🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第1部『Worst reunion(最悪の再会)』

第5話『White Berserker(白い狂戦士)』 A Part

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『ローダ・。貴方は私達の恩人なの、もし貴方が駆けつけてくれなかったら今頃か判らないよ』

 無我夢中むがむちゅうでディンの船を飛び出したローダを待っていた者。美しくも何処か神秘的な雰囲気漂うただよう金髪の女性、ルシア・ロットレンの優しみ。

 ローダ相手に初対面とは思えぬ愛情と他人には決して抱かぬ感情を注ぎながら、彼が3日前に成し得た奇跡の物語を紡ぎつむぎ始める。

 ──そう……。彼女はずっとこの日を待っていた。

 ◇◇

 ガロウ・チュウマが暗黒神マーダからの大振りな大剣を受け切れず、左鎖骨さこつをへし折られた時間軸へ話を戻す。

 ドカッ!

「──ぐわッ!!」
「ガロウォッ!!」

 マーダ、既に倒れ込んだガロウの左肩を黒いブーツで蹴り飛ばす情け無用。左鎖骨さこつが折れてるを恐らく見抜いた上での行為駄目押し

 痛々しい悲鳴を上げ痛みに顔を顰めしかめ突き飛ばされるガロウ。
 辛辣しんらつ過ぎる光景を視界で追いながらルシアも悲痛な叫びを上げる。

「ククッ! メスゥ……。貴様はまだ殺さぬ、後で聞きたい事が山ほどあるからなァッ!」

 マーダ、突き飛ばした侍風情さむらいふぜい尻目しりめに、その場で崩れくずれ落ちてるルシアを嫌らしい目つきで見下す。

「あ、アンタなんかに聞かれたって何も答えやしないッ!」

「良い女が強がるさま……悪くない眺めながめだ。なぁに、城へ連行すれば時間など腐る程あるッ!」

 目を背けそむけ最低限の抵抗を試みるルシアのあごをクィッと持ち上げマーダが凄むすごむ
 ルシアの嫌悪感が頂点に達し、精霊帯びてないただの左拳を憎き敵の顔へ叩き込む猫を噛んだ窮鼠きゅうそ

 されどまるで鉄でもなぐった様な痛みが拳に走る。
 無論、マーダのほおには掠りかすり傷一つ付かない。

「……フンッ! まあ良い。先ずはそこの髭面ガロウにトドメを刺してくれる。精々せいぜいじっくり拝むおがむのだな。味方の最期を」

 砂を全身に被り死に際の虫が如く蠢くうごめくガロウ。
 黒騎士が冷笑たたえて両手剣グレートソードを片手で握り悠々ゆうゆうと歩み寄る。
 ガロウも如何どうにか反撃に転じたい。刀を杖代わりに立ち上がろうと決死で動くが余りに絶望的過ぎる絵面。

「死ねぇッ!!」
「──ッ!」

 ガロウへ断罪の大剣が振り下ろされる。
 ルシア、流石に直視出来ず歯を喰い縛り視線をらす。

 カシャンッ!
 あからさまに人の肉を斬った音源ではないものが辺りに響く。

 在り得ない手応えを睨みにらみ付けるマーダの不快。
 何時の間にやらガロウとマーダに割って入った片手剣ロングソードを握った男。
 敵であるマーダはおろか、ガロウとルシアでさえも全く以って見知らぬ容姿ようしである。

「──ッ!?」
「な、何だ?」

「き、貴様ァ……邪魔をしおって。一体何処から湧いて来たこのクソ虫ッ!」

 状況が飲み込めず凝視ぎょうしする以外の選択肢がないルシアとガロウ。
 神として断罪する愉悦ゆえつを何処ぞな馬の骨に妨害ぼうがいされた。謎の男へ大いにキレ散らかすマーダ。

「フゥゥ……」

 男の態度、全く以って返答に値しない。瞳孔どうこうが全部赤、黒い短髪で白いコートを羽織はおった服装。黒い剣士より僅かわずかに低い背丈せたけ

 息が白む様な季節ではないにも関わらず、荒くれ者の吐く空気が、煙が如く見える気のする錯覚さっかく

「ウガァァッ!!」
「──ッ!? は、速いッ!」

 迂闊うかつにも男の醸しかもし出す圧に押され真正面からの突貫とっかんを許してしまうマーダ。剣同士で斬り結ぶしかない屈辱くつじょく

 その後も謎の男が剣を叩き込むターン暫くしばらく続いた。

 ──い、一体ないじゃ何だあんわろあの男
 ──か、彼はもしや……。

 例え命を拾えたとはいえ、素性すじょうが知れぬ男をガロウは警戒せずにいられない。
 得体えたいが知れない意味ではルシアとて同じ事。なれど彼女には心当たりがあるらしい。
 然しそれでも味方や助っ人を見る余裕を帯びた様子では決してなかった。

「あ、暗黒神の使いのりゅ……」
「させる訳なぁぁいッ!」

 脇で見ていたフォウ・クワットロが神聖術しんせいじゅつの詠唱へ動いたのにかんづき、咄嗟とっさにルシアがからだを滑らせ真横からのエルボーを叩き込む。

「カハッ!」
「……黙って見てなさい」

 鳩尾みぞおちに入った肘打ちひじうちで吐血しながら砂地へ崩れるフォウ。
 ルシアが見下す。何ともを吐き付ける。

「ウガァァッ!!」
「な、めるなァァッ!!」

 謎の男、片手剣ロングソードの剣筋は、力押しばかりで何とも幼稚ようちだとマーダには思える。
 いっそ僅かに身体を引いて突っ込ませ剣先の行方を失わせれば、自分が背中を取れると図ったマーダ。潜った修羅場しゅらばの数と剣の練度れんどが違い過ぎる。

 マーダの思うがまま、敵が突っ込み過ぎて転びそうになる。楽々背後を取れたと感じたマーダが両手剣グレートソードつかを用いて相手の後頭部へ叩き込む。
 黒騎士の剣、刃で斬るのは間合いが余りに短か過ぎた。

 ガツンッ!!

 それでも両手剣グレートソードつかである。然もよろめいた頭へ叩き込めれば致命傷ちめいしょうになるのが必然。

 勝ちを確信し緩むマーダ、負け確に絶望するガロウ。

 それでもルシア・ロットレンは、まるで動じる様子が皆無。既に──ローダ・ファルムーンの凄味すごみを信じ抜くのだ。
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