🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第1部『Worst reunion(最悪の再会)』

第4話『Angel of Dreams(夢見の天使)』 B Part

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 海上からアドノス島の戦乱を見て飛び込んだ筈のローダ・ファルムーン。
 気が付けばベッドの上。

 然も20年の人生に於いて最も美麗びれいと確信出来る女性が部屋を訪問してる夢色の空間。
 奈落ならく転じて極楽浄土ごくらくじょうど。自分は真に命を全うまっとうし終え天へされたか?
 或いあるいはこれが俗に言う意識持ち得たままの転生であるのか?

 ──……ハッ!?

「あ、あ、あ……。い、いや、その……何だ。さっきのは祖国の御挨拶ごあいさつみたいものだ」

 初対面の女性に途方とほうあられもない言葉を投げた自分にようやく気付いたローダである。我ながら酷過ぎるデタラメ具合、されど口を突いた『綺麗』これはうそでなくまこととは言い難い言動だが本心なのだ。

「あ、あぁぁ……挨拶。な、成程ぉ。あ、挨拶なら仕方ないよねぇ…うんっ」

 ──えっ?

 顔赤らめた容姿端麗ようしたんれいなる金髪女性。恥ずかし気に言い淀みよどみながら引き攣るつる笑顔を湛えたたえローダの寝ているベッドの端に腰を下ろす。

 あんな嘘デタラメがまさか通用したのか? 俄かにわかに信じ難いが兎に角とにかく胸撫でおろさずにいられぬローダである。

 ──そ、それにしてもこの女性。余りに無防備過ぎやしないか?

 ローダ、取り合えずベッドに面してる壁に寄り掛かりゆっくり身体を起こす。するとこの女性、さらに距離を詰めて来た。互いの温もりが伝わる程に。

 ラフが過ぎる格好のまま瞬くまたたく間に寄せられ、心拍しんぱくが高鳴らずにいられぬ初心うぶな青年。この女性、彼を異性と意識する気がないのであろうか。

 ──は、ん……じゃないのか?

 部屋着の下になまめかし過ぎるのだ。その証拠に自分にはない胸元の大きな膨らみ。彼女が動く都度

「そ、それにしても意識が戻って良かったよ。だって3も起きなかったんだから」

 ──3日!?

 女性の一言に、から覚めた気分のローダである。どうやらあの夜から3日も経過したらしい。

「そ、そうだ。あの争い、き、君も……」
「あ、ごめんなさい。ルシアで良いよ。貴方は?」

 ローダ、海上で見た戦乱を如何どうにか思い出し本題に触れようと試みる。
 ルシアは名乗ってなかった旨を髪をき上げ微笑みと共にびる。

「あ……こ、此方こそ済まない。俺はローダだ。──る、ルシア……。あの戦いの中に居たのか?」

 相も変わらずファルムーン姓の語りを躊躇うためらうローダ。加えて彼に取って絶世と言って差し支えない美女から折角せっかく聞けた名前で呼ぶのさえ躊躇ちゅうちょする。

 ──えっ?

 ローダの質問に首をかしげるルシア。
 自己紹介こそしてなかったが、3日前の戦乱に於ける自分を覚えてないのは納得往かない。ローダの黒い目を思わずじっと見つめる。

「ひょ、ひょっとしてあの時の記憶が無いの?」
「記憶? あ、嗚呼……どうもそうらしい。実はさっきから思い出そうとしてるのだが酷い頭痛がするだけなんだ」

 ガシッ!

 ルシア、増々驚かずにいられない。『頭痛が酷い』と語るローダの両腕を白い両手でガシリッと掴みつかみ、半ば無理矢理自分へ向ける。

 ──あんな激しい争い、覚えてないとか意味判んないよ!

 これがルシアの気分。
 不謹慎ふきんしんだがこれ迄の総てを失う記憶喪失そうしつならまだ納得出来る。3日前の争いだけ抜け落ちるのは如何どうにもせない。

「──俺は海の上から蒼白い光が走るのをこの目で見た。上手く説明出来ないが、アレを見て俺は如何どうにかしたいと感じた」

 淡々たんたんと真顔で話す自分を演じ続けるローダ。昂るたかぶる気分が漏れ出しそうな視線だけそむけた上で話を続ける。

 ──処で自分ローダは何をこんなに昂ぶって期待してる?

 例え身体を抑え込まれたとはいえ、大変真面目な話をしてるのだ。今の束縛そくばくへ進むのを妄想もうそうするとか全く以って頭がおかしい。それでも鼓動こどう高鳴る夢見る下心を止めようがない。

 ガバッ!

「──ッ!?!?」

 さらに在り得ないが跳ねる様に御相手からやって来た。

 男性として最底辺、決してやってはならぬ間違いを、気狂いきぐるい任せでやり兼ねない気分に頭が支配され掛けてたローダに途轍とてつもない追い打ち。

 あろうことかルシアが自身の大きなで黒いローダの頭を抱き締め、幾度いくど慈しむいつくしむ様に撫で始める。

「ローダ・。貴方は私達の恩人なの、もし貴方が駆けつけてくれなかったら今頃か判らないよ」

 ローダのフルネームをルシアが耳元で囁くささやく不可思議。
 加えて『恩人』とたたえつつ、『どうなったか判らない』実は曖昧あいまいなる誉めほめ言葉。恩人の枕詞まくらことばが付かない。

 単なる偶然かも知れないが、ルシアは『ローダのお陰で私達は生き延びた』と言った訳ではないのである。

 それはさておき騎士ローダ様の活躍を、ルシアは幼き子供へ読み聞かせする様な穏やかな顔で語り始めた。
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