🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第1部『Worst reunion(最悪の再会)』

第4話『Angel of Dreams(夢見の天使)』 A Part

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『虫共、地上から神の鉄槌てっついを見上げ絶望に伏せるが良い。──『輝く真空の刃アディシルド』!』

 現人神あらひとがみ──生きた人間で在りながら神とあがめられた存在を指す言葉。

 ゴゴゴゴゴッ……。

 現人神マーダ虚空こくうの夜空でせる剣舞けんぶ
 新月の闇に突如現れた蒼白く絶大なる三日月アディシルド。エドナ村の海岸線を地響き上げ突き進む。

 敵味方関係なく平等に斬り裂き、エドナ村内部へ進撃。
 物見櫓ものみやぐら塁璧るいへき等、まるで最初ハナから所在しなかったが如くそれら総てを破砕はさい

 民家も続々神に鉄槌てっつい餌食えじきへ転ずる地獄のちまた。村の中心付近に位置する教会とおぼしき建物を半壊させようやく消失。

「あ、嗚呼……」
「そ、そんな……ひ、酷い。こ、こんなの幾らいくら何でも酷過ぎる!」

 暗黒神マーダが召喚したただの一振りアディシルド。他のResistance反乱者達毎、村半分をマーダ独自の力で灰燼かいじんと化す。

 自分達と余りに次元が違い過ぎる様をまざまざと見せ付けられ、 絶望に崩れくずれ往くルシアとガロウの二人。涙さえ最早もはやれた。

「フフッ……クハハハッ!! 見たか虫共ッ! これぞ真なる神の力ッ! 見たら死ねぇッ!!」

 マーダ、絶望にひんするResistance反乱者達のリーダー。ガロウへ向け、やはり最上段から袈裟懸けけさがけ太刀筋たちすじ見舞う。

 ガロウとて並外れた剣士なのだ。
 黙って斬られる程、ぬるい存在ではない。の袈裟懸けに対抗すべく、斜め下段からの振り上げで相まみえようと試みる。

 ボキッ!

「ぐわッ!?」
 ──ひ、左鎖骨さこつが折れた!

 両手剣グレートソードの自重、加えて空からの重力込めた最上段斬り。
 後の先ごのせん頼るカウンター狙いのガロウであったが、流石に分が悪過ぎた。

 出来るものなら避けるべきであったやも知れぬ。下手に受けそこねた故、嫌な音と共に己の負傷具合を咄嗟とっさに知り得た。

 ◇◇

「な、何だよアレはッ!!」

 此方ゆるゆると波間に揺られアドノス島上陸を図るローダ・ファルムーンと渡し屋の少年ディン。

 ディン、これ迄にもアドノスに於ける戦乱を幾度いくどか見た経験を持つ。争いの隙間すきまえる丹力たんりきがあるからこそ、結果のお零れおこぼれ頂戴ちょうだいした経緯けいいが在る。

 そんな彼が対岸で繰り広げられてる異常ぶりに目を白黒させる。

 それ程黒い剣士が成した行為は常軌じょうきいっしていた。からだの震え止まらぬディン、正直渡し屋の報酬ほうしゅうなど依頼者ローダに投げ付け、今直ぐ引き返したい衝動しょうどうに駆られる。

 ──ドクンッ!

 ローダ、立ち尽くしたまま争いの一部始終を目に焼き付ける。彼自身、理由が飲み込めず取りつかれたかの様子。瞬きまばたき一つしない──いや、出来ないのだ。

「ろ、ローダ? お、おぃ……や、ヤバいって。諦めて逃げようぜ、なあッ!」

 ディン、大層狼狽うろたえた目でローダの肩を必死で揺する。
 なれどこの青年、明らかに様子が奇妙。海上の小舟であるのに青年ローダの身体が岩の様に重たく感ずる。

「……俺、行かなきゃ」
「は、ハァッ!? い、今何て…うわぁッ!?」

 ボソッと在り得ない一言を呟くつぶやくローダ。
 小さな船の頼りない甲板を容赦なく蹴り夜空へ飛び発つたつ。全身が赤みがかった輝き散らす異変。然も上昇したかと思いきや、アドノス方面へ向けおうぎを描いて飛び去った。

 ディン、独り海上に捨て置かれ茫然自失ぼうぜんじっしつ
 赤一色の花火が暴発の末、天まで昇らず真横へ流れた感じ? 
 状況説明の語彙力ごいりょく、自分にはまるで足りない。ガクリッと肩を落とすしかない無力なディンであった。

 ◇◇

「──うっ……ンッ?」

 ローダ、気が付けば夜空はおろか島の景色ですらなく、古ぼけた木造建築の天井をながめる自分に気が付く。その上、毛布にくるまりベッドで寝ているではないか。

 ──夢? いや恐らく違うな。

 その証拠……断定するには無理矢理感も在るのだが、やけに後頭部が痛みを帯びる。出血こそしてないが何かで酷くなぐられた様な違和感。

 されど海上から戦乱の様子をうかがっていた後の記憶が如何どうにも思い出せない。思い出そうと試みれば後頭部の痛みより激しい頭痛に見舞われる。

 ガチャッ……部屋のドアノブをひねられた音。

 ローダの緊張感が一挙に高まる。
 何しろ記憶が無い状態で気が付けば寝かされていた次第。ベッドへ横たわってるにもかかわらず在る筈のない剣を探るさぐる。自分の身に起きた現実を理解出来ねば落ち着ける道理がない。

 ギィィ……。扉がゆるりと開く。
 身構える処か寝た死んだフリすら出来やしない。

「──あ、良かった。ようやく気がついたのね」

 扉から顔のぞかせる金髪女性の眩いまばゆい笑顔。

 ローダに取って想像の斜め上を往く存在が視界に飛び込む。
 緊張感──? 最早何処吹く風なてのひら返し。

 肩辺りまで伸びた天使の輪煌めく金髪プラチナブロンドんだ緑の瞳がエメラルドを思わせる。左目下に色艶いろつや高まる泣きぼくろ。

 さらに如何にも部屋着な緩さ。否が応でも身体の流れボディラインを己のやらしい視線が追いすがるのを止められない。

 ──ゴクリッ。

「き、綺麗だ」
「え? ……えぇ。えと、あの、そのう…」

 思わず男性の本能頼みで身勝手を口走る内気な筈の若人ローダ
 金髪の女性、会話の告白めいたチェックメイトな発言に戸惑うとまどうを隠せなかった。
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