12 / 171
第1部『Worst reunion(最悪の再会)』
第5話『White Berserker(白い狂戦士)』 A Part
しおりを挟む
『ローダ・ファルムーン。貴方は私達の恩人なの、もし貴方が駆けつけてくれなかったら今頃どうなってたか判らないよ』
無我夢中でディンの船を飛び出したローダを待っていた者。美しくも何処か神秘的な雰囲気漂う金髪の女性、ルシア・ロットレンの優しみ。
ローダ相手に初対面とは思えぬ愛情と他人には決して抱かぬ感情を注ぎながら、彼が3日前に成し得た奇跡の物語を紡ぎ始める。
──そう……。彼女はずっとこの日を待っていた。
◇◇
ガロウ・チュウマが暗黒神マーダからの大振りな大剣を受け切れず、左鎖骨をへし折られた時間軸へ話を戻す。
ドカッ!
「──ぐわッ!!」
「ガロウォッ!!」
マーダ、既に倒れ込んだガロウの左肩を黒いブーツで蹴り飛ばす情け無用。左鎖骨が折れてるを恐らく見抜いた上での行為。
痛々しい悲鳴を上げ痛みに顔を顰め突き飛ばされるガロウ。
辛辣過ぎる光景を視界で追いながらルシアも悲痛な叫びを上げる。
「ククッ! 女ゥ……。貴様はまだ殺さぬ、後で聞きたい事が山ほどあるからなァッ!」
マーダ、突き飛ばした侍風情を尻目に、その場で崩れ落ちてるルシアを嫌らしい目つきで見下す。
「あ、アンタなんかに聞かれたって何も答えやしないッ!」
「良い女が強がる様……悪くない眺めだ。何、城へ連行すれば時間など腐る程あるッ!」
目を背け最低限の抵抗を試みるルシアの顎をクィッと持ち上げマーダが凄む。
ルシアの嫌悪感が頂点に達し、精霊帯びてないただの左拳を憎き敵の顔へ叩き込む猫を噛んだ窮鼠。
されどまるで鉄でも殴った様な痛みが拳に走る。
無論、マーダの頬には掠り傷一つ付かない。
「……フンッ! まあ良い。先ずはそこの髭面にトドメを刺してくれる。精々じっくり拝むのだな。味方の最期を」
砂を全身に被り死に際の虫が如く蠢くガロウ。
黒騎士が冷笑湛えて両手剣を片手で握り悠々と歩み寄る。
ガロウも如何にか反撃に転じたい。刀を杖代わりに立ち上がろうと決死で動くが余りに絶望的過ぎる絵面。
「死ねぇッ!!」
「──ッ!」
ガロウへ断罪の大剣が振り下ろされる。
ルシア、流石に直視出来ず歯を喰い縛り視線を逸らす。
カシャンッ!
あからさまに人の肉を斬った音源ではないものが辺りに響く。
在り得ない手応えを睨み付けるマーダの不快。
何時の間にやらガロウとマーダに割って入った片手剣を握った男。
敵であるマーダはおろか、ガロウとルシアでさえも全く以って見知らぬ容姿である。
「──ッ!?」
「な、何だ?」
「き、貴様ァ……邪魔をしおって。一体何処から湧いて来たこのクソ虫ッ!」
状況が飲み込めず凝視する以外の選択肢がないルシアとガロウ。
神として断罪する愉悦を何処ぞな馬の骨に妨害された。謎の男へ大いにキレ散らかすマーダ。
「フゥゥ……」
男の態度、全く以って返答に値しない。瞳孔が全部赤、黒い短髪で白いコートを羽織った服装。黒い剣士より僅かに低い背丈。
息が白む様な季節ではないにも関わらず、荒くれ者の吐く空気が、煙が如く見える気のする錯覚。
「ウガァァッ!!」
「──ッ!? は、速いッ!」
迂闊にも男の醸し出す圧に押され真正面からの突貫を許してしまうマーダ。剣同士で斬り結ぶしかない屈辱。
その後も謎の男が剣を叩き込む番が暫く続いた。
──い、一体ないじゃあんわろ。
──か、彼はもしや……。
例え命を拾えたとはいえ、素性が知れぬ男をガロウは警戒せずにいられない。
得体が知れない意味ではルシアとて同じ事。なれど彼女には心当たりがあるらしい。
然しそれでも味方や助っ人を見る余裕を帯びた様子では決してなかった。
「あ、暗黒神の使いのりゅ……」
「させる訳なぁぁいッ!」
脇で見ていたフォウ・クワットロが神聖術の詠唱へ動いたのに勘づき、咄嗟にルシアが躰を滑らせ真横からの肘を叩き込む。
「カハッ!」
「……黙って見てなさい」
鳩尾に入った肘打ちで吐血しながら砂地へ崩れるフォウ。
ルシアが見下す。何とも妖しい台詞を吐き付ける。
「ウガァァッ!!」
「な、舐めるなァァッ!!」
謎の男、片手剣の剣筋は、力押しばかりで何とも幼稚だとマーダには思える。
いっそ僅かに身体を引いて突っ込ませ剣先の行方を失わせれば、自分が背中を取れると図ったマーダ。潜った修羅場の数と剣の練度が違い過ぎる。
マーダの思うがまま、敵が突っ込み過ぎて転びそうになる。楽々背後を取れたと感じたマーダが両手剣の柄を用いて相手の後頭部へ叩き込む。
黒騎士の剣、刃で斬るのは間合いが余りに短か過ぎた。
ガツンッ!!
それでも両手剣の柄である。然もよろめいた頭へ叩き込めれば致命傷になるのが必然。
勝ちを確信し緩むマーダ、負け確に絶望するガロウ。
それでもルシア・ロットレンは、まるで動じる様子が皆無。既に謎の存在では無くなった男──ローダ・ファルムーンの凄味を信じ抜くのだ。
無我夢中でディンの船を飛び出したローダを待っていた者。美しくも何処か神秘的な雰囲気漂う金髪の女性、ルシア・ロットレンの優しみ。
ローダ相手に初対面とは思えぬ愛情と他人には決して抱かぬ感情を注ぎながら、彼が3日前に成し得た奇跡の物語を紡ぎ始める。
──そう……。彼女はずっとこの日を待っていた。
◇◇
ガロウ・チュウマが暗黒神マーダからの大振りな大剣を受け切れず、左鎖骨をへし折られた時間軸へ話を戻す。
ドカッ!
「──ぐわッ!!」
「ガロウォッ!!」
マーダ、既に倒れ込んだガロウの左肩を黒いブーツで蹴り飛ばす情け無用。左鎖骨が折れてるを恐らく見抜いた上での行為。
痛々しい悲鳴を上げ痛みに顔を顰め突き飛ばされるガロウ。
辛辣過ぎる光景を視界で追いながらルシアも悲痛な叫びを上げる。
「ククッ! 女ゥ……。貴様はまだ殺さぬ、後で聞きたい事が山ほどあるからなァッ!」
マーダ、突き飛ばした侍風情を尻目に、その場で崩れ落ちてるルシアを嫌らしい目つきで見下す。
「あ、アンタなんかに聞かれたって何も答えやしないッ!」
「良い女が強がる様……悪くない眺めだ。何、城へ連行すれば時間など腐る程あるッ!」
目を背け最低限の抵抗を試みるルシアの顎をクィッと持ち上げマーダが凄む。
ルシアの嫌悪感が頂点に達し、精霊帯びてないただの左拳を憎き敵の顔へ叩き込む猫を噛んだ窮鼠。
されどまるで鉄でも殴った様な痛みが拳に走る。
無論、マーダの頬には掠り傷一つ付かない。
「……フンッ! まあ良い。先ずはそこの髭面にトドメを刺してくれる。精々じっくり拝むのだな。味方の最期を」
砂を全身に被り死に際の虫が如く蠢くガロウ。
黒騎士が冷笑湛えて両手剣を片手で握り悠々と歩み寄る。
ガロウも如何にか反撃に転じたい。刀を杖代わりに立ち上がろうと決死で動くが余りに絶望的過ぎる絵面。
「死ねぇッ!!」
「──ッ!」
ガロウへ断罪の大剣が振り下ろされる。
ルシア、流石に直視出来ず歯を喰い縛り視線を逸らす。
カシャンッ!
あからさまに人の肉を斬った音源ではないものが辺りに響く。
在り得ない手応えを睨み付けるマーダの不快。
何時の間にやらガロウとマーダに割って入った片手剣を握った男。
敵であるマーダはおろか、ガロウとルシアでさえも全く以って見知らぬ容姿である。
「──ッ!?」
「な、何だ?」
「き、貴様ァ……邪魔をしおって。一体何処から湧いて来たこのクソ虫ッ!」
状況が飲み込めず凝視する以外の選択肢がないルシアとガロウ。
神として断罪する愉悦を何処ぞな馬の骨に妨害された。謎の男へ大いにキレ散らかすマーダ。
「フゥゥ……」
男の態度、全く以って返答に値しない。瞳孔が全部赤、黒い短髪で白いコートを羽織った服装。黒い剣士より僅かに低い背丈。
息が白む様な季節ではないにも関わらず、荒くれ者の吐く空気が、煙が如く見える気のする錯覚。
「ウガァァッ!!」
「──ッ!? は、速いッ!」
迂闊にも男の醸し出す圧に押され真正面からの突貫を許してしまうマーダ。剣同士で斬り結ぶしかない屈辱。
その後も謎の男が剣を叩き込む番が暫く続いた。
──い、一体ないじゃあんわろ。
──か、彼はもしや……。
例え命を拾えたとはいえ、素性が知れぬ男をガロウは警戒せずにいられない。
得体が知れない意味ではルシアとて同じ事。なれど彼女には心当たりがあるらしい。
然しそれでも味方や助っ人を見る余裕を帯びた様子では決してなかった。
「あ、暗黒神の使いのりゅ……」
「させる訳なぁぁいッ!」
脇で見ていたフォウ・クワットロが神聖術の詠唱へ動いたのに勘づき、咄嗟にルシアが躰を滑らせ真横からの肘を叩き込む。
「カハッ!」
「……黙って見てなさい」
鳩尾に入った肘打ちで吐血しながら砂地へ崩れるフォウ。
ルシアが見下す。何とも妖しい台詞を吐き付ける。
「ウガァァッ!!」
「な、舐めるなァァッ!!」
謎の男、片手剣の剣筋は、力押しばかりで何とも幼稚だとマーダには思える。
いっそ僅かに身体を引いて突っ込ませ剣先の行方を失わせれば、自分が背中を取れると図ったマーダ。潜った修羅場の数と剣の練度が違い過ぎる。
マーダの思うがまま、敵が突っ込み過ぎて転びそうになる。楽々背後を取れたと感じたマーダが両手剣の柄を用いて相手の後頭部へ叩き込む。
黒騎士の剣、刃で斬るのは間合いが余りに短か過ぎた。
ガツンッ!!
それでも両手剣の柄である。然もよろめいた頭へ叩き込めれば致命傷になるのが必然。
勝ちを確信し緩むマーダ、負け確に絶望するガロウ。
それでもルシア・ロットレンは、まるで動じる様子が皆無。既に謎の存在では無くなった男──ローダ・ファルムーンの凄味を信じ抜くのだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる