🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第2部『Candidate selection(候補者の選択)』

第13話『Angel's miracle(天使が呼んだ奇跡)』 B Part

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 Resistance反乱分子達と争うのを拒みこばみアマンの森を後にした倭刀大太刀使いトレノと女武術家ティン・クェンの二人。

「い、今の輝きはまさか!」
「違いない、森のリイナ・アル天使ベェラータだ。エドナへ反乱分子共Resistanceが集結しつつある」

 リイナ・アルベェラータが起こした奇跡に意識奪われたティンとトレノ。
 嘗てかつて二人はラファン攻略のおり山男木こりが多数を占めるラファンのResistance屈強な戦士達を総ナメにした。

 さりとて『アルベェラータ』姓を完全には葬れほうむれなかった。リイナもその一人である。
 さらにもう一人、トレノの剣が届かない辛酸しんさんめさせた屈強くっきょうな騎士も同じ姓。

 味方8番目卑劣ひれつさとローダに救われた双方が入り混じり戦う気をがれた両者。されど敵が徒党ととうを組むなら己の仕事を全うまっとうせざるを得ない。

「──殺気ッ!?」

 キンッ!

 トレノが背中に感じた刺す様な殺気のかたまり
 実際、柄の長い斧バトルアックスの先に生えた矛先により背後を突かれた。咄嗟とっさに背負った倭刀わとうを中途に抜いて交えることで難をのがれる。

「……らしくない突きだ、ジェリド・。見え透いた殺気だらけの攻撃……殺る気本意では無いという表れか」

 一触即発いっしょくそくはつの緊張感を維持しながら士気しきをトレノが窺ううかがう

「察しが良くて非常に有難いありがたい。今日の私はの命を護る、それだけが目的だ。処で得物武器が変わったな、そちらが本命この間は遊びだな」

 リイナ達を護るべく邪魔立てして欲しくない気分をまるで友の気軽さで応えるジェリド。

 背の低いトレノの背後に立つとまるでのではないか?
 そんな加減を周囲に思わせる巨躯きょく誇るほこる騎士。古惚ふるぼけた白の全身鎧フルメイル、胸元辺りに不自然な削り跡が在る。フォルデノ王国聖騎士を自ら退団したおり、王国の紋章もんしょう無造作むぞうさに削った跡だ。

 愛娘リイナが森の天使と地元ラファンの民からしたわれてるのに負けずおとらず、ジェリドの強靭きょうじんぶりはラファン随一ずいいつと知れ渡っていた。

 そんな二人のアルベェラータともう一人、アルベェラータがResistance民衆軍を先導したにも関わらず蹴散けちらしたのが、何を隠そうこのトレノとティン・クェン率いるマーダ軍に他ならない。

 キンッ!

「貴様こそ相変わらず抜け目ない。マーダ様(襲撃)の時、何故貴様達は助太刀すけだちしなかった?」

 戦意が無いのを示すかの如く蒼く光る倭刀わとうをトレノは納刀する。
 戦争にこそ勝利を収めた。但し個人戦績だけこの騎士に負け越してる屈辱くつじょくが納刀に余分な力を注いでしまった。

「此方とて色々事情があるのだよ。これ以上は語るまい」

 おだやかな声そのままに敵意の線引きボーダーラインを短く良い表すジェリド。妻ホーリィーンをこの敵方達に奪われた殺された雪辱せつじょくを晴らしたい本音が此方とて在るのだ。

 たった一言「そうか」と口ずさんでその場を立ち去るトレノの潔さいさぎよさ。ティンは自由意志を捨て小さな剣士に再び着いて行った。

 さて──リイナが起こした輝きの蜃気楼エフェスタにより、全ての術式が無効へ転じたオットォンVsガロウ&ローダの争い。

 ローダが引き出した蒼白い脇差アディシルドの真似事然りしかり重力解放ヴァレディステラ。何れも例外無く消え失せた。

 だがそれでもローダの戦意が衰えおとろえ知らず。ガロウ後塵こうじん配すはいすのを良しとせず、真横に並び立とうとする。

「グゥッ!?」

 不意に崩れくずれ落ちたローダ、全身へ走る激痛。全く以って耐え難い。またも進化の代償リバウンドに苦しめられる羽目に陥るおちいる

「無理ばすんなをするなワイお前嬢ちゃんリイナ風ん姫様ルシア護れば良か」

 ローダがルシアを救うべく例の力を引き出してからおよそ5分といった処。
 ガロウはこの状況を既に想定してたふしを語りて、片手でローダを制し自らが先陣に立って出る。

『貴方は虐げる存在ダークエルフ以前、愚かで私には不釣合いふつりあいなのよ』
 ──チィッ!

 オットォンは昔、エルフの隠れ里で美麗びれいなハイエルフの女から受けた屈辱の断片だんぺんがふと脳裏を過ぎる。
 鍵なルシア・る女性ロットレンはおろか、候補者の独りであるローダさえも『殺すな』と主人マーダから厳命げんめいされてるのを今さら思い出した。

 勢いで『殺れる』とルシアを剥製はくせいにしかけた無能。『だから貴様はヴァロウズの末席辺り10人中8番目』と軽蔑けいべつされる未来視イメージも同時に浮かび、心中で舌打ちした。

「ガロウ様、気を付けて下さいませ。あの赤目は機械ギミック、他にもあのダークエルフ全身の至る箇所に不審ふしんな点が見受けられます」

 リイナ、戦の女神エディウス神の神聖術が使用不可となった今、非力な司祭は殆どほとんど戦力外に等しい。
 さりとて彼女には最年少飛び級で司祭クラスに成るべく学習した類稀たぐいまれなる第三の目見透かす力が在る。この明晰めいせきな頭脳でこれ迄激しい戦でも生存し続けた。

判っちょる判ってるつもりじゃ!」

 ガツンッ!!

 最年少リイナさとされ敵の出方を見るのかと思いきや、近場の岩を刀で殴る様に粉砕ふんさいするガロウ。酷く息巻いてる様子を隠さない。
 岩が石礫いしつぶてに転じ、オットォンへの牽制けんせいを成した。

 ビッ!

「こんなものォ!」

 飛んで来る石ころなぞ大きく避ければ良いだけの話。オットォン、自己顕示欲けんじよくに駆られ、赤い目放つ熱線でそれらを迎撃する様を態々わざわざ見せ付けた。

 本来牽制に値しない攻撃を驕り昂るおごりたかぶる判断で自ら呼び込んでしまった。

 それこそガロウ・チュウマの思うつぼなのだ。
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