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第4部『Spinning world(回る世界)』
第30話『Devoted lover(一途な恋)』 B Part
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往き過ぎた生体検査の為、全身麻酔を受けたローダ・ファルムーンの意識戻る。
待ち受けていたのは最愛なるルシアの抱擁。共に自然でありたいと願う気持ち溢れ御互い涙と成した。
──コンコンッ。
「「──ッ!?」」
病室の扉を叩かれ驚いた顔見合わせた二人。
個室とはいえ此処は公共施設、愛し合う両者が想いをカラダで具現化するのは禁断なる場所。
されど雰囲気最高潮、次欲する気概溢れた若者達の欲求。空気読めない邪魔さえ無ければ危うく突き進む寸前、御預け喰らった恋人未満。
急ぎ慌てふためき互いを突っ撥ねる様に離れ、無駄な身支度を整えた……つもりであった。
「ど、どうぞ。鍵なら掛けてませんからぁ」
動揺酷過ぎた病人代わりにルシアが緊張感と後ろめたさ混じり合う声、背を向けたまま応じた。
病室の引戸を開け放ち現れたのは金色のルシア凌ぐ美麗さ誇るハイエルフのベランドナ。
「す、すいません。ひょっとしてお邪魔でしたか?」
察して余りある男女の営み、人種超越した存在がぶち壊した雰囲気感ずるものの、最早止める術なき現実に狼狽えみせた。
「──ッ!?」
「じゃ、邪魔ぁっ!? ……あ、い、いえ。何でもない…ですよ?」
顔引き攣り合う入口の独りと病床で不謹慎な愛語り始めたばかりだった二人。
絶句禁じ得ないローダ青年。
余分な声張り上げ、中途でやらかした失敗に自ら気付いて声量絞るだけの抵抗みせたルシアである。
なれど憐れかな……白Yシャツ胸元付近のボタン乱れ 、隠し立て出来ぬ現実曝け出す。
──何故人間とは態々バレる嘘を付くのか?
推定年齢300歳越え、ハイエルフの女性としては未だ乙女と言って差し支えない悠久を往くベランドナ。
心中だけ頭傾げた。恋愛に対し人間より遥かに悠長でいられる彼女、少女が如き疑問符芽生える。
「……で、ベランドナさん。御用件は?」
此処でルシア、胸元がやけに涼し気な気分に気付き、全身の体温上がる思いで外れてるYシャツのボタンを締め直した。
「あ、嗚呼……申し訳ございません。本日19時、1階大広間に集合して頂けますでしょうか。当主人から至急御伝えしたい緊急を要する件がございます」
冷静に返りて用件を速やかに伝えるベランドナ。秀逸過ぎるメイドの様相へ返り咲く。
──至急!?
恋愛感情の気分吹き飛び、顰めた顔見合わすローダとルシア。余程の事案が無ければ笑顔絶やさぬドゥーウェンの語る至急案件とは?
「わ、判りました。必ず19時に伺います」
「俺も問題ない」
使いのベランドナへ普段面した返答にて応じた両者。これで用件は一先ず終わりだと思い込む。
「まだ続きがございます。御二人だけ出来れば今直ぐにでも、私に着いて来て頂きたいのです」
──え?
──な、何だ?
ベランドナの告げた『御二人だけ』がやたら脳裏に響いた両者。
全く以って何を差しているやら理解苦しみ首捻る。若過ぎる英雄と女傑に拘わる追加要件だろうか?
兎も角断る理由見つからず、捜す気さえ起きずベランドナの指示に従い、二人は病室を後にした。よもや二人の背中を後押しする出来事が訪れるとは露知らず。
◇◇
フォルテザ市、時計の針は18時51分──。
間もなくベランドナから告げられた19時を迎える。
マーダ占領下以来、ドゥーウェンとベランドナが仕切るこの建物。
1階の大広間、詰めれば数百もの人々を収容出来そうな立派な会議室。有事の際、住民達の避難箇所を兼ねた場所なのだ。
地下にはさらに広大な避難所が存在し、300年前の争いでは街こそ喪失したが住民達は殆ど無傷で生還成し得た逸話がある。
アドノス島各所に大小の差こそあれど、こうした避難所が多数存在するのだ。然もこの建設を最も指示したのは誰でもないマーダという驚き。
森の女神と彼女すら指揮した圧倒的指導者、レヴァーラ・ガン・イルッゾなる人物が元来外敵から民衆を守るべく進めた事業をマーダも引き継いだ結実なのだ。
暗黒神──。
アドノス島の民草を昔から軽んじてた訳では決してない事が窺える歴史。
さて──話が脇道に逸れた、既に招集言い渡された連中が続々と集結していた。
元々フォルテザ市を民衆軍として守っていた兵士達と、ドゥーウェンが呼び込んだマーダ軍が顔つき合わす。睨み合い、沈黙こそ破らぬものの、いがみ合う緊迫感漂う必然。
「──ルシア御姉様達は?」
「はて? 確かに見当たらんな。第一呼んだ学者の姿すら見えんぞ」
大広間へローダ達より先んじて入室したアルベェラータ親娘。ローダとルシアを探すが何処にも見当たらぬ不可思議に首を捻った。
ボーンッ……19時を告げる時報鳴り響く。
同時に敵味方関係ないどよめきが周囲を包んだ。
大広間から二階へ伸びる大階段、中途に存在する踊り場。
広間から見上げる分には壇上の舞台さながら成る絵面。
其処へ4人の男女が静寂引き連れ皆の元へ馳せ参じた。
先ずフォルテザ市を取り仕切る金縁眼鏡、黒スーツの学者ドゥーウェン。手を引かれてるのは彼の付き人、ベランドナ。
兵士達を騒然へ転じたのはこの二名ではない。
続いて現れた民衆軍期待の双子星──。
白いタキシード姿の若き英雄、これ迄誰もが成し得なかった暗黒神に燦然たる黒星付けた青年。エドナに流れ着いた箒星、ローダ・ファルムーン。
静々と英雄の手を取り、慣れぬ足取りで大階段の踊り場まで降り立つ女傑。
奥ゆかしくも凄艶極まる花田色※1、大胆にも胸元迄白い肌晒すショルダーカットドレス。
金髪のハイエルフに劣らぬ美しさ金色の髪際立つ女性。泣きぼくろの上、瞳が本物の宝石を彷彿させる。
人らしからぬ神々しさが見る者達へ安らぎと、戦乙女が如き高揚感届ける輝き散らすルシア・ロットレン。
この4人──。
何れも揃いの蒼き薔薇を衣装に差し、趣を添えていた。
ローダはタキシードの胸ポケット。
ルシアの編まれた髪にもForcina※2を成した薔薇が着飾られていた。
※1花色の別称。露草の蒼い花の色を指す。
※2イタリア語で簪、ヘアピン。
『この集まりは軍事目的ではなかったのか?』
4人へ視線を集める誰しもが感ずる違和感。
舞踏会でも始まりそうな雰囲気、趣向を凝らす目的やも知れぬが過度甚だしき当主の演出に、皆が言葉を喪失せざるを得なかった。
待ち受けていたのは最愛なるルシアの抱擁。共に自然でありたいと願う気持ち溢れ御互い涙と成した。
──コンコンッ。
「「──ッ!?」」
病室の扉を叩かれ驚いた顔見合わせた二人。
個室とはいえ此処は公共施設、愛し合う両者が想いをカラダで具現化するのは禁断なる場所。
されど雰囲気最高潮、次欲する気概溢れた若者達の欲求。空気読めない邪魔さえ無ければ危うく突き進む寸前、御預け喰らった恋人未満。
急ぎ慌てふためき互いを突っ撥ねる様に離れ、無駄な身支度を整えた……つもりであった。
「ど、どうぞ。鍵なら掛けてませんからぁ」
動揺酷過ぎた病人代わりにルシアが緊張感と後ろめたさ混じり合う声、背を向けたまま応じた。
病室の引戸を開け放ち現れたのは金色のルシア凌ぐ美麗さ誇るハイエルフのベランドナ。
「す、すいません。ひょっとしてお邪魔でしたか?」
察して余りある男女の営み、人種超越した存在がぶち壊した雰囲気感ずるものの、最早止める術なき現実に狼狽えみせた。
「──ッ!?」
「じゃ、邪魔ぁっ!? ……あ、い、いえ。何でもない…ですよ?」
顔引き攣り合う入口の独りと病床で不謹慎な愛語り始めたばかりだった二人。
絶句禁じ得ないローダ青年。
余分な声張り上げ、中途でやらかした失敗に自ら気付いて声量絞るだけの抵抗みせたルシアである。
なれど憐れかな……白Yシャツ胸元付近のボタン乱れ 、隠し立て出来ぬ現実曝け出す。
──何故人間とは態々バレる嘘を付くのか?
推定年齢300歳越え、ハイエルフの女性としては未だ乙女と言って差し支えない悠久を往くベランドナ。
心中だけ頭傾げた。恋愛に対し人間より遥かに悠長でいられる彼女、少女が如き疑問符芽生える。
「……で、ベランドナさん。御用件は?」
此処でルシア、胸元がやけに涼し気な気分に気付き、全身の体温上がる思いで外れてるYシャツのボタンを締め直した。
「あ、嗚呼……申し訳ございません。本日19時、1階大広間に集合して頂けますでしょうか。当主人から至急御伝えしたい緊急を要する件がございます」
冷静に返りて用件を速やかに伝えるベランドナ。秀逸過ぎるメイドの様相へ返り咲く。
──至急!?
恋愛感情の気分吹き飛び、顰めた顔見合わすローダとルシア。余程の事案が無ければ笑顔絶やさぬドゥーウェンの語る至急案件とは?
「わ、判りました。必ず19時に伺います」
「俺も問題ない」
使いのベランドナへ普段面した返答にて応じた両者。これで用件は一先ず終わりだと思い込む。
「まだ続きがございます。御二人だけ出来れば今直ぐにでも、私に着いて来て頂きたいのです」
──え?
──な、何だ?
ベランドナの告げた『御二人だけ』がやたら脳裏に響いた両者。
全く以って何を差しているやら理解苦しみ首捻る。若過ぎる英雄と女傑に拘わる追加要件だろうか?
兎も角断る理由見つからず、捜す気さえ起きずベランドナの指示に従い、二人は病室を後にした。よもや二人の背中を後押しする出来事が訪れるとは露知らず。
◇◇
フォルテザ市、時計の針は18時51分──。
間もなくベランドナから告げられた19時を迎える。
マーダ占領下以来、ドゥーウェンとベランドナが仕切るこの建物。
1階の大広間、詰めれば数百もの人々を収容出来そうな立派な会議室。有事の際、住民達の避難箇所を兼ねた場所なのだ。
地下にはさらに広大な避難所が存在し、300年前の争いでは街こそ喪失したが住民達は殆ど無傷で生還成し得た逸話がある。
アドノス島各所に大小の差こそあれど、こうした避難所が多数存在するのだ。然もこの建設を最も指示したのは誰でもないマーダという驚き。
森の女神と彼女すら指揮した圧倒的指導者、レヴァーラ・ガン・イルッゾなる人物が元来外敵から民衆を守るべく進めた事業をマーダも引き継いだ結実なのだ。
暗黒神──。
アドノス島の民草を昔から軽んじてた訳では決してない事が窺える歴史。
さて──話が脇道に逸れた、既に招集言い渡された連中が続々と集結していた。
元々フォルテザ市を民衆軍として守っていた兵士達と、ドゥーウェンが呼び込んだマーダ軍が顔つき合わす。睨み合い、沈黙こそ破らぬものの、いがみ合う緊迫感漂う必然。
「──ルシア御姉様達は?」
「はて? 確かに見当たらんな。第一呼んだ学者の姿すら見えんぞ」
大広間へローダ達より先んじて入室したアルベェラータ親娘。ローダとルシアを探すが何処にも見当たらぬ不可思議に首を捻った。
ボーンッ……19時を告げる時報鳴り響く。
同時に敵味方関係ないどよめきが周囲を包んだ。
大広間から二階へ伸びる大階段、中途に存在する踊り場。
広間から見上げる分には壇上の舞台さながら成る絵面。
其処へ4人の男女が静寂引き連れ皆の元へ馳せ参じた。
先ずフォルテザ市を取り仕切る金縁眼鏡、黒スーツの学者ドゥーウェン。手を引かれてるのは彼の付き人、ベランドナ。
兵士達を騒然へ転じたのはこの二名ではない。
続いて現れた民衆軍期待の双子星──。
白いタキシード姿の若き英雄、これ迄誰もが成し得なかった暗黒神に燦然たる黒星付けた青年。エドナに流れ着いた箒星、ローダ・ファルムーン。
静々と英雄の手を取り、慣れぬ足取りで大階段の踊り場まで降り立つ女傑。
奥ゆかしくも凄艶極まる花田色※1、大胆にも胸元迄白い肌晒すショルダーカットドレス。
金髪のハイエルフに劣らぬ美しさ金色の髪際立つ女性。泣きぼくろの上、瞳が本物の宝石を彷彿させる。
人らしからぬ神々しさが見る者達へ安らぎと、戦乙女が如き高揚感届ける輝き散らすルシア・ロットレン。
この4人──。
何れも揃いの蒼き薔薇を衣装に差し、趣を添えていた。
ローダはタキシードの胸ポケット。
ルシアの編まれた髪にもForcina※2を成した薔薇が着飾られていた。
※1花色の別称。露草の蒼い花の色を指す。
※2イタリア語で簪、ヘアピン。
『この集まりは軍事目的ではなかったのか?』
4人へ視線を集める誰しもが感ずる違和感。
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