🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第2部『Candidate selection(候補者の選択)』

第8話 『Everyday Happiness(日常過ぎる幸せ)』 B Part

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 意識せずにいられぬ同居人ローダへ初めての朝食を施したほどこしたルシア・ロットレン。
 ローダからの不器用な感謝の穢れけがれた男の妄想癖もうそうへきを偶然にも自ら洗い流した事流れことながれ

 悪い虫寄り視線絡み付く感触、純なルシアには届かずやわらかな温かみだけが伝わる怪我の功名結果オーライ

 何気ない日常のまだ初日。
 これからも等しく積み重ね続ける? 幸せを受け止める自分ルシアの器、瞬くまたたく間に溢れあふれやしまいか?

 女性とは運命の出会いに崇高すうこうな夢物語を描く。今は……今暫くしばらくは御相手の唾や汗汚物さえさえ、純水純粋の涙に挿げすげ替え、笑顔で受け容れられるもの。

「うぅーん……さて、と。君も目覚めたし、良い加減お仕事復帰しないとね」

 背伸びしているルシアから何気ない一言が零れこぼれ、ローダの意識にで触れる。

「──仕事?」

「そう、Resistance村を守るのは仕事じゃないのよ。働かざる者何とやらってね」

 ルシアは宮廷きゅうてい御飾りおかざり騎士より余程立派な戦士だと思い込んでいたローダ驚く。掛け持ちダブルワークだなんて思いも寄らない。

「そうか……。ルシアの仕事は一体何だ?」

 ローダ、思わず手短な幸せに心流されそうになるのを如何どうにかこらえる。
 彼は兄ルイスを追い留めて此処へ来た尋ねたずね人。言わば旅の中途な立場。

 そんな男が『此処へ住む』などと途方もない掌返してのひらがえしは流石に出来ない。

『俺もルシアと共に此処エドナ村に腰をえたい』

 そんななる台詞が気を抜くと溢れあふれ出そうだ。

「うーん……。じゃあいっそ一緒に来てみる?」

「何ぃ?」

 ルシアから心見透かされた様な職場体験の御提案。
 現時点、無職ニートを持て余す自分。手放しで肯定する理由もないが、否定する謂れいわれもないのだ。

 ルシアが準備してくれたエドナ村民ありがちな服装に着替え、彼女の後ろを着いて往く。村は復興ふっこうへ向け少しづつ活気づいてる様子がうかがい知れた。

「此処よ」
「え、いや……殆どほとんど隣じゃないか」

 ルシアとのエドナ村探索デートは一瞬で終結。
 教会と似た雰囲気の建物。中からやたら甲高く元気あふれる声が路地まで響き渡る。

「あ、ルシアだ!!」
せんせえせんせい、ちっこくぅ! ──ってかその人だれぇ?」

 さくの玄関開いた途端とたん、二人にドッと押し寄せる小さな群衆。
 教会とこの建物がほぼ接する意味、世間知らずなローダにも流石に判る。

 ルシアの仕事場、幼い子供を預かる託児所。子供達が神様へ十字を切って祈り捧ぐささぐには教会は不可欠なのだ。

「ねぇねぇ、だからその人だれぇぇ??」
ちらない知らないの? きょうかいでせんせぇといっちょいっしょなのよ!」
「え~! じゃあせんせぇは、だね!」

 男の子も女の子もこの際関係ない。
 若いお兄さんとお姉さんを囲いに囲って容赦ようしゃなき質問攻め。子供は悪気を知らないまま、知り得た知識で一人前を気取るきどる生き物。

「──ッ!?!?」
「ちょ、あ、貴方達ぃ! 黙りなさぁぁい!!」

 途方とほうもない言葉恥しさが耳に飛び込んだローダ、これは動揺を隠せない。
 つい今しがた迄、勝手に夢見た同棲同居生活を子供に見透かされた気分に心のた打つ。

 ルシアまゆ吊りつり上げ利かん坊きかんぼう達を叱りしかりつける。突然降って湧いた新妻おくたん。先生の顔が酒をあおった様に最も赤みを帯びた。

 ポンッ!

「ふふふ……。タジタジですねぇルシア

 ルシア、不意に背中を叩かれ子供達へ向けた真っ赤な顔色を叩いた相手へ送る。
 走り回って暴徒ぼうとへ転ずる小さき
 暗黒神を名乗る男を追い払った女戦士が手を焼くしかない絵面不思議

 保育士社会人にしては若過ぎるにも程がある可愛い少女。長く極め細かなる銀髪と澄んだ蒼い瞳が若さあふれる。手を口にあてウシシな笑顔でルシアを煽る。

「り、リイナ! ちゃんと子供達に言ってよ! 貴女もでしょ!」

 この少女もルシアと同じ保育士であるらしい。嫌らしい笑顔を絶やさぬをルシアが叱るしかる

「やや、これは失礼。おめでとうございます! ふふふっ……」
「「──ッ!?」」

 盛ん過ぎる子供達を諭すさとす処か、リイナが発信源の入れ知恵だと知り、大層狼狽うろたえる
 改めてを伝えるべく恭しくうやうやしく頭を下げる14歳の少女。
 翻弄ほんろうされるより他ない二人の成人男女。

 託児所の先生達は教会のシスターを兼ねている。
 シスター姿のリイナに深々と頭を下げられ、いよいよ婚約が現実味帯びる偽りいつわり

 リイナには地元へ残してきた幼馴染おさななじみの彼氏が居る。
 依って彼女の方が色恋沙汰いろこいざたには一日の長いちじつのちょうが在るのだ。

 小さなお腹を抱えひたすら嗤うわらうリイナを惑星の様にぐるぐる取り巻く子供達。
 リイナ先生の笑顔が寧ろむしろ火種に転じて子供達の燃え盛りを焚きたき付ける。
 の輝きがせぬ限り、惑星子供達の悪ノリ煌めきも留まる事を知らぬのだ。

「いや……。ご、ごめんなさい。だって余りに楽しくって……」

 流石に悪ノリが過ぎたと感じたリイナ。
 されど未だ笑いこらえて謝罪を入れる心こもらぬ様子。

 然し──判る話だ。
 暗黒神マーダがアドノス島を窮地きゅうちへ追い込んで以来、当然過ぎる福音ふくいんが遠ざかるのを皆が感じた。

 だから今回のエドナ村に於ける戦乱は一筋の光明を島民達に見出みいだした。
 暗がりに差した光を与えた二人の若き男女。

 英雄ヒーロー女傑ヒロイン、輝ける二つの星々をいっそひとつに重ねたい。
 それはそれは誰しもあやかりたい祝福なのだ。
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