🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第18話『Glimpse of civilization(文明の片鱗)』 B Part

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 アドノス島東端、ラオを闇にまぎれて襲う巨大な人影。
 立ち向かうは守りに特化した槍専門の騎兵部隊。

 ラオ守備隊団長自ら投げた投擲とうてきが夜空に眩いまばゆい光を放つ。
 手を翳しかざし閃光弾の輝きを嫌がる巨人の如き化物。

 初戦は大層手を焼いた相手。
 巨人を包む謎の装甲相手に投槍ジャベリンはおろか、騎馬と馬上槍ランスによる突貫とっかんさえすべからずはじかれた。
 されど夜明けと同時、巨人は逃ぐるが如く夜と共に消え失せた。

『此奴、ひょっとして太陽の元じゃ活動出来ない?』

 人間観測が好物で、相手の酸いも甘いも見透かし欺くあざむく手法を好んで用いるランチア団長。傍迷惑はためいわく過ぎるの有効な対応に即勘づいた。

 それは朝陽の代替にあたる強烈な光を見せ付けること。
 例え子供であっても太陽と花火の見分けくらい付くのが道理。

 ランチア曰くいわく『あの武装だけは昔の兵器みてぇでエモいんだよなァ』と言わしめた強固な武装を用い、殴る・蹴る・踏むしか能の無い敵。

 本能任せな夜行性の動物に対するが如く成る丈なるたけ多大な光を見せ付け、人の住まぬ海へ誘きおびき出し、真実の朝まであしらえば済むと決め込んだ。

 これなら閃光弾を放つ砲台設置も不必要。依って閃光弾を投槍ジャベリンに結び、3個小隊を総動員して続けた。

 されど朝まで御付き合いするには荷が重過ぎた。何しろ身長12m相手の気を引く高度迄、投擲とうてきし続けるには並大抵の体力では到底持たない。また火薬も真っ先に底を尽く。

 そこで沖には漁火いさりび煌々こうこういた漁船での待ち受けさえも作戦に組み入れた。
 浜から投げ込まれる閃光弾との
 二重の太陽が昇ると巨人に感じさせれば朝を待たずして逃走すると結論付け、予測通りに事は運んだ。

 かくしてラオ守備隊、まんまと人型兵器染みた化物を殆どほとんど無傷で無力化し続けた。

 ◇◇

 再び漁村エドナ、ローダ自部屋でのやり取り──。

『それではラオに送り届けたい方を一箇所いっかしょに集めて下さい』

 スマートフォン越しの立体映像な小人学者に呼び掛けられ、リイナとジェリドアルベェラータ父娘招集しょうしゅうに応じた。

「ガロウ、お前は往かないのか?」

 普段から血の気の多いガロウが気乗りしない態度を感じ取ったジェリドの質問。

おいはこ護る民衆軍Resistance棟梁リーダーやっどなんだやっでだから抜けたらやっせん駄目だそいにじゃそれにだ、ラオ連中無傷でおるなら大したこつなかどことないぞ

 相手は知能が少ないとおぼしき巨人、ガロウ・チュウマ一撃必殺の剣は大いに期待出来る。
 されどエドナ村を護ると自身に課した忠義ちゅうぎ従うしたがうと彼は決意、理屈じゃないのだ。

 マーダがエドナ村を攻めない理由──。
 ドゥーウェンは、賢さかしこさに頼りがちな判断で以下の様に結論付けた。

『マーダ様には私の方から候補者ローダ鍵の女ルシア、何れもラオの巨人討伐とうばつに出掛けたと鹿に報告します。今やあの御方のご興味はローダさんとルシアさん。留守の村など放置されるかと』

 一理ある考察こうさつ。だが世の中絶対なんて有り得ない。依って守りの要石かなめいしを残しておくのもに適っていた。

 ──愚かな巨人……それだけなら良いんだが。

「確かに此方エドナの護りも不可欠だろう。ガロウさえ居れば安心だ、巨人退治は俺達だけで充分だ」

 ローダが緩んだ顔で思いと微妙に違えたたがえた台詞で締めくくる。『ガロウさえ居れば』無愛想ぶあいそうな青年が、いつの間にやら先輩を立てる手際てぎわを覚えた。

 サクッ──。

『では皆様、出来得る限り近くにお集まり下さいませ。これより生物召喚の術式を私が行使こうしします』

 不意にベランドナが真顔のまま、雪の如き右手首をナイフで切った。
 映像越しでも驚きが伝わるエドナ側の連中を他所よそに、血染めの魔法陣を床の上に描いた。

「──『生物召喚アルボケーレ』」

 エドナ側の人間達が光のつぶて形変えかたちかえ瞬くまたたく間に消え失せる。
 同刻どうこく、立体映像側にやはり光が渦巻きながら出現し、集合すると4人の姿を成した。

 生物召喚アルボケーレ──。
 生命を魂の輝きと定義しそれらが彷徨うさまよう事の無きよう、術者の血で描いた魔法陣へと誘ういざなう森の女神ファウナ神奇跡の御業みわざ

 森人エルフ族最高峰に君臨くんりんするハイエルフ。ファウナでさえ、嘗てかつて耳長エルフ族からで魔法の基礎を学んだ。
 ベランドナは森の女神ファウナ神と契約したまさに生え抜き。

 映像Visionから本物Realに変わったベランドナを目前にしたリイナの幼さ残る顔が、まるで女神そのものをおがんだかの様に歓喜で紅潮こうちょうした。

「こ、此処がフォルテザ……」

 正確に語ればこの場所はフォルテザ中、最高の頂きを誇るビルの只中ただなか

 ルシアは眼下がんかに広がる最先端の街並みに息を飲む。まだ夕刻だというのに地上を動く不自然な発光。彼女は精霊を尊ぶとうとぶ、明らかに精霊達の息遣いいきづかいを感じぬおびただしき輝きの群れ。

「え、エドナにも灯り電気は在ったが比較にならんな」

 地元ラファンで灯りと言えば燈火ランプ蝋燭ろうそくたぐい馴染ななじみな最年長ジェリドもこれには細い目を見開く。嘗てかつてつかえたフォルデノ王国の栄華えいが遥かはるか凌ぐしのぐと感じた。

『ルシア、君はもっと凄い輝き文明を知り往く筈だ』

 ──えっ?

 ルシア、短い金髪が跳ねる程の勢いで青年の方へ首を向ける。

 やはりローダと視線絡む事無き。
 彼は何処とは言い難き方へ黒い視線瞳孔を向けていた。まるで未来時の流れが見えてる様に。
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