🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第1部『Worst reunion(最悪の再会)』

第3話『Black Knight(黒騎士)』 B Part

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 月明かり皆無な夜空を風の精霊術で飛ぶ様に跳ねる女武術家ルシア。
 エドナ村を襲来する黒の軍団首領格。マーダの背後に迫るも後一歩の処で及ばず、避ける動作を余儀よぎなくされた。

「女ッ! 貴様中々やるではないか。可憐かれんなる花をこの我直々じきじきぐ前に名乗る権利を与えて進ぜよう」

 マーダ、未だ抜刀せず馬上から見下す視線と手招てまねきでルシアを煽るあおる

 黒髪に黒い瞳。出会いの順にifもしは存在し得ない。だがこの島に渡らんとする青年ローダの顔を見れば面影おもかげ感じても不思議ではない面構え。

「貴方に覚えられた名乗れた処で全然嬉しくないけど。ルシア……『ルシア・ロットレン』よ」

 途端とたん、この世の総てを卑下ひげするマーダの顔色変わり往く。名乗り挙げた女武術家を眉顰めまゆひそめ凝視ぎょうし、他には目もくれない。

「──? 女ぁ……。貴様と抜かしたな?」

「それが何だって言うの──よッ!」

 ルシアに取ってこの男とお喋りをする余裕は無論、楽しむ未練みれんも全く皆無。会話しながら黒い馬へ風の精霊を付与した足払いを入れつつ迫る。

 マーダの騎乗する馬は大層屈強くっきょうなれど所詮しょせんただの馬。ルシアの鋭き足払いをまともに受け、憐れあわれ嘶きいななき脚折られ崩れ落ちるのみ。

 マーダは馬上から砂地へ降り立つ。然し全く以って意にかいさない。
 そんな些細ささいより目前の女が名乗ったロットレン姓へ過敏かびんに反応。それこそ気張りきばり過ぎなが如く苛立ついらだつ仕草を隠す気がない。

「我が暗黒神よ、その竜が如き爪を此処に示せ──『切り裂く爪ディセデイオネ』!」

 女武術家と黒い剣士のやり取りを後ろで見聞きしてた女魔導士フォウ。敵のすきを見計らいすかさず詠唱。
 折られた魔導のつえが赤く輝き、その光がルシアへ急速に伸びる。さながら赤き光の刃。

 キンッ!

「何ィッ!?」
「はんっ! ヴァロウズの4番目が女子おなご相手に不意打ちすっとかするのか? ほんのこち本当に呆るっど呆れるぞ!」

 腕組み鼻鳴らすガロウ。何時の間にやら黒の軍団最深部まで押し迫っていた。

 フォウ、爆炎フィアンマを止められた痛恨つうこん冷めやらぬ間に続く戦慄せんりつ
 魔術で生成した刃を、髭面の剣士ガロウがただの刀で斬り伏せる並外れたイレギュラーな行動。

 ──ただの刀が魔法と斬り結ぶ!? この男まさかっ!?

 先程のルシアですら炎の精霊術を以って相殺したのだ。実体持たぬ光の刃をただのイカレ気狂いな剣士が斬って捨てれる道理がない。男の刃、良く見つめてみれば滾るたぎる鉄の如き色を帯びていた。

「男ッ! 貴様さては扉をひらいた異能者だな!」

「ア"ッ!? ない言っちょっか言ってるかまるで判らん?」

 フォウの刃物より鋭き指摘の声。折られた杖でガロウを指す。
 ガロウは刀のみねで己の肩を叩いて頭を捻るひねるのは寧ろむしろ髭面の方だと言える。

 バシュッ! バシュッ!

 マーダとフォウの足元へ暗闇の最中、何かが撃ち込まれ砂塵さじんが舞う。あからさまな目潰しめつぶし攻勢。Resistance反乱者達はルシアとガロウだけでない存在感を指し示す。

 ブォンッ!

 ルシアが瞬間、マーダの背後に気配のみを散らして左脇から電撃帯びた拳で迫る。全体重を載せた全力の拳ストレートでなく、左右の連打ワンツーパンチで攻める慎重なる動き。

 ルシアの動きを予め知覚し切っていたかの如き、ガロウ最上段から電光石火な振り下ろし。未だ周囲を囲う炎の壁が刃に映る。フォウ女魔導士の存在、文字面通り

 ガロウの放つ刀の切っ先。
 ルシアが見舞う電撃の拳。
 何れもマーダの首へ届くと、誰もが思う好機タイミング

 刀の切っ先が砂地に届き、砂埃すなぼこり舞い上がる。
 ルシアの文字通りな電光石火の拳が宙を切る。

 二人が描いた互いの軌跡。真っ直ぐ真横へ伸びた金色こんじききらめきと上方から地面へ叩き付けた赤い剣筋が美しき十字クロスを成す。黒い帆布キャンバスへ大いに映える。

 ──て、手応てごたえがなか無いッ!?
 ──い、今のをかわすッ!?

 そうなのだ──。
 黒い帆布キャンバスに描かれたのはあくまで二人の十字だけ。赤い絵の具マーダがやられ血が飛び散る様子が全く以って見当たらない。何れも避けられた

「──下らぬ、地上を這うはう虫共。我は現人神生きた神である。星の重力さえかせにはならん」

 ルシアとガロウの背後、それも斜め上から小馬鹿にした声が聴こえる俄かにわかに信じ難いさま
 何とマーダ黒い剣士、2人分程の宙で静止しあごまで裂けた嗤いわらい浮かべる。

 戦慄せんりつを通り越し純然たる驚きだけ感ずるルシアとガロウ。出来の悪い奇術の類Magicshowを見せられた気分。

 マーダが嘗てかつての敵から奪いし魔法。その名も『重力解放ヴァレディステラ』正しく文字面通り、重力の枷から逃れ、宙で好きに振舞える術式。

 スーッ。
 遂にマーダ、さやから巨大な両手剣グレートソードを抜いた。されど王国を夜襲した際の赤いいびつな大剣と異なる。

 マーダ、冷笑しながら片手で両手剣グレートソード悠々ゆうゆう握り、空いた手で己が刃をスッと撫でる。加えてガロウに対する当てつけが如く、蒼白く輝く刃を最上段で構える。

「虫共、地上から神の鉄槌てっついを見上げ絶望に伏せるが良い。──『輝く真空の刃アディシルド』!」

 斬る相手が何処にも無い夜空で最上段からの振り下ろし。蒼白い大剣が瞬時に存在しない錬成れんせいした。
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