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第1部『Worst reunion(最悪の再会)』
第3話『Black Knight(黒騎士)』 B Part
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月明かり皆無な夜空を風の精霊術で飛ぶ様に跳ねる女武術家ルシア。
エドナ村を襲来する黒の軍団首領格。マーダの背後に迫るも後一歩の処で及ばず、避ける動作を余儀なくされた。
「女ッ! 貴様中々やるではないか。可憐なる花をこの我直々捥ぐ前に名乗る権利を与えて進ぜよう」
マーダ、未だ抜刀せず馬上から見下す視線と手招きでルシアを煽る。
黒髪に黒い瞳。出会いの順にifは存在し得ない。だがこの島に渡らんとする青年の顔を見れば面影感じても不思議ではない面構え。
「貴方に覚えられた処で全然嬉しくないけど。ルシア……『ルシア・ロットレン』よ」
途端、この世の総てを卑下するマーダの顔色変わり往く。名乗り挙げた女武術家を眉顰め凝視、他には目もくれない。
「──ロットレン? 女ぁ……。貴様ロットレンと抜かしたな?」
「それが何だって言うの──よッ!」
ルシアに取ってこの男とお喋りをする余裕は無論、楽しむ未練も全く皆無。会話しながら黒い馬へ風の精霊を付与した足払いを入れつつ迫る。
マーダの騎乗する馬は大層屈強なれど所詮ただの馬。ルシアの鋭き足払いをまともに受け、憐れに嘶き脚折られ崩れ落ちるのみ。
マーダは馬上から砂地へ降り立つ。然し全く以って意に介さない。
そんな些細より目前の女が名乗ったロットレン姓へ過敏に反応。それこそ気張り過ぎな競争馬が如く苛立つ仕草を隠す気がない。
「我が暗黒神よ、その竜が如き爪を此処に示せ──『切り裂く爪』!」
女武術家と黒い剣士のやり取りを後ろで見聞きしてた女魔導士フォウ。敵の隙を見計らいすかさず詠唱。
折られた魔導の杖が赤く輝き、その光がルシアへ急速に伸びる。さながら赤き光の刃。
キンッ!
「何ィッ!?」
「はんっ! ヴァロウズの4番目が女子ば相手に不意打ちすっとか? ほんのこち呆るっど!」
腕組み鼻鳴らすガロウ。何時の間にやら黒の軍団最深部まで押し迫っていた。
フォウ、爆炎を止められた痛恨冷めやらぬ間に続く戦慄。
魔術で生成した刃を、髭面の剣士ガロウがただの刀で斬り伏せる並外れた行動。
──ただの刀が魔法と斬り結ぶ!? この男まさかっ!?
先程のルシアですら炎の精霊術を以って相殺したのだ。実体持たぬ光の刃をただのイカレが斬って捨てれる道理がない。男の刃、良く見つめてみれば滾る鉄の如き色を帯びていた。
「男ッ! 貴様さては扉を開いた異能者だな!」
「ア"ッ!? 何を言っちょっかまるで判らん?」
フォウの刃物より鋭き指摘の声。折られた杖でガロウを指す。
ガロウは刀の峰で己の肩を叩いて頭を捻る。何を言っているか判らないのは寧ろ髭面の方だと言える。
バシュッ! バシュッ!
マーダとフォウの足元へ暗闇の最中、何かが撃ち込まれ砂塵が舞う。あからさまな目潰し攻勢。Resistanceはルシアとガロウだけでない存在感を指し示す。
ブォンッ!
ルシアが瞬間、マーダの背後に気配のみを散らして左脇から電撃帯びた拳で迫る。全体重を載せた全力の拳でなく、左右の連打で攻める慎重なる動き。
ルシアの動きを予め知覚し切っていたかの如き、ガロウ最上段から電光石火な振り下ろし。未だ周囲を囲う炎の壁が刃に映る。フォウの存在、文字面通り斬って捨てた。
ガロウの放つ刀の切っ先。
ルシアが見舞う電撃の拳。
何れもマーダの首へ届くと、誰もが思う好機。
刀の切っ先が砂地に届き、砂埃舞い上がる。
ルシアの文字通りな電光石火の拳が宙を切る。
二人が描いた互いの軌跡。真っ直ぐ真横へ伸びた金色の煌めきと上方から地面へ叩き付けた赤い剣筋が美しき十字を成す。黒い帆布へ大いに映える。
──て、手応えがなかッ!?
──い、今のを躱すッ!?
そうなのだ──。
黒い帆布に描かれたのはあくまで二人の十字だけ。赤い絵の具飛び散る様子が全く以って見当たらない。何れも避けられた奇跡。
「──下らぬ、地上を這う虫共。我は現人神である。星の重力さえ枷にはならん」
ルシアとガロウの背後、それも斜め上から小馬鹿にした声が聴こえる俄かに信じ難い様。
何とマーダ、2人分程の宙で静止し顎まで裂けた嗤い浮かべる。
戦慄を通り越し純然たる驚きだけ感ずるルシアとガロウ。出来の悪い奇術の類を見せられた気分。
マーダが嘗ての敵から奪いし魔法。その名も『重力解放』正しく文字面通り、重力の枷から逃れ、宙で好きに振舞える術式。
スーッ。
遂にマーダ、大本命が鞘から巨大な両手剣を抜いた。されど王国を夜襲した際の赤い歪な大剣と異なる。
マーダ、冷笑しながら片手で両手剣を悠々握り、空いた手で己が刃をスッと撫でる。加えてガロウに対する当てつけが如く、蒼白く輝く刃を最上段で構える。
「虫共、地上から神の鉄槌を見上げ絶望に伏せるが良い。──『輝く真空の刃』!」
斬る相手が何処にも無い夜空で最上段からの振り下ろし。蒼白い大剣が瞬時に存在しない三日月を錬成した。
エドナ村を襲来する黒の軍団首領格。マーダの背後に迫るも後一歩の処で及ばず、避ける動作を余儀なくされた。
「女ッ! 貴様中々やるではないか。可憐なる花をこの我直々捥ぐ前に名乗る権利を与えて進ぜよう」
マーダ、未だ抜刀せず馬上から見下す視線と手招きでルシアを煽る。
黒髪に黒い瞳。出会いの順にifは存在し得ない。だがこの島に渡らんとする青年の顔を見れば面影感じても不思議ではない面構え。
「貴方に覚えられた処で全然嬉しくないけど。ルシア……『ルシア・ロットレン』よ」
途端、この世の総てを卑下するマーダの顔色変わり往く。名乗り挙げた女武術家を眉顰め凝視、他には目もくれない。
「──ロットレン? 女ぁ……。貴様ロットレンと抜かしたな?」
「それが何だって言うの──よッ!」
ルシアに取ってこの男とお喋りをする余裕は無論、楽しむ未練も全く皆無。会話しながら黒い馬へ風の精霊を付与した足払いを入れつつ迫る。
マーダの騎乗する馬は大層屈強なれど所詮ただの馬。ルシアの鋭き足払いをまともに受け、憐れに嘶き脚折られ崩れ落ちるのみ。
マーダは馬上から砂地へ降り立つ。然し全く以って意に介さない。
そんな些細より目前の女が名乗ったロットレン姓へ過敏に反応。それこそ気張り過ぎな競争馬が如く苛立つ仕草を隠す気がない。
「我が暗黒神よ、その竜が如き爪を此処に示せ──『切り裂く爪』!」
女武術家と黒い剣士のやり取りを後ろで見聞きしてた女魔導士フォウ。敵の隙を見計らいすかさず詠唱。
折られた魔導の杖が赤く輝き、その光がルシアへ急速に伸びる。さながら赤き光の刃。
キンッ!
「何ィッ!?」
「はんっ! ヴァロウズの4番目が女子ば相手に不意打ちすっとか? ほんのこち呆るっど!」
腕組み鼻鳴らすガロウ。何時の間にやら黒の軍団最深部まで押し迫っていた。
フォウ、爆炎を止められた痛恨冷めやらぬ間に続く戦慄。
魔術で生成した刃を、髭面の剣士ガロウがただの刀で斬り伏せる並外れた行動。
──ただの刀が魔法と斬り結ぶ!? この男まさかっ!?
先程のルシアですら炎の精霊術を以って相殺したのだ。実体持たぬ光の刃をただのイカレが斬って捨てれる道理がない。男の刃、良く見つめてみれば滾る鉄の如き色を帯びていた。
「男ッ! 貴様さては扉を開いた異能者だな!」
「ア"ッ!? 何を言っちょっかまるで判らん?」
フォウの刃物より鋭き指摘の声。折られた杖でガロウを指す。
ガロウは刀の峰で己の肩を叩いて頭を捻る。何を言っているか判らないのは寧ろ髭面の方だと言える。
バシュッ! バシュッ!
マーダとフォウの足元へ暗闇の最中、何かが撃ち込まれ砂塵が舞う。あからさまな目潰し攻勢。Resistanceはルシアとガロウだけでない存在感を指し示す。
ブォンッ!
ルシアが瞬間、マーダの背後に気配のみを散らして左脇から電撃帯びた拳で迫る。全体重を載せた全力の拳でなく、左右の連打で攻める慎重なる動き。
ルシアの動きを予め知覚し切っていたかの如き、ガロウ最上段から電光石火な振り下ろし。未だ周囲を囲う炎の壁が刃に映る。フォウの存在、文字面通り斬って捨てた。
ガロウの放つ刀の切っ先。
ルシアが見舞う電撃の拳。
何れもマーダの首へ届くと、誰もが思う好機。
刀の切っ先が砂地に届き、砂埃舞い上がる。
ルシアの文字通りな電光石火の拳が宙を切る。
二人が描いた互いの軌跡。真っ直ぐ真横へ伸びた金色の煌めきと上方から地面へ叩き付けた赤い剣筋が美しき十字を成す。黒い帆布へ大いに映える。
──て、手応えがなかッ!?
──い、今のを躱すッ!?
そうなのだ──。
黒い帆布に描かれたのはあくまで二人の十字だけ。赤い絵の具飛び散る様子が全く以って見当たらない。何れも避けられた奇跡。
「──下らぬ、地上を這う虫共。我は現人神である。星の重力さえ枷にはならん」
ルシアとガロウの背後、それも斜め上から小馬鹿にした声が聴こえる俄かに信じ難い様。
何とマーダ、2人分程の宙で静止し顎まで裂けた嗤い浮かべる。
戦慄を通り越し純然たる驚きだけ感ずるルシアとガロウ。出来の悪い奇術の類を見せられた気分。
マーダが嘗ての敵から奪いし魔法。その名も『重力解放』正しく文字面通り、重力の枷から逃れ、宙で好きに振舞える術式。
スーッ。
遂にマーダ、大本命が鞘から巨大な両手剣を抜いた。されど王国を夜襲した際の赤い歪な大剣と異なる。
マーダ、冷笑しながら片手で両手剣を悠々握り、空いた手で己が刃をスッと撫でる。加えてガロウに対する当てつけが如く、蒼白く輝く刃を最上段で構える。
「虫共、地上から神の鉄槌を見上げ絶望に伏せるが良い。──『輝く真空の刃』!」
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