🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第24話『Beyond the Wheel of Fate(運命の輪を越えて)』 A Part

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 漸くようやく巨人退治に本腰入れ始めたローダ達とラオ守備隊の面々。
 旧世紀22世紀に流行った人型兵器の装甲ごと叩き斬る無類の強さを誇るジェリド・アルベェラータとプリドール・ラオ・ロッソ率いる騎兵達。

 これが人型兵器全盛期の争いだと仮定するなら、生身の歩兵部隊が兵器を圧倒する異常事態。
 本来内包ないほうする銃器や持ち歩く武器が無いのが巨人に取っての痛恨事つうこんじ

 それにしてもだ──。

 暗黒神マーダ配下最高位、ヴァロウズ1番手の死霊使いネクロマンサー企みたくらみであるなら、ただで敗北喫するきっするのは格好付かない? 或いあるいは単なる実験を兼ねた遊戯ゆうぎに過ぎぬのか。

 地上はジェリドとラオの騎兵達に寄る混成部隊。
 加えて重力解放ヴァレディステラを用いたローダが、蒼白く輝いたマーダから奪った剣術を振るい巨人の腕を墜とすべく攻撃を封じるべく暗雲立ち込める宙を飛び交う。

 ズバッ!

「成程、相手の振り下ろしに合わせる……か。学校でも習ったが、やはり実戦だな」

 相変わらず巨大過ぎる拳を振り上げ襲い掛かる巨人に対し、ジェリド達の動きを見習い逆袈裟懸け振り上げる剣筋で対応を試みた
 右腕の肘裏ひじうらを斬り裂く快進撃かいしんげき。さりとて侵入して来る死体部品残留思念ざんりゅうしねんに顔をしかめた。

 どれだけ装甲が強固であろうが殴る蹴る一辺倒いっぺんとうな巨人の攻撃。そんな子供騙しだまし後塵を拝する遅れを取る愚か者など此処には居ない。

 ラオの連中自分達だけでも殺れたかも知れない。今更認識する感じ方だが、たった4人エドナ村のの救援部隊がめぐんでくれた勇気の為せる攻勢にすぎない。

「ムッ!」
「こ、此奴こいつ斬った傷が治ってやがる!?」

 自分達の攻勢で斬り崩した巨人の装甲。されどき出しへ転じた巨躯きょくきざんだ剣戟けんげきあと治癒ちゆしてるのに気付いたジェリドとプリドールが目を見張る。

 ペッ!

「やっぱ趣味わり不死の化物アンデッドかよ。クソつまんねぇ奴寄越しやがって!」

 不死の巨人が夜の闇を選んでに来たのは闇にくみする不死の再生能力が格段に上がるからだと知り抜いたランチアが音が鳴るほどつばを吐き捨てた。

 死に切れぬ者不死の化け物──如何いかにも御伽噺ファンタジーにありがちで、現実Realには滅多めったにお目に掛かれぬ『つまらないモノ』に苛立ちいらだち募るつのる

 味方の即時敗退は在り得ない──。
 されどジリ貧、何れ根負けする未来が一兵卒にさえ透けて見える絶望。

 悪趣味な死霊使いネクロマンサー寄越よこした民草たみくさ肉塊遺体を固めてこしらえた巨人が与えし絶体絶命。
 絶望のふちに光明の道筋ひらける者は何処いずこ

 一方、精霊術で武術を倍加させ得るルシア・ロットレンVs大気を自在に操る紺色の少女、ザラレノ・ウィニゲスタの対戦タイマン灼熱しゃくねつなる女同士のせめぎ合い。

 間合いを詰めたルシアの圧倒的優勢。
 対するザラレノは風をバリアの様に自分の周囲に張りめぐらせ攻撃を散らす。

 因ってよってルシアが一方的に殴打おうだしてるかに見えるが、実は決め手に欠けかけ焦るあせるルシアの冷汗。これでは不死アンデッドを相手取るのと大差ない。

 宙を蹴り僅かわずか後退するバックステップザラレノ、から取り出したるは小銃。

 パンッ、パンッ、パンッ!
 火薬弾ける自動小銃三連射、実際には何故か響かぬ銃声。硝煙しょうえんの匂いすら風が運ばぬ不可思議。

 それでもこめかみや眉間みけんを少女の銃撃に撃ち抜かれ即死した憐れあわれな兵士が二人。

 ──え……? そ、そんなの在り得ないわ?

 震撼しんかん伴う様子、普段しわのない眉間みけんひそめる精霊術士ルシア。

 今回は自分の鼓膜こまくを揺すぶられた訳でなく、撃たれた味方とて同様。其れそれにもかかわらず寸分違わずすんぶんたがわず発射された理不尽なる銃殺刑。

 銃撃とは本来、風向きや空気の流れに左右されるもの。なれど直線を引いた銃弾の軌跡。

「あ、貴女もしや銃弾の進行方向だけ真空に!?」

 銃を扱う者は勿論、銃の周囲さえも真空状態で発砲しようものなら機能しない。

 本来、弾丸バレット銃身バレル隙間すきまを通る空気が、潤滑じゅんかつの役割を果たすことで機能する。これが無ければ銃器と弾が密着して暴発の恐れがある。

 けれどもザラレノが味方目掛け放った銃弾の軌跡がとルシアは即座に不審ふしんいだいた。

 音が鳴る箇所と銃弾の進むべき道筋のみ真空状態を成し得たザラレノ脅威きょうい御業みわざ。鼓膜破りによる音声強奪ごうだつ、実の処捨て石見せ球であった。

 その為銃声が全く以って轟くとどろく事無き、を自分達の面前めんぜんでやり遂げられた無念。

 返答代わりの銃弾がルシアの方にも向けられる。
 されどもルシア、炎と風の精霊掛け合わせで付与したエンチャントした拳を用い、これを難なくはじいた。

「チィッ!」
「これ以上絶対殺らせないッ!!」

 この女ルシアと自分、相性心底最底辺さいていへんだと舌打つザラレノ。赤い瞳が苛立ちいらだち殊更ことさら燃ゆる。

 腸煮はらわたにえくりかえる意味ではルシアの方こそが上がる。『私に任せて』と宣言したのに好き放題され落ち着き払ってなどいられやしない。

 兎も角ともかく再び間合いを詰め、これ以上ザラレノの好きにさせないよう込める渾身こんしん
 それに離されては自分も危うい。一息すらゆるさぬパンチ蹴りキックを繰り出し続けるルシアの猛攻もうこう。果たして体力を保持出来るのか?

 そして恐らく死なない巨人に相対する者共の先が見えぬ失望。
 知力以外天井知らずの敵相手に一体何処迄太刀打ちたちうち出来得るものか?

 ひたひたと暗い敗北終わりの足音が近寄るのを感じた。終わらぬ螺旋Möbiusの輪、果たして越えられるのか。
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