🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第31話『Rosa Blue(蒼き薔薇)』 A Part

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 マーダ直属の配下、ヴァロウズNo2の学者ドゥーウェン。
 そのドゥーウェンの傘下。人類種最高位の流麗りゅうれいなハイエルフの女性、ベランドナ。

 暗黒神マーダ初対峙はつたいじにて蹴散らしたとうわさ英雄ヒーロー、ローダ・ファルムーン。
 英雄を導いた美麗びれい過ぎる女傑ヒロイン。此方も民衆軍Resistance的には実の処、新人扱いであるルシア・ロットレン。

 民衆軍Resistanceの敵方である二人とマーダ軍として己が信ずる神を倒した不愉快ふゆかい極まる存在が手を取り合う何とも奇妙な絵柄えづら壇上だんじょう軒並みのきなみ揃うそろう

 敵味方双方、現状飲み込めず狼狽えうろたえ下からながめる以外、成し得ようがない他のやから。突然過ぎる出来事に言葉を失うものの、やがて誰を相手取る仇とみるのか無価値な抗議の応酬おうしゅう合戦始まる。

双方皆様どうか御静粛ごせいしゅく願いたいッ!!」

 高身長だが線の細いドゥーウェンから迫真はくしんの発声、大広間に響き渡る。細身の何処から鋭い指摘が発せられたか、ただの一言で静まり返らざるを得ない群衆。

「皆様のお気持ち、腹立たしさ。このドゥーウェン、理解出来てるつもりでございますッ! 特に民衆軍Resistanceの皆様に置かれましては、この場で八つ裂きやつざきにしたいでしょうッ!」

 声張上げた策士さくし、必死の形相ぎょうそう決意表明開演。この場に居合わす民衆軍Resistanceは彼に手傷負わされた記憶なき上、支配下に置かれてからも丁重ていちょうに扱われている自覚伴う。

 されど黒騎士マーダ軍相手の気分ならば話は別。
 あらゆる戦場に於いて仲間や家族を消された数多あまたの根強い怨恨えんこんが脳裏をぎる。

 増してや壇上で自分達をこれより煽動せんどうしようと画策かくさくしてるであろう優男の始末なぞ、一兵卒いっぺいそつですら容易たやすかろう。

「我ながらこの場に立つ無礼、恐悦至極きょうえつしごくでございます」

 声、次第に落ち着かせ自分の弁論に引き込むドゥーウェンの作戦。彼自身『良くもまあ口が回るものだ』というのが本音。人前で説明Review──。元来苦手分野、逃げ出したい気分押さえ込む。

「ですがこれから私が話す内容を最後迄聴き終えた上、それでも憤怒ふんぬ勝ればこのドゥーウェン。皆様の剣を甘んじてこの身に総て受ける覚悟がございます」

 頼り無き薄過ぎる胸板むないた敢えて曝けさらけ出し、地上から此方を睨むにらむ輩を眺め回して一瞥いちべつ寄越すよこす金髪の学者。
 1階の天井から真っ新なプロジェクター映写幕スクリーンがゆるり下降する。此処は会議室であった当然を思い出す達。灯りが消され暗室へ転じた。

「先ずは此方の映像を御覧ごらん頂きたい。これはつい先日、旧インド領バラタバザルに於ける演説の様子でございます」

 プロジェクターが映し出したのは、先日マーダ達がフォルデノ城王の間で驚愕きょうがくいた映像と等しき絵面。首下が機械仕掛けに見える三つ編み黒髪の少女、ルヴァエルの煽動せんどう

 共に映るは褐色かっしょくのうら若くも男共の心揺さぶる妖艶ようえん帯びたサリー姿の女性。
 殊更ことさら悪目立ちする黒い機械machine黒豹くろひょう彷彿ほうふつさせる不審ふしんな存在。

「このルヴァエルと言う名の少女、加えて四足歩行の黒い兵器。間違いなくこのフォルテザ市を陥落かんらくすべく進軍すると私は断言します」

 動画を一旦停止、ルヴァエルと傍らかたわらの巨大な黒豹を光の線で指しドゥーウェンが危うくも確信めいた言葉を吐き捨てた。

 1階から「何故だ!」「如何どうして言い切れる!?」責任皆無、適当なヤジが飛び交う。

 その様子に怪しげな学者、堪えこらえ切れずに思わず冷笑。周囲の人間達へ向けた笑みではないのだ。

 この黒髪の少女、自らの先祖が立国したフォルテザの所有権を声高らかに主張するのは必然。土着どちゃく拘るこだわる相手と、己自身の頑迷がんめいに込み上げる自嘲じちょうを抑え切れなかった。

「皆様、このルヴァエルという少女。300年前、世界最高峰の先進都市Fortezaフォルテザの開発に尽力した『レヴァーラ・ガン・イルッゾ』なる女性の子孫、紛うまごう事無き血縁なのです」

 学者の弁舌べんぜつ、聴く者共の心大きく揺さぶる。

 レヴァーラ・ガン・イルッゾ──。その名を知らぬ者など此処この島には居ないのだ。
 護りもりの女神ファウナ神と共にFortezaフォルテザ市を大いに盛り立て、やがてシチリアを旧イタリア本国から独立。AdoNorthアドノスと改名した立役者。

 ドゥーウェンの熱弁、さらに激しさを増す。

「それから隣に居る黒豹の如き兵器。これもレヴァーラ直属の鬼才、リディーナ博士が設計から製造まで独りで熟した最強兵器の試作機プロトタイプに間違いありません」

 学者の熱弁に耳かたむける者共、やがて意味をかいせなくなり始める。
 何しろ此処に居る彼等は機械の争い未経験。どれだけ脅威きょういを熱く語られた処で、全く以って想像出来ないのも無理からぬこと。

 似合わない汗、ひたい滲むにじむドゥーウェンでさえ、己が発言の信憑性しんぴょうせいうたがわしいのだ。
 300年前、吉野亮一りょういちとしてサイガン・ロットレンと共に凍結の惰眠コールドスリープ貪ってむさぼっていた時期夢見の話だ。手に入れた過去の情報を見識けんしきのまま語るだけに過ぎない揺らぎ。

 実際の処、映像がとらえた黒豹は試作機ではなく前段の設計図しかなかった分を見掛け倒しTYPE-ZEROに過ぎぬのだ。

 ダンッ!

「然もあくまで試作機、現在量産化に着手していると推察すいさつされます。これらが襲来したが最期、黒騎士マーダだとか民衆軍反乱分子などと内輪揉めうちわもめしている場合ではないのです!」

 目前に拳で叩ける教壇きょうだんを欲するドゥーウェン。
 大階段の手摺てすりと文字通り地団駄じだんだ踏んだ踊り場、代わりのへ哀れ転じた。
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