれば良すぎる。それはアロンもよくわかっている。だから我慢すべきことはなんなのかもわかっている。
しかし、ちょっぴりと母と生活していたゴミ溜め場を懐かしく思ってしまった。
アロンの後ろを車椅子で追いながらエルドはその動きを観察していた。
昨晩のことでエルヴィスに対してもう少し拒絶反応があるかと思われていたが、思いの外激しい反応はなかった。
もちろん態度はその通りだが、それにしてもアロンの性格的にもっと激しく怒ってもおかしくはない。
昨晩のことでトラウマになっていないかも気がかりである。
エルドはアロンが先ほどから両手をさすっていることに気づいていた。
おそらく気にしていないや平気だったわけではなく、単純に我慢しているのかもしれない。
両手をさする行動もエルヴィスに両手を握られたあとからである。
「………」
思うほど楽観的な状況じゃない。
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