🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第20話『Too easy voyage(手軽過ぎた旅路)』 A Part

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 同じベッドで共に夜を明かしたローダとルシア。
 御互い異なる性別で寄り添った初めての昂ぶりたかぶりと緊張の相乗そうじょう効果で眠れやしないとタカをくくった。

 気が付けばカーテンかられる朝陽にうつろな目を開いた雌雄二人
 身体こそ死守したが心はそれ迄以上にひらけた一夜。双方そうほう驚く程、健やかなる朝を迎えた。

「お、おはよ」
「あ、嗚呼……」

 言葉少なめに1日の始まりを交すかわす同じ床上ベッド上の二人。

 気恥ずかしさだけはぬぐえず、未だ眠気を帯びる顔合わせずに支度したくを始めた。
 宿泊の準備なぞ持ち合わせてなかった二人。昼間の装備から上着を一枚脱いだだけ。依って出立準備は手軽なのだ。

 ──いつか、一緒に笑顔で朝を迎えられたらおはようを言えたら良いな嬉しい

 そそくさと準備しながら一緒の思い願い密かひそかに抱く。そう遠い日じゃない想いを各々おのおの夢見た。

 ガチャ。

「「あ……」」
「え、ええっ……!?」

 何とも気まずい廊下ろうかでの擦れ違いすれちがい
 ローダとルシアが同じ部屋から出立した誰にも見せたくない羞恥しゅうちの瞬間。

 よもやよもやな同時刻、最も秘密にしたい相手リイナと視線が正面衝突しょうとつした。
 思春期待ったなしのリイナ、甲高い叫びで『きゃあきゃあ』喚くわめくかと思いきや、大きな碧眼へきがんを点にして朝陽の様に染まった顔をうつむかせただけに留まる。

「ちょ、ちょっとリイナ! ちゃんと話を聴いてぇ! ほらっ、ローダも何か言ってよぉぉ……」
「……!」

 いっそ大いに騒ぎさわぎ散らして欲しかった、そんな無駄を思うルシア。悪足掻きわるあがきしたい胸内を言い表せぬもどかしさ。僅かわずかに涙目なのは欠伸あくびをした訳ではない。

 ルシアに肩揺すぶられ煽りあおりを喰らおうともローダは黙秘権もくひけんを行使し続けた。はなはだしい役立たず。

 と自ら囃しはやし立てた男女の夜明けを目撃した多感な少女リイナは何思うのか。
 幼き赤面せきめん雄弁ゆうべんに物語る赤恥辛みを二人は感じ、黙り込み白々しらじらしく虚空こくうを見ながら屋外へ。やけに広々とした場所へ足を運んだ。

「やあ若い御三方おさんかた、昨夜は良く眠れましたか?」

 恐らく全く以ってなドゥーウェンからの御挨拶ごあいさつ。隣にかしこまるベランドナの金髪とあいまってやけにまぶしい笑顔。

「え、ええ、まあ……」
「ね、眠れました」
「……」

 ルシア、リイナ、そして無言を貫くつらぬくローダの流れで応える三人。何れもぎこちなく視線を外した。

「何だ? 三人共やけに眠そうだな。特にルシア。目の下、くまが酷いぞ」
「ええっ!? う、嘘ンっ!」

 ドゥーウェン等と同じく先に待ち受けていた白い鎧姿のジェリドが叩くの軽口。

 まるで若き男女の営みを見透かした様な言い草。過剰かじょうに慌てるルシアを弄るいじる為の嘘。くまなんて在りはしない。

「そ、その大きな鳥みたいのは……?」

 首とほおえりぐりに隠しながらルシアが話題をらした。白くて翼らしきものが生えた初見の存在。

セスナ軽飛行機です、の空飛ぶ乗り物。これでラオまで飛んで頂きます。昼間なら巨人は襲って来ないので問題ないです」

 セスナ軽飛行機を見上げて『旧世紀』と軽々しく口にする学者。『此処フォルテザでは旧世紀』枕詞まくらことばが欠けてる説明。

「こんな物、どうやって動かすのだ?」
AUTO人工知能です。離陸から着陸地点の割り出しまで全て自動でやってくれます」

 旧世紀よりさらに以前の文明から来たジェリドの素朴そぼくな疑問。
 言葉の意味を理解している者に対するドゥーウェンのな解答。
 判らぬ者にはAUTOも離陸も着陸さえもまるで通じぬ理不尽。子供の様に従うより他ない。

「良く飲み込めんが便利なものだな」

 ジェリドは飛行機を知らなくとも空気状況は読める。目的さえ達せられれば文句はないのだ。

 それよりジェリドが気になる一点。

 ──此処フォルテザの技術力、ハイエルフの魔導……。そこに未知なるローダ達の力すら加える気でいるのかこの男。

 ジェリドが最もあやぶむ処。世界中のすいを薄っぺらい正義で扱うこの男ドゥーウェンに与え過ぎるのは、危険な香りを呼び込み兼ねないと年長者のかんが働く。

「まあ良い、兎も角ともかく飛ぶか。何かあってからでは遅い」

 鎧の擦れこすれ合う音をガチャガチャ鳴らしながら、タラップをジェリドが上がろうと動き始める。

「あ、お待ち下さい。これも旧世紀の遺産ですが金属製の鎧より遥かはるかに優れた強化服パワードスーツを御用意出来ます」

 強化服パワードスーツ──。

 21世紀後期から22世紀前半頃まで、軍の特殊空挺部隊が運用してた代物しろもの。地上降下作戦をバラシュートなしで耐えうる強度と、軽量さを両立させた狡いチートな装備。

「いや、折角せっかくの申し出だが着陸可能なら普段通りが性に合うのだ」

 ドゥーウェンの提案をやんわり断るジェリド。
 戦士とは己が慣れ親しんだ格好で戦えるよう順応させるもの。性能数値だけで推しはかった物を押し付けられても始末に困る。

「そ、そういうものですか。で、ではローダさん、せめて此方だけでも御受け取り下さい」
「剣?」

 ローダの白い服装に誂えたあつらえた様な白塗りのさやに包まれた片手剣ロングソードをドゥーウェンが渡す。
 両手で鞘毎受け取ったローダ、重量感なさ過ぎて思わず狼狽えるうろたえる抜刀ばっとうし確かめずにいられない。

「し、白い直刀?」
「超強化セラミック製の剣です。粘りこそありませんが切れ味だけは保証しますよ。伝承でんしょうによればあの森の女神ファウナ神すら愛用したとか」

 抜いた剣を空へ真っ直ぐ翳しかざし改めて瞠目どうもくする青年。
 彼の傍らかたわらでルシアが感じる一抹いちまつの不安。剣士として情が深過ぎる昨夜の苦悶くもんを思い出した。

「超軽量な剣、これは何よりも有難いありがたい

 早速腰ベルトに差し頭を下げたローダである。現状の彼は蒼白い刃アディシルドの真似事を会得えとくしてるので剣の性能切れ味には頓着とんちゃくしないのだ。

 尤ももっとも軽い剣を無償で貰った感謝の言葉にはが混じる。
 マーダルイスと争って以来、彼の筋力は強化の一途いっとを辿っている故、より強固な武器こそ嬉しいのが今の本音。さりとて良い物を頂いたのだ。貴族出身者ファルムーン家礼節れいせつに抜かりなし。

 他の若き仲間達も終始無言で年配者ジェリド従いしたがい続々セスナ軽飛行機に乗り込んだ。
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