🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第18話『Glimpse of civilization(文明の片鱗)』 A Part

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 エドナ村に駐留ちゅうりゅうしているルシア達と暗黒神マーダの先兵せんぺいとして世界最上位の街並みを仕切るドゥーウェンによる何とも不可思議ふかしぎなる協議きょうぎ

 扉の候補者ローダ・ファルムーンと、と目されるルシア・ロットレンを手中に収めたいドゥーウェンの思惑おもわく
 進化著しいじるし過ぎるローダを最新医療で以って、有事が発生する前に収めたいと語るリイナの胸中。

 何れも互いの利益は一致した。
 後は候補者当人の判断にゆだねられた。

「俺の身体がどうこう……正直未だ飲み込めない。だが罪なき人々をマーダ自分の兄おびやかそうしている。それこそ容認出来ない。ならば最善を尽くすだけだ」

 やはりローダは自身の実力など先送りした処で英雄を語る御人好し。
 片思いな男の愚直ぐちょくな台詞に「ハァ……」と溜息ためいき漏らすルシア、正直止められる気がしなかった。

『交渉成立ですね。それではラオに送り届けたい方を一箇所いっかしょに集めて下さい。なりを潜めた化物くらい、皆様なら楽勝でしょう』

 友好的な笑顔をやさず、またもや気になる言葉を金髪の学者ドゥーウェン口遊くちずさんだ。

 ──兵器? アレはよろいじゃないって言うの?

 気になったルシアだが、どうせこのあと顔合わせするのだ。その時改めて話を聞けば良いと気分を切り替えた。

「おぃ待たんか、おいこんこの出たらマーダ思うつぼじゃなかかないのか?」

『ええと……何となく察しました聞こえました。それは全く以って御心配には及びません。理由は後で説明致します』

 敵の口車に乗せられてはいまいか?
 例え相手に伝わり辛くともガロウは懸念けねんを吐かずいられなかった。

 立体3D映像のドゥーウェンが言葉を解せずまゆひそめたものの、心配の種は如何どうにか判り、相手を窘めるたしなめるに至れた。

 暗黒神マーダの元へ走ったとおぼしきサイガン・ロットレン。
 実は彼の弟子──。
 ドゥーウェンがローダ等と利害りがいの一致で手を結びつつある。

 互いの見知らぬ処で、たもとを分かつ日が訪れようとしていた。

 ◇◇

「──クッソォッ! あの化物一体何なのさッ!! おちおち寝る事すりゃ出来ねぇッ!」

 暗い夜の闇にすら映える赤い全身鎧フルメイルで多大な文句をれる女騎士。かぶとすら被った完全武装。
 細い目で男勝りな声音こわね。彼女の名は『プリドール・ラオ・ロッソ』

 ロッソ家の先々代は150年前の竜同士に於ける戦乱を生き抜いたのち、ラオに安寧あんねいの場所を求めこの世を去った。
 元々もりを槍に持ち替えたこの地域の兵達は槍のたぐいをこよなく愛する。
 その中でもロッソ家の槍と勇猛果敢ゆうもうかかんぶりは、アドノス島でも各所でひびいていた。

 それはプリドールとて例外ではない。
 単騎たんき馬上槍ランスを握り突貫とっかんする潔さいさぎよさは勿論、兵達の指揮にも定評ていひょうがあり、ラオ副団長の任にある。

 ラオの海岸線から木霊こだました波打ち際の音。
 ついこの間迄、この音を枕におだやかな寝息を立ててた時間帯である。

 ドゥーウェンがルシアのスマホに送り付けた巨人らしき化物は陽が落ちてから活動し始め、夜明けと共に身勝手な撤退てったいを繰り返していた。

 巨人がたった一騎で街を訪れ、が如く好きに暴れ散らして。何ともふざけた話である。

「──太陽の下に出られん訳でもあんのかねぇ……あのデカブツ。実は不死アンデッドの類とか?」

 一方ラオの海が如く真っ青な全身鎧フルメイルに身を包み、髪色や目さえ蒼に染まりし但しただし『兜は邪魔だ要らねぇ』主義。

 さも億劫おっくうな態度で大き過ぎる敵へ白けしらけ顔を向けた。彼の名は『ランチア・ラオ・ポルテガ』

 30の息掛かるプリドール29歳よりだいぶ若輩じゃくはいな23歳。如何いかにも副団長より不出来かと思いきや、他に並び立つ者がない投槍ジャベリン絶技ぜつぎと頭の冴えさえだけで団長の立場を押し付けられた天才。

 ミドルネームにラオ地名かんする者は、認められた最高の殊勲しゅくん

 横道れるがジェリドとて同じ殊勲権利を有している。然し『要らんよ、妻と揃いそろいが良い』自ら断りを入れた存在愛妻家なのだ。

「巨人族の亡者ゾンビなんか聞いた覚えないやね」
「俺だってそんないねぇってばよ」

 身長12m級の化物をおがみながら、遊園地の乗り物アトラクションでも観る気軽さで会話を交す副団長プリドール団長ランチア間柄あいだがら

 別称『赤いシャチ』と『青いシャチ
 海洋生物最強とうたわれるシャチにちなんだ通り名。直球過ぎるが強靭きょうじんさを存分に示していた。

「さぁお前達ッ! いつも通り3個小隊に分かれなァッ!」

 守備隊の一般兵に呼び掛けるは副団長プリドールの仕事らしい。周囲に通る勢いある姐御命令口調。
 一番偉い筈の団長ランチアは、何もせずただ緩んだ顔を味方へ向けるだけ。これがラオ

「ま、兎も角ともかくだ。今夜も朝まで適当に遊んでやっぞ。良いか手前テメェ等、俺達はあくまで守りの兵。あんな馬鹿相手にくたばってみろ。そのまま海へ流して魚のえさにすっからなッ!」

 げきなのか?
 切れ味鋭いエッジの利いた冗談なのか?

 されどこれこそラオ守備隊の所以ゆえん。先ず個々の守りを最優先。その上で自分達の住処すみかを守護するのが彼等のお決まりポリシー

 プリドールの先々代から言い聞かされた由緒ゆいしょ正しきおきてなのだ。

 ダッ……ダダッ、ダダダダッ!

 砂地の上を駆ける蒼い鎧の男。ランチアが投槍ジャベリンを握り、もの言わぬ巨人に向け助走を始めた。

ァァッ! もう看板閉店ですよォォッ!!」

 走り辛い砂浜を全力疾走しっそうしながら未だ酔っ払い相手のを止めぬランチアの。振りかぶって右手に握った投槍ジャベリンを思い切って投擲とうてきした。

 バンッ! ババンッ!

 夜空に輝く閃光弾火薬の華。ラオの海に投影され戦場らしからぬ美麗びれいさを帯びた。
 投槍ジャベリンに結び付け、投げ込んだのは相手を吹き飛ばす為の火薬攻撃ではなかった。
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